TESTDAY レポート
雨のテストはディレクションレーシングのポルシェが最速タイムを記す
スーパー耐久シリーズ開幕戦の舞台である、ツインリンクもてぎにおいて3月1日(日)に公式テストが行われた。年間エントリー50台のうち31台が、そしてスポット参戦の2台を加えた33台が参加した。生憎のウェットコンディションの中、最速タイムを記したのは#32ディレクションレーシングのポルシェ911GT3Rを駆る、飯田太陽/Tetsuo Ogino/小林崇志/高木真一組。上位は順当にST-Xクラス勢が独占した。
各クラスチャンピオン不在の中で……
テストデーのもてぎは、朝から雨模様。それでもいったんは雨もやみ、やがてドライコンディションへ転じてくれることを誰もが期待したものの、オープンピットを間近に控えたところで再び降り始めてしまう。そんな悪天候にも関わらず、パドックオープンだったこともあり、熱心な観客がサーキットに集まっていた。ひとつ残念だったのは、集まった33台のうち、チャンピオンチームがすべてテストに参加しなかったことだ。それぞれベンチマークになるべき存在だっただけに……。
午後1時から公式テストがスタート。この頃はまだ小雨とも言える状態だったこともあり、ほとんどの車両が一斉にピットを離れていく。開始からしばらくのトップは、#16 Field MotorsportのBMW Z4 GT3を駆る片岡龍也/阿部翼/HIRO組。これを約30分経過時に上回ったのが、#5 TEAM MACH with MAKERS RACINGのニッサンGT-RニスモGT3を駆る、白井剛/青木孝行/藤波清斗組で、2分3秒643をマーク。そして、それから約20分が経過し、#32 ディレクションレーシングの小林が3秒30を叩き出して、トップに躍り出る。
間もなく1時間半というところで、最終コーナーでストップした車両があって赤旗が。再開後は雨の勢いは衰えることなく、そればかりか薄い霧も。コンディションの悪化により、もはやタイムアップが望めぬ状態となってしまった。そして、午後4時にチェッカーが振られ、3時間のセッションを終了することとなった。
実績あるチームが、それぞれ好発進を果たす!
6台のGT3車両に続いて、ST-2クラストップで総合7位につけたのは#6 シンリョウレーシングチームの三菱ランサーエボリューションIXを駆