予選レポート Aドライバー予選
初開催のインジェ、なんとレコードホルダーがふたり誕生!
第1レースは#28 PETRONAS SLSのハイルマンがPP獲得
ST-4クラスで#48 DIJON DC5の太田が一発でトップに
スポーツランドSUGOで行われるはずだった開幕戦が、降雪のため中止になったこともあり、実質的なスーパー耐久シリーズのオープニングとなった第2戦。スーパー耐久は、久々に日本を離れ韓国で、またインジェ・スピーディウムのオープニングイベントとして開催されることになった。
予選に先駆け2時間に渡るフリー走行が5月25日(土)の午前中に行われ、トップタイムをマークしたのは、#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3。1分36秒513を記録した。路面にはまだ油やホコリが残っているものの、徐々に良くなってきているため、予選では、さらにタイムが短縮されると期待された。
今回の決勝レースは、45分間の2レース制なので、予選は合算とはならず、Aドライバーは第1レースの、そしてBドライバーが第2レースのグリッドを決めるためのアタックを行う。今回は3グループに分けられ、最初にGT3クラスとST-2クラス、ST-3クラスの8台、次にST-4クラスとST-5クラスの12台、最後に韓国チームの11台で争われた。
今回はD1GPに出場する谷口信輝と片岡龍也を欠くため、一抹の不安を残したPETRONAS SYNTIUM TEAMだったが、ふたりの穴を若手ドライバーたちが完璧に埋めた。Aドライバーの予選では、いきなり #1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3のメルビン・モーが1分36秒台に入れてトップに立ち、次の周には36秒089へ。これで決まりかと思われたものの、その次の周には #28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3のファリーク・ハイルマンが35秒456をマークして逆転に成功。そのまま走り続けたモーは短縮を果たすも、35秒713を記すに留まった。
フリー走行を3番手がミッショントラブルでほとんど走れずじまいだった、#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rの青木孝行は35秒927。「本当にぶっつけ本番の予選でしたが、とにかく跳ねちゃって。出て行った瞬間、硬すぎると思いましたのですぐにピットに戻って直しました。ミッションは直りましたのでレースはできると思います」と青木。
ST-3クラスでは、 #80 PETRONAS TWS GS350の佐藤晋也がわずか1周のアタックで、45秒352でトップ。#38 TRACY SPORTS IS350の藤田竜樹に1秒2の差をつけた。「とにかくタイヤが厳しく、何とか1周でまとめて無駄にアタックしないようにと考えていたので、とりあえずトップが取れてホッとしました」と佐藤。
そしてST-4クラスで、一発でトップタイムを記録したのが、#48 DIJON IS WAKO’S ED DC5の太田侑弥。「バッチリです。でも、本当はシフトミスもしているんですけどね」と語りながらも48秒981を叩き出し、2番手で #41 TRACY SPORTS ings S2000を駆る植松忠雄にほぼ1秒の差をつけていた。
ST-5クラスでは序盤こそ #99 RS☆R DIXCEL NUTEC DEMIOの平井隆一のリードを許していたが、#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィットの奥村浩一が逆転。58秒149をマークしたものの、「ある区間でセッティングが合っていなかったので、コンマ7秒ぐらいロスしているから、Bドライバー予選では相方が57秒台に入れてくるはずです」と、タイムには今ひとつ不満が残ったよう。
続いて行われたST-Kクラスこと韓国チームの予選では、唯一韓国オリジナルのストックカーを持ち込んだ #250キム・ドンウンがトップ。スーパーフォーミュラのスポット参戦が予定されているドライバーが、総合でも5番手につけた。
第1レース・ポールポジション/#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3
ファリーク・ハイルマン
「朝のフリー走行で出した各セクターのベストタイムを足していくと、35秒7ぐらいだったので、うまく走れればそのぐらいのタイムが出ると思っていたんだ。予想どおりのタイムが出せてポールが獲れたので、とても嬉しく満足しているよ。今回は谷口さんや片岡さんがいないから、我々に託されましたが、1戦目菅生のレースがキャンセルされたことで、今回が事実上の初戦だから、大切に戦いつつも優勝を目指すよ!」
予選レポート Bドライバー予選
SLSを駆るレスタのタイムに、GT-Rの星野が最後に追いつく!
ST-3クラスはチームメイトに負けじと、吉本も一発トップ
45分間のインターバルの後、Bドライバーの予選が行われ、序盤はまたもPETRONAS SYNTIUM TEAMの2台がリードする。特に28号車のジョノ・レスタは周回を重ねるごとタイムを縮めていき、35秒048を新たなレコードタイムとすることとなった。だが、ポールポジションこそ奪ったレスタながら、単独でのレコードホルダーにはなれず。というのも、#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rの星野一樹が最後のアタックで、まったくの同タイムをマークしたからだ。
割って入られた1号車のドミニク・アンは35秒623をマークするに留まった。
「まわりとの競争というより、自分がきっちり走らないといけないと思い、ストーリーを作ったのですが、そのとおりの展開になりました。徐々に詰めていき、最後にベストを出せればと。練習を走れなかった分も、この予選で取り戻せたと思います」と星野。
ST-3クラスではチームメイト佐藤同様、#80 PETRONAS TWS GS350の吉本大樹がワンアタックでトップタイム、44秒344をマーク。「チームで初めてのポールで、しかもWポール。明日もこのまま勝てるように」と語る吉本が、#38 TRACY SPORTS IS350の植田正幸を2秒半も引き離した。
ST-4クラスではドリフト使いとしても知られる、望月大地が急きょ#93 SKR ENGINEERING S2000を駆ることになり、代役としての期待に応え49秒184をマーク。「実は初めてスリックを履いたんですが、すごくグリップするので驚きました」と望月。連続トップを狙った #48 DIJON IS WAKO’S ED DC5の鶴田和弥にコンマ5秒の差をつけた。
ST-5クラスは奥村の期待どおり、梅本淳一が57秒738をマークしてトップに。国内レースには久々の登場となるものの、「腕に錆びはありません」と語っていた。
なお、インジェ・スピーディウムに関する印象としては、全員が「楽しい」、「いいコースレイアウト」と語る一方で、路面のアンジュレーションが今ひとつであるとか、タイヤに厳しいという意見も決して少なくはなかった。おそらくタイヤマネージメントも、45分間のスプリントとはいえ勝敗を大きく左右する要素になるだろう。
第2レース・ポールポジション/#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3
ジョノ・レスタ
「ポールポジションが獲れて、とても嬉しい! 新しいサーキットだからコンディションが今ひとつで、未だに滑っているけど、徐々に良くなってきたからベストタイムが出せたんだ。でも、明日のレースの方がいいタイムに、きっと34秒台が出るんじゃないかな。でもこの結果は嬉しく思っていますよ。片岡さんたちがいなくても、僕たちは勝つためにやってきているので、ポールからそのまま逃げ切ることを目標とします」
(はた☆なおゆき)