第3戦プレビュー
真夏のハードな2連戦が、もてぎから始まる
この週末(7月20日、21日)は、ツインリンクもてぎでスーパー耐久の第3戦が行われます。今シーズンの開幕戦は降雪のため中止、第2戦は韓国での開催であり、感覚的には今年最初のレースと感じる方も多いのではないでしょうか。特に韓国に行っていないチームやドライバーにとっては、「いざ出陣!」という気分かもしれません。
今回は5時間レースとして争われます。昨年より1時間長く、おそらく猛暑の中での戦いとなるので、より過酷になることは間違いありません。観戦する方も、熱中症対策は万全にしてください。
今回からレギュレーションについて、いくつか変更点があるのでご紹介しましょう。まずレース中のピットストップ義務づけについて、従来は一律2回以上とされていましたが、今後は3時間を超えるレースに関しては、3回以上と改められました。したがって今回のもてぎラウンドと、7時間で争われる次回の富士ラウンドが対象となります。
また、これまでも予選はGT3、ST-1、ST-2、ST-3を第1グループとし、ST-4、ST-5を第2グループとして分けて計測を行ってきましたが、これを発展させ、スターティンググリッドもグループごと分けられることとなりました。
仮にGT3クラスの車両がトラブルでタイムが計測されない場合は、最後尾に並ばなくてはならないのですが、本来その位置にいる車両(ST5クラスなど)との速度差が相当あるわけです。スタート1回目の危険性を下げるため、このような場合は、第2グループの前に置こうということになりました。併せて、フォーメーションラップでスタートに遅れたり、スピンした場合も、本当の最後尾ではなく、第1グループの最後尾につくことができるようになります。
豪華助っ人続々! それも長丁場のレースならでは
脇阪寿一選手が10年ぶりに出場
今回はDドライバーの登録も認められており、最大4人での参加が可能です。そこで助っ人ドライバーを加えるチームも、少なからず見受けられます。その筆頭が何と言っても、ST-4クラスで#52 埼玉トヨペットGB with Revo 86をドライブする脇阪寿一選手です。このクルマは開幕戦の予選でクラス4番手、トヨタ86の中で最速だったため、期待はより高まります。
ちなみに脇阪寿一選手は、02年にアルテッツァでグループNプラスに、小園ヒロミ選手や弟の脇阪薫一選手と、スーパー耐久にフル参戦しています。この年は、最高位が4位で表彰台には立てませんでしたが、翌年の十勝24時間にも出場、その時は3位になっています。今回、このチームからは3年ぶりの参戦となる服部尚貴選手も出場。レギュラーの大井貴之選手と合わせた豪華ラインアップにご期待ください。
他にもGT3クラスの#16 muta TRIGGERS BMWに横溝直輝選手、ST-4クラスに「お久しぶりです!」の光貞秀俊選手が#95 リジカラS2000から、それにST-4クラスの#93 SKR ENGINEERING S2000で伊橋勲選手が姿を見せます。まだ、TBNとなっているチームもいくつかありますので、サプライズが期待できるかもしれません。
なるか連勝、#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3
最多8台が挑む、GT3クラスに大激戦の予感
まだシリーズは1戦を終えただけであるため、今後の展開は見えてきません、GT3クラスは谷口信輝選手、片岡龍也選手というエースを欠いてなお、PETRONAS SYNTIUM TEAMの2台が強さを見せた、というのが第2戦韓国での印象でした。特に#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3を駆る、ファリーク・ハイルマン選手とジョノ・レスタ選手は「ふたりがいない分、このチームは俺たちが守るんだ」という気概を感じました。
ただ、今回の予選、また谷口選手も片岡選手も走りません。というのも、19?20日に鈴鹿サーキットで、スーパーGTの公式テストがあるためです。C/Dドライバーで登録されている何人かのGTドライバーは、日曜日からの走行になります。日曜日の朝に行われるフリー走行で基準タイムをクリアできれば、決勝には出られます。
今回からはアウディR8 LMS ultraが1台加わり、GT3クラスとしては最多となる8台での戦いとなります。思い起こせば2年前、まだST-Xクラスと名乗っていましたが、たった1台からのスタートだったGT3。クルマは違いますが、アウディが圧倒的な速さを見せつけたところから始まったクラスが、ここまで台数が増えたということには感慨深いものがあります。大激戦を期待したいですね。
特に注目は開幕戦で幻のポール、前回の韓国ではトラブル続きだった、#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R。DドライバーをTBNとして登録し、誰が乗るのか分かりませんが、ワクワク感を高めてくれています。まだ本領を発揮できていない分、どれほどの速さを見せてくれるのか、大いに気になるところです。
ST-1クラスは一騎討ちながら、大激戦の予感
中止になった開幕戦は1台のみ、第2戦はエントリーがなかったST-1クラス。今回はようやく一騎討ちとなり、しかも#9 Faust Racing Teamには引き続き山野直也選手が、そして今季初登場の#51 DIAMANGO BMW Z4には坂本祐也選手が加わるので、戦いとしては面白くなってくれることを期待します。
ST-2クラスも前回は1台のみのエントリー。開幕戦の予選トップは、#20 RSオガワADVANランサーで、今年もこのクルマが核になってタイトルが競われると予想されます。一方、ますます侮れない存在となっているのが、#59STURM MOTUL EDインプレッサではないでしょうか。やっぱりこのクラスは、ランサーとインプレッサの対決があってナンボ! 互角の戦いが続けば、もっともっと盛り上がることでしょう。
そして、前回は佐藤晋也選手、吉本大樹選手とも優勝を飾っている、#80 PETRONAS TWS GS350。どんどんポテンシャルが上がって、今回も連勝への期待がかかります。ところが、今回は、吉本選手がドイツ・ニュルブルクリンクで行われるVLN耐久レース出場のため、出場できません。代わりにBドライバーとして脇阪薫一選手が乗ることが決まっています。
韓国で早々と初優勝のトヨタ86、快進撃は続くか?
第2戦韓国の第2レースでは、#13 ENDLESS DIJON ADVAN SAYAMA 86を駆る村田信博選手が、トヨタ86での初優勝を飾りました。今回はストップ&ゴーの繰り返されるコースであるため、パワフルなS2000の方が有利という見方もあります。
そろそろ来るんでは……と思われるのが、#95 リジカラS2000。昨年は予選トップが6戦中3戦。第5戦・鈴鹿の第1レースでは勝っていますが、満点というのが一度もなかっただけに、相当ストレスがたまっているかもしれません。果たして、光貞選手は勝利の女神を振り向かせることができるのでしょうか?
ムゼオチンクエチェントレーシングチームからエントリーのアバルト2台は、開幕戦では苦戦を強いられていました。その後どこまで仕上げられているのでしょうか。ターボ車なので、意外にもてぎのレイアウトにマッチするのではないでしょうか。
ST-5クラスは#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィット、#36 エンドレスアドバントラストヴィッツの一騎討ちになりそうな予感です。ただ、デミオも速くなっているので、フィット、ヴィッツに割って入り、三つ巴の戦いとしてほしいところ。あと少しのところまで来ているようです。
(はた☆なおゆき)