SUPER TAIKYU

RACES ARCHIVE 2013

REPORT

決勝レポート

ラスト5分の大逆転! #1 PETRONAS SLSが今季初優勝飾る

 スーパー耐久シリーズ第3戦の決勝レースが、ツインリンクもてぎで7月21日(日)に開催された。5時間もの長丁場とあって、そのレース展開はドラマの連続に。トップを快走していた#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3が、なんとラスト5分でコースアウト! その脇をすり抜け、大逆転で今季初優勝を飾ったのは、メルビン・モー/ドミニク・アン/谷口信輝組の#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3だった。

予選で速さを見せたGT-R勢に、相次いだアクシデント
終わってみれば、PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3のワンツーフィニッシュに

予選ではポールポジションを、藤井誠暢/千代勝正/GAMISAN組の#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが獲得。2番手も青木孝行/星野一樹/尾本直史/吉田広樹組の#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rと、際立っていたのがニッサンGT-Rの速さだった。

 ところが、スターティンググリッドに、#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの姿はなかった。給油装置にトラブルが見つかり、ピットスタートを余儀なくされたからだ。これで俄然有利になったのが#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R。先頭からスタートを切ることになり、1コーナーには青木がトップで飛び込んでいく。これに続いたのは#3 ENDLESS ADVAN PORSCHEの峰尾恭輔で、5番手から一気に2番手へと浮上する。

 その後も青木にプレッシャーをかけ続けた峰尾ながら、なかなか逆転の機会を与えられない。そんな中、6周目にアクシデントが発生する。5コーナーで#16 muta TRIGGERS BMWの横溝直輝が、バックマーカーに追突されてクラッシュ。回収のためにセーフティカーが2周に渡り、コースに入る。リスタートの際に、やや離されてしまった峰尾だが、追いつめることを諦めようとせず。そして、18周目にはついに逆転を果たし、徐々に後続との差を広げていく。

 一方、ピットスタートを強いられながら、5番手にまで浮上していた#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの千代が、GT3クラス勢の中では最も早い33周目にピットイン。ルーティンかと思われたものの、ガレージに入れられるではないか。駆動系にトラブルを抱え、やがて修復されたものの、上位を争うことさえ許されなくなる。

 38周目、#3 ENDLESS ADVAN PORSCHEがピットイン。ここで峰尾からYUKE TANIGUCHIに代わる。そして、次の周には#81 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rと、3番手を走行していた#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3が同時にピットへ。燃費の関係から先にピットを離れたのは#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3の方。ここで順位を入れ替える。ドミニク・アンから代わったメルビン・モーのペースは速く、一時は15秒ほどあったTANIGUCHIとの差を徐々に詰める。そして61周目にはトップに浮上。さらにTANIGUCHIは、69周目に#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rの星野にも逆転を許す。

 全車が2回目のピットストップを終えても、#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3のトップは代わらず。そして、4番手から次第に順位を上げてきたのは、#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3だった。谷口が86周目にまずは#3 ENDLESS ADVAN PORSCHEをパス。その勢いで97周目には#81 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rさえもかわし、2番手に。これで上位はPETRONAS SYNTIUM TEAMで独占されるともに、谷口がトップをも追いつめると思われたものの、相手は片岡龍也とあって、わずかに差を詰めるに留まった。

 最後のピットストップは120周目と122周目で、それぞれスタートも担当したジョノ・レスタ、アンに代わるも、状況は変わらず。そのまま#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3が逃げ切るものと思われた。ところが146周目、V字コーナーで衝撃の光景が。レスタがコースアウトしていたのだ。ゴールまであと5分だというのに……。これにより、#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3がトップに浮上。劇的な大逆転勝利を飾ることとなった。「ブレーキが辛いとは言っていたんだけど、だったらペースを抑えなさい、って無線では伝えたんだけどね。差はいっぱいあったんだから。言うことを聞かないんだから仕方ないよね。後ろにいるのがチームメイトじゃなければ、あんなに我を張らなかったかもしれないけど」と片岡。

