決勝レポート
GTNET ADVAN NISSAN GT-Rが独走で、初優勝を飾る!
スーパー耐久シリーズ第2戦の決勝レースが、スポーツランドSUGOで5月25日(日)に開催された。終日サーキット上空を灰色の雲が覆ったものの、ドライコンディションも保たれた状況において、優勝を飾ったのは星野一樹/青木孝行/尾本直史組の#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R。2位に約1分の差をつける圧勝となった。昨年の参戦から、このトリオが優勝を飾るのは初めてである。
独走のKeePer I.P.Sに、まさかのトラブルが。Faust Racing BMW Z4が2連勝
当初の予報では真夏日の晴天が告げられていたが、いざ蓋を開けてみると、どんよりとした灰色の雲がサーキットの上空を覆うことに。しかし、それは雨雲ではなく、最後までドライコンディションが保たれることとなった。午前中に行われたフリー走行では、初めてセーフティカー(SC)シミュレーションも行われ、普段以上に安全面が配慮されていた。そのフリー走行でトップタイムをマークしたのは、YUKE TANIGUCHI/峰尾恭輔組の#3 ENDLESS ADVAN Z4。予選は3番手だっただけに、決勝での躍進が期待された。
その決勝レースは、ポールシッターの青木のリードから開始された。その後ろでは、#24スリーボンド日産自動車大学校GT-RのGAMISANと峰尾の激しいつば競り合いがあったこともあり、青木はオープニングラップを終えると、早くも3周ものギャップを確保。そのまま逃げ続けていく。5周目には峰尾が2番手に浮上するが、その時点で15秒差となっており、青木との差を詰めるどころか、徐々に広げられてしまう。
1時間12分経過した51周目に、#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rはピットイン。ここで星野へとスイッチする間に、峰尾がトップに立つも、2周後に#3 ENDLESS ADVAN Z4もピットへ。これで星野はトップに立ち、結論から先に言うと、#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rがトップを明け渡したのは、この2周のみ。25周目にGAMISANから藤井誠暢に代わって追い上げが期待された#24スリーボンド日産自動車大学校GT-Rは、45周目にドライブシャフトの破損によってピットでの長い修復を強いられたこともあり、もはや追いかける者はいなくなっていたからだ。
2時間15分経過した94周目に、#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rは尾本にバトンタッチ。101周目から再び#3 ENDLESS ADVAN Z4をドライブすることになった、峰尾が差を詰めていったとはいえ、大量のリードに守られた尾本にはプレッシャーにもならず。約1分の差をつけて嬉しい初優勝を飾ることとなった。3位は小林崇志/Tetsuo OGINO/高木真一組の#32ケーズフロンティアDR Audi R8がつけ、ピットを離れることができた#24スリーボンド日産自動車大学校GT-Rながら、規定周回に満たず完走扱いとはならなかった。
ST-1クラスでは予選トップだった、中山雄一/平川亮/畠中修組の#37 KeePer I.P.Sは、決勝レースでも他を圧することとなった。中山から平川へのリレーも完璧に、あとは残り12分をジェントルマンドライバーの畠中に託すのみに。
ところが、その#37 KeePer I.P.Sがピットから離れられず。セルモーターが熱で作動しなくなってしまったのだ。これにより、堀主知ロバート/山野直也/佐藤茂組の#9 Faust Racing BMW Z4が繰り上がってトップに浮上。途中、山野がコースアウトしてヒヤリとさせられるシーンもあったが、笑いの止まらない2連勝となった。
STURM MOTUL EDインプレッサと#35 asset ings Z34が連勝飾る
ST-2クラスの序盤は、予選でもトップだった大澤学/吉田寿博/松田晃司組の#59 STURM MOTUL EDインプレッサを筆頭とする、4台のトップ争いが繰り広げられた。予選同様の接戦だったものの、やがてサバイバルゲームの様相を呈することとなり、最初に遅れを取ったのは、冨桝朋広/菊地靖組の#6新菱オートDIXCELエボIXで、続いて大橋正澄/阪口良平/浅井亮博組の#20 RSオガワADVANランサーにも。またしてもオーバーヒートが発生、ペースを上げられなくなったからだ。
そんな状況においても#59 STURM MOTUL EDインプレッサのペースだけは、最後まで鈍らず。吉田〜大澤〜松田のリレーも完璧に決めて、2連勝を飾ることとなった。2位は藤井芳樹/関豊/高橋卓矢組の#7新菱オートエボIXが獲得し、3位は#20 RSオガワADVANランサーのものとなっていた。
ST-3クラスでも、前嶋秀司/佐々木雅弘/廣川和希組の#34 asset ings Z34が2連勝。予選で後ろにST-2クラスの車両を5台も挟んだことから、序盤のうちにリードを築き上げることに成功する。トップを明け渡したのも、佐々木から前嶋への交代直後のみで、次の交代ではポジションをキープした。最後はほぼ1周の差をつけ、佐々木がチェッカーを受けることに。
2位も大西隆生/松原怜史/藤波清斗組の#34 asset ings Z34が獲得し、テクノファーストレーシングチームがワンツーフィニッシュも達成した。3位は山崎学/伊橋勲/安宅光徳組の#14岡部自動車サントラント195マイカーズZ33が獲得。最後に伊橋が、約30秒の差を10秒にまで詰めて意地を見せたが、逆転には時間が足りなかった。
ENDLESS ADVAN 86が、大激戦の末にST-4クラスを制す
レース序盤のST-4クラスは、予選でトップだった#93 SKR ENGINEERING S2000の太田侑弥が、ひたすら逃げ続ける展開となっていた。この状況を覆したのが、中盤からの#92 SKR ENGINEERING S2000を駆る井入宏之の激走。SKR ENGINEERINGの上位独占も夢ではなかったものの、それを打ち砕いたのが、#13 ENDLESS ADVAN 86だった。小泉和寛と村田信博からラスト1時間20分を託された小河諒は、その後、井入と交代した中村嘉宏の前に出ることに成功する。
小河はフロントのタイヤ2本を交換し、中村は左側のタイヤ2本を交換。だが、小河は中村よりも1時間ほど多く走っているハンデもあった。ラスト3分で中村は逆転に成功するも、ファイナルラップで小河が再逆転。#13 ENDLESS ADVAN 86が、昨年の第2戦、インジェでのレース2以来の勝利を飾ることとなった。
なお、3位でフィニッシュの#93 SKR ENGINEERING S2000は、最大運転時間の超過があり、5位へと降格。蒲生尚弥/井口卓人/影山正彦組の#86 GAZOO Racing SPIRIT 86が繰り上がって3位を獲得している。
ST-5クラスでは、予選ほどの速さを見せられずにいた、松井猛敏/中島保典/荒聖治組の#95リジカラFIT3だったものの、それは完璧にタイヤをマネージメントしていたがためだった。山下潤一郎/山田英二/森田登組の#2ホンダカーズ野崎with CUSCO&BOMEX、梅本淳一/奥村浩一/大野尊久組の#99 BRP★J’S RACINGフィット3もトップを走ったものの、それぞれ接触、ガス欠があって涙を飲むことに。
その結果、最後は#95リジカラFIT3が独走となり、2連勝を飾ることに成功。2位には野上敏彦/谷川達也/小原健一組の#17 DIXCELアラゴスタNOPROデミオが獲得し、フィット3勢の上位独占を阻止することとなった。3位に#2ホンダカーズ野崎with CUSCO&BOMEX。
総合優勝:(ST-Xクラス優勝)#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R
青木孝行
「いや〜、ようやく勝てて、1年かかったんで、すごく嬉しいです。これで勢いをつけて、次のレースも尾本さんに乗ってもらって、また勝ちたいですね」
星野一樹
「去年のオフに、チームを引っぱって行って欲しいと尾本さんに呼んでもらって、そこからすぐ勝ちたかったんですが、なかなか勝てなくて、1年間ずっと。ここでポール獲っても雪で中止になったし、C-WEST GTNETでずっと勝ちたかったんで、この3人全員乗って勝てて、本当に嬉しいです! まずはスタートラインに立てたって感じなので、2台のGT-Rでシリーズを引っぱって行きたいと思います」
尾本直史
「とにかく昨年のSUGOのうっぷんを晴らして、あとはメカもタイヤもすべて完璧。最近はシミュレーターもやっているので、みんなの効果で勝てたように思います。24号車がトラブルで遅れちゃったので、そのへん見ながら、ちょっと僕らのペースは抑えました」
総合4位:(ST-1クラス優勝)#9 Faust Racing BMW Z4
堀主知ロバート
「最初、ちょっと燃料重くて一生懸命頑張っていたんですが、だんだん軽くなって調子が良くなって。僕のレースキャリアの中で、一番いいレースができたんじゃないかという感じです」
佐藤茂
「もてぎに出ていなかったんで、今年の緒戦でしたが、何とかだんだんペースがつかめて、それなりの仕事ができたと思います。次からはもうちょっとパワーアップして頑張りたいと思います」
山野直也
「最後のスティントを任されたんですが、自分のミスでコースアウトがありまして。それを取り戻すためにプッシュしてまた走って。そうしたら、ライバルが無線でピットインしたことを知り、優勝のチャンスがあると分かったので、またプッシュして何とか優勝することができました。これで2連勝なので、すごく嬉しいですね」
総合5位:(ST-2クラス優勝)#59 STURM MOTUL EDインプレッサ
吉田寿博
「本当に決勝までにメカがいろいろ調整してくれて、すごく走りやすいクルマになっていたんで、決勝はみんながコンスタントになっていたんでね。安定したラップでトラブルなく走りきれたんで、相手がトラブっているんで、ちょっと残念でしたが、ちゃんと走ってねという感じですね」
大澤学
「今日のフリー走行を見る限りだと、あまりセットが合っていなくて、今日は厳しいかなと思っていたんですが、スタート担当の吉田さんが頑張ってくれたおかげで、私は普通にポジションキープで普通に走っただけなんで。吉田さんのおかげです! できれば、今後全部勝ちたいと言いたいところですが、この先も厳しいところはあると思うので、できる限り勝ちたいと思います」
松田晃司
「久々に最後を任さされたんですが、逆にいろんな意味で最後のチェッカーまで持っていかないといけないなと、逆に緊張しちゃいましたよね、マージンがある方が。でも、良かったと思います」
総合6位:(ST-3クラス優勝)#35 asset ings Z34
佐々木雅弘
「今週、本当にクルマが持ち込みから良くなかったんですよ。予選前もすごくドキドキして行ったんですけど、前嶋さんがすごくいいタイムを出してくれたんで、僕もそれに続いていいタイムを出して。予選、それでポールを獲ることができて、流れが僕らに来て。朝のフリー走行で確認だけしたら良かったんで。でも、タイヤの減りだけ心配だったんですが、マネージメントには自信があったんで、それをうまく使えたら、けっこうぶっちぎれて良かったです」
前嶋秀司
「予選もふたり良くて、タイヤの保ちが若干悪いな、というのは分かっていたんで、それをメカニックにいろいろやってもらい、スタートは佐々木に頑張ってもらい、俺はチョロチョロ走り、最後まで頑張ってもらいのレースだったんで、正直言って今回のレースは、佐々木がすべて流れを作ったっていえるぐらい、完璧だったかな。今日は佐々木に『ありがとう』って言いたいぐらい、そんなレースでした」
廣川和希
「今回も走るチャンスはありませんでしたが、秘密兵器なんで(笑)。今後は走れるように、今回は佐々木さん、前嶋さんのおかげで表彰台に来れたので、今後は秘密兵器に終わらないように頑張ります」
総合12位:(ST-4クラス優勝)#13 ENDLESS ADVAN 86
小泉和寛
「エンドレスに移籍してきて、今回初めての表彰台ということになるんですが、展開的には見てのとおり大激戦で、僕はST-4クラスが今年初めてなんですが、こんなに大変だとは思いませんでした。でも、久々の表彰台がこのチームに来て2戦目というのは、本当に嬉しいですね」
村田信博
「エンドレスファンがたくさんいるところで勝てて嬉しく思うし、本当にチャンスをモノにできたと思いますね。レースウィーク始まって、諒は絶好調だったので、あいつだったら絶対行けると信じていたので、それに応えてくれましたね!」
小河諒
「接触もあったので、複雑な心境ではありますが、やっぱり優勝できて嬉しいです。いろんなカテゴリーに出させてもらっていますが、今年はこれが初勝利。この勢いで他のレースでも頑張りたいと思います」
総合31位:(ST-5クラス優勝)#95 リジカラFIT3
荒聖治
「今回も予定どおりというか、スケジュールどおりにレースを進められたということで、ミスもなくいいペースで走れて、それが結果につながってすごく良かった。また、楽しいレースをさせていただきました。当初の予定から、できるだけ長く走るというプランがあったものですから、プランどおりのいいペースで走れました」
中島保典
「マージンを稼ぎつつ、作戦どおりのタイヤをいたわりながら走って、作戦どおりに運べて良かったと思います」
松井猛敏
「チームが立てた戦略がすべてハマって、本当に良かったです。ホッとしました。2連勝できて、すごく嬉しいんですけど、本当に今回は当初から言われていたタイヤの問題があったんで、タイヤのライフと燃費を両方考えながらやらなきゃいけなかったんです。それを最初のスティントで荒選手が調整してくれたのが、最大の勝因だと思います。後半の僕らは、あんまり深いこと考えず、バンバン行けば良かったので、すごく楽だったです」
(はた☆なおゆき)