予選レポート
#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rが安定の速さ。3戦連続でPP奪う!
スーパー耐久シリーズも、いよいよ後半戦に突入。岡山国際サーキットを舞台に、第4戦の予選が9月6日(土)に行われた。厳しい残暑の中、ポールポジションを獲得したのは、星野一樹/青木孝行/尾本直史組の#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R。これで3戦連続となり、安定した速さを強くアピールした。
ST-2クラスで#20 RSオガワADVANランサーが今季初のトップに立つ!
金曜日に1時間ずつ3セッション行われた専有走行では、星野一樹が1分31秒991をマークした#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rがトップ。残暑が厳しくコンディションに恵まれなかったため、コースレコードには遥かに及ばなかったものの、上位のタイムは接近しており、予選、決勝ともに接戦となることが大いに予想された。
土曜日になると、サーキット上空に雲がかかるようになり、予選が始まる頃にはいつ雨が降り出してもおかしくない状況に。普段だと計測開始となってもピットに留まる車両も少なくないのだが、今回ばかりはほとんどの車両が一斉に飛び出していく。温度が下がったこともあり、ST-Xクラスで最初に31秒台に乗せたのは、#3 ENDLESS ADVAN Z4の峰尾恭輔だった。そのタイムは10分経過してから走行を開始した、#24スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの藤井誠暢が30秒959をマークして逆転されるも、まったく同タイム、31秒615で#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rの星野、#16 GAIA POWER BMWの横溝直輝が記録し、3台並ぶ珍光景も。その直後に横溝が31秒535を出したことで、単独の2番手に立つことにはなったが。
Bドライバーのセッションでは、青木孝行が31秒449を記した#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rがトップに。一方、#24スリーボンド日産自動車大学校GT-RのGAMISANは、32秒891を出すに留まったこともあり、合算タイムでは#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rが上回って3戦連続のポールポジションを獲得した。なお、飯田太陽/高木真一/小林崇志組の#32ケーズフロンティアDR Audi R8は、専有走行で抱えたトラブルの修復が間に合わず。予選には出走できなかったが、決勝レースには出場を予定している。
しかしながら、星野も青木も結果には満足しつつも、藤井のマークしたタイムを超えられなかったため、ふたりの表情は冴えず、むしろ藤井の方が上機嫌。「金曜日まではバランスも悪くて悩んでしたんですが、予選の前にクルマをビッグチェンジしたらすごく良くなっていて、30秒台に入るとは思っていなかったので、自分でもビックリしています」と語るほどだった。
ST-1クラスでは平川亮/中山雄一/畠中修組の#37 KeePer I.P.Sが、第2戦以来となる予選トップを獲得。平川が36秒529を、中山が36秒181をマークしてふたりともトップで、まさに文句なしの結果となった。
ST-2クラスもまた、AドライバーとBドライバーが揃ってトップだったチームが最前列に。大橋正澄が40秒531、阪口良平が39秒569を記した#20 RSオガワADVANランサーが、今季初めて大澤学/吉田寿博/松田晃司組の#59 STURM MOTUL EDインプレッサを従えることとなった。今回の#20 RSオガワADVANランサーはCドライバーに、岡山をホームコースとする松本武士を起用。力強いアシストが期待される。本来なら、この2台とともにトップ争いを繰り広げていただろう、冨桝朋広/菊地靖組の#6新菱オートDIXCELエボIXは、専有走行中のブレーキトラブルでクラッシュ。ダメージの修復がパドックではかなわないため、無念のリタイアを喫することとなった。
あのふたりを上回って、藤波清斗がST-3クラスのトップタイムをマークする
ST-3クラスのAドライバーセッションでは、またしても#35 asset ings Z34の前嶋秀司が、ただひとり41秒を切る、40秒820をマークしてトップに。となれば、Bドライバーセッションでも佐々木雅弘がトップかと思われたが、前嶋のタイムを上回る40秒520こそマークしたものの、最速にはあらず。40秒020でトップタイムを記したのは、#34 asset ings Z34の藤波清斗だった。合算タイムでは#35 asset ings Z34がトップで4戦連続となるも、チームメイトの速さには前嶋、佐々木とも脱帽の様子だった。
「最初はCドライバーから始まって、一戦ごとにだいぶ慣れてきました。練習から調子が良かったこともあり、チャンスをいただけたのですが、期待に応えられて良かったです。会心の走りでしたが、これに満足せず、もっと先を狙っていきたいと思います」と藤波。
ST-5クラスがより激戦区に。#2ホンダカーズ野崎with BOMEXがトップに!
ST-4クラスでは、ホンダS2000勢が大いに気を吐くこととなった。まずAドライバーのセッションでは、吉本晶哉の#93 SKR ENGINEERING S2000を筆頭に、植松忠雄の#41 UEMATSU×TRACY SPORTS ings S2000、そして井入宏之の#92 SKR ENGINEERING S2000まで上位を独占。昨年の岡山ラウンドを制した、蒲生尚弥の#86 GAZOO Racing SPIRIT 86が、1秒遅れでようやく4番手につけるに甘んじた。Bドライバーセッションでも太田侑弥の#93 SKR ENGINEERING S2000がセッション半ばまでトップだったこともあり、そのまま逃げ切りなるかと思われた。しかし、終了間際になって藤田竜樹の#41 UEMATSU×TRACY SPORTS ings S2000が43秒310を記して、太田のタイムを逆転。合算でもトップに立って、2戦連続でクラス最前列からスタートすることとなった。
そしてST-5クラスでも逆転劇が。Aドライバーセッションでは梅本淳一の#99 BRP★J’S RACINGフィット3がトップに立つも、Bドライバーセッションでは山田英二の#2 ホンダカーズ野崎with BOMEXが、他を圧するタイム、50秒262をマーク。その結果、山下潤一郎と荒井康裕ともに、クラス最上位から決勝レースに挑むことが決定した。
なお、決勝レースは9月7日(日)の13時25分にスタート。久々の3時間レースが、大いに盛り上がることを期待したい。
ポールポジション:(ST-Xクラストップ)#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R
星野一樹
「満足のいくアタックができませんでした。タイヤの内圧が合っていなくて……。納得いかないのですが、結局ポールだったので良しとします。ここ岡山では富士ほど僕らに優位性はないので、厳しい戦いになると思いますが、自分たちのベストを尽くせば勝つ可能性あると思うので、頑張ります」
青木孝行
「合算でいくとポールポジションなので、それは良かったな、と思います。でも、僕個人のアタックとしては、ベストタイムの周にガッツリ引っかかっちゃって。それでもう、やめちゃったのですが、もうちょっと行けたかなと。ただ、先に(藤井によって)出ていた0秒9というタイムは出なかったんじゃないかな。だから、けっこう悔しいポールですね。決勝に向けてはシリーズポイントが接近しているので、変に落とすことなく、淡々と行きたいと思います」
総合5番手:(ST-1クラストップ)#37 KeePer I.P.S
平川亮
「2周アタックでうまくアタックが決められました。このコースは僕のホームなんで、気持ちよく走れて良かったです。多少ミスもありましたけど、ST-1クラスでトップだったので、良かったと思います」
中山雄一
「ベストが出た周は引っかかっちゃって、全然まとまっていなかったので、なんか不完全燃焼のまま終わっちゃいましたから、自分としてはもう一回行きたい感じでした。だんだん岡山でもインタープロトに慣れてきたので、明日はもうちょっとうまくまとめて走れるようにしたいと思います」
総合7番手:(ST-2クラストップ)#20 RSオガワADVANランサー
阪口良平
「今年初ポールです! ただ、走り出しから調子が良かったんですけど、そんなにマージンはないと思っています。獲れたのは素直に嬉しいですし、1ポイントを稼げるのは嬉しいんですけど。とえいえ、暑くなればなるほど、厳しい状況になるほど、ウチはよそよりも落ち込みが少ないと思うので、それを期待したいです。チームの雰囲気がいいのが何より嬉しいですね」
大橋正澄
「雰囲気は良かったんですけど、タイム的にもうちょっと行けたので……。僅差ではありましたが、もうちょっと行かなきゃいけない感じだったので、もったいなかった。とはいえ久々なんでね、ポールは。決勝レースは大事に行きます」
総合9番手:(ST-3クラストップ)#35 asset ings Z34
佐々木雅弘
「今まで清斗がうまく乗れなかったのが、今回うまく乗れて、クルマの限界を出したので、それはそれで褒めてあげたいんですが、僕らは僕らのクルマに対してMAXを引き出して、いいアタックができたのですが負けてしまったので、決勝は負けないようにしたいですね。ポールはポールなので1ポイントは獲れたから、ここでチャンピオン決まればいいなぁ。でも、ちょっと悔しい!」
前嶋秀司
「世代交代はまだ早い! まだ渡したくないので、もうちょっと(笑)。決勝は頑張って、いつもどおりの走りで。でも、清斗の走りは良かったので、それは褒めてあげたいですね」
総合20番手:(ST-4クラストップ)#41 UEMATSU×TRACY SPORTS ings S2000
植松忠雄
「今回、実はクルマが決まらなくて、どうしようと思っていたんですが、最後の最後、賭けでやったセットが予選でうまくいって、自分でもタイムが出た時にはビックリしたぐらい。それでも僕は2番手だったんですが、相方が一番獲ってくれると信じてまかせたんですが、そのとおりにやってくれて、すごく良かったですね。ここで、本番は明日なので、本番でしっかりポイント獲って、チャンピオンに向けて突っ走りたいと思います」
藤田竜樹
「最初のアタックではクリアが運悪く取れなくて。最後、路面温度が下がるタイミングを狙ってもう一発行きました。6周も走ったタイヤだから、グリップもダウンしていたんですが、そのタイヤで最後まとめることができて、何とかなりました。常に接戦のクラスで、2戦連続のポールは大きいと思いますし、うまくバランス変更を行って、決勝は確実に。しばらくS2000は岡山で勝っていないので、最後にいい結果を持って帰られたらいいですね」
総合36番手:(ST-5クラストップ)#2ホンダカーズ野崎with BOMEX
山田英二
「回を追うごとにクルマのバランスが良くなってきて、今回は流れまで良くなって。変えていくセットというのが、どんどんいい方向で来ていました。おそらく決勝はもっといい感じになるはずなので、意外とレース的には面白そうですよ。実際のところ、始まってみないと分からないのですが、あとは他のドライバーの人たちに頑張ってもらいます(笑)。今までいろんなクルマに乗ってきましたが、緊張感のある予選って、やっぱり楽しいなぁ」
山下潤一郎
「山田さんのミラクルアタックでポールが獲れたので、明日こそ表彰台の真ん中に立ちたいですね。いい争いができそうですし、上位のタイム差が少ないから、いい戦いができると思うので、明日が楽しみです。雨予報もあるので、山田さんの速さと僕の経験をうまく組み合わせれば、他のチームの弱いところを突けると思うので、その作戦もシミュレーションしてうまく組み立てたいですね」
(はた☆なおゆき)