 3位は#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rが獲得。燃費が苦しく、最後は予定外の給油を強いられたばかりか、駆動系のトラブルでラスト3周は極端なスローペースに。止まってしまえば、リタイアとなるだけに4分かけて周回するも、何とかゴールにはたどり着いた。序盤に健闘した#3 ENDLESS ADVAN PORSCHEは、ゴールまで15周というところでブレーキに不調が生じ、緊急ピットイン。そのため、ひとつ順位を落とし、5位に。初登場の#8 もり山R8 LMS ultraからあげを駆る、湯澤翔平/渋谷彰良/荒聖治組は、4位でゴールするも、ドライバー交代を伴うピットストップ義務違反のペナルティで3周減算されて、結果的に#3 ENDLESS ADVAN PORSCHEが4位に返り咲いた。

ST-1クラスはFaust Racing Teamが圧勝
ST-2クラスでは、STURM MOTUL EDインプレッサが初優勝!

 ST-1クラスでは、予選をBドライバーの坂本祐也が走れなかった#51 DIAMANGO BMW Z4がスペアエンジンを入手し、何とか決勝レースにはピットスタートながら出場を許されることに。余郷敦の力走によって、一時はクラストップを走った。だが、最初のピットストップを終えると、状況が一変。#9 Faust Racing Team Z4の山野直也がハイペースで周回を重ね、徐々に差を広げていくように。そのまま逃げ切って優勝を飾った。

 そしてST-2クラスでは予選でもトップだった、#59 STURM MOTUL EDインプレッサの松田晃司がトップからレースを開始。しかし、#20 RSオガワADVANランサーの阪口良平がついて離れず、11周目には逆転を許す。35周目に2台は同時にピットイン。#59 STURM MOTUL EDインプレッサは素早くピットを離れたものの、なかなか離れられない#20 RSオガワADVANTランサーはピットに押し込まれてしまう。スターターが熱により、機能しなくなって修復を強いられたのだ。復帰なるも、優勝争いからは脱落。また、#6 新菱オート☆DIXCELエボIXもABSのトラブルで大きく順位を落としていた。

 となれば、もはや#59 STURM MOTUL EDインプレッサに敵は存在せず。大澤学?吉田寿博?再び松田のリレーも完璧に、137周の走破に成功し、嬉しい初優勝を飾ることとなった。2位は遅れること8周ながら、しっかり挽回した#20 RSオガワADVANランサーが獲得している。

ST-3クラスはPETRONAS TWS GS350が連勝飾る

 ST-3クラスは予選トップの#34 assetテクノZ34が、決勝でもトップからレースを開始するも、佐々木雅弘がSCラン後にふたつ順位を落としたばかりか、リスタート時の追い越しがあり、ドライビングスルーペナルティを科せられることに。それでも予選までに見せた速さからすれば、挽回は十分可能だと思われた。だが、前嶋秀司に代わって間もなく、バックマーカーの追突を受け、マシンに酷いダメージを負ってリタイアを強いられる。

 その#34assetテクノZ34からトップの座を奪い取っていたのは、#39 TRACY SPORTS IS350の佐々木孝太。しかし、同じ理由によってドライビングスルーペナルティを科せられていたことから、#80 PETRONAS TWS GS350の脇阪薫一が難なくトップに躍り出る。そればかりか#39 TRACY SPORTS IS350も、エンジンブローによってリタイアを余儀なくされていた。そこから先は佐藤晋也とともに#80 PETRONAS TWS GS350がトップを守り続けるも、残り30分を切っても、まだ義務の3回目のピットストップをこなしていなかった。2番手につける#15 岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34との差は1分50秒。4時間36分目でようやくピットに入るも、ポジションキープは微妙な間隔であった。

 だが、何とかトップを守ったばかりか、その2周後には#15 岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34もピットイン。燃費が苦しく、入らざるを得なかったのだ。これにより難なく逃げ切った#80 PETRONAS TWS GS350が、第2戦・インジェに続く、連勝を果たすこととなった。

ラスト2分の大逆転。ST-4クラスでウィンマックスTEINワコーズKRP☆DC5が初優勝
ST-5は、連覇を目指すエンドレスアドバントラストヴィッツが、まず1勝目を挙げる。

 ST-4クラスも実にドラマチックな展開となっていた。それぞれラストのピットストップを終えると、トップに立っていたのは#41 TRACY SPORTS S2000。助っ人として起用された井入宏之が、まさしくいい仕事をこなしていたからだ。2番手につける#58 ウインマックスTEINワコーズKRP☆DC5との差は27秒もあったが、これが徐々に詰まっていく。コーナリング自慢のS2000ながら、本来はもてぎのようなストップ&ゴーが繰り返されるコースは苦手。ただでさえきついブレーキが音を上げ始めていたのだ。必死に逃げる筒井克彦を追いかけるのは、関豊。残り10分で6秒を切るが果たして……。

 ワンチャンスしかないと判断した関は、ラスト2周に勝負をかけ、130周目の1コーナーで筒井のインを刺し、トップに躍り出る。今回はピストン西澤を助っ人に起用した、小林康一と関は、実はこれがスーパー耐久の初優勝。待ちこがれた結果に笑顔が光っていた。3位は、光貞秀俊を加えた、松井猛敏/中島保典組の#95 リジカラS2000。予選結果をまたも決勝に結びつけられなかった。

 ST-5クラスは終始#36 エンドレスアドバントラストヴィッツがトップを走行。終盤になって燃費が厳しくなり、予定外のピットストップを行うも、それでもなお後続を寄せつけず。後藤比東至が、井尻薫と木村正治とともにスーパー耐久デビュー戦で優勝を飾ることとなった。2位は#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィットが獲得した。

総合優勝/GT3クラス優勝:#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3

谷口信輝

「5時間レースやってきて、4時間55分までトップ獲れるとは思いませんでした! いやもう、本当に28号車の方が勢いあって、僕らの方が負けていますが本当にレースって終わってみないと分からないな、ってことを改めて思い知らされましたね。まぁ、いい方向に思い知らされたわけですけども。まだまだ今回、課題がたくさん残っていて、今回は2位で我慢だなって感じだったし、トラブルだったのがチームメイトだったんでね。喜ぶのも複雑な感じですけど、去年からずっと僕らはほぼ運で勝ってきているんで、まだ続いているんだな、っていうふうに思いました(笑)」

総合7位/ST-1クラス優勝:#9 Faust Racing Team

堀主智ロバート

「(山野)直也が2スティント、すごく頑張ってくれて、僕と佐藤(茂)くんも僕らなりのペースでずっと走れたんじゃないかなと。昨日まで調子悪かったんですけど、決勝は3人ともいい走りができたと思います。それが一番の勝因ですね」

総合9位/ST-2クラス優勝:#59 STURM MOTUL EDインプレッサ

吉田寿博

「優勝、やっとできて良かった。決勝はそんな楽じゃなかったんだけど、コンスタントに走れて、あんまりそんなに不安なく行けたんで、20号車(RSオガワADVANランサー)が走っていても、たぶんいい勝負になったんじゃないかなと思います。本当に良かったです、ありがとうございます!」

総合11位/ST-3クラス優勝:#80 PETRONAS TWS GS350

脇阪薫一

「序盤のうちに速いクルマ2台が消えているので、少し楽になったというのはありましたが、今回GTのテストと重なって、ばたばたしているチームもあった中で、うちは早くから入って、しっかり準備してくれたというのが、非常に大きいと思います。吉本(大樹)がいない中、ふたりで力を合わせてミスなく走れたのも良かったですね」

総合14位/ST-4クラス優勝:#58 ウインマックスTEINワコーズKRP☆DC5

関 豊

「正直、追いつかないかと思ったんですけど、全力で走ったら追いつきました。でもチャンスは一回しかないと思っていたので、ある程度ポイントを定めて狙っていったので、良かったです。僕もS耐は初優勝なんです。今日、やっと優勝できたので、これから勝ち続けられるように頑張ります」

総合27位/ST-5クラス優勝:#36 エンドレスアドバントラストヴィッツ

後藤比東至

「フィットもデミオも速かったので、本当に厳しい戦いだったです。うちは燃費がきつかったので、最後(ガソリンを)足して。でもノーミスでつなげられたので良かったと思います。僕、これがS耐デビュー戦みたいなものなので、本当に嬉しいです!」

 

(はた☆なおゆき)

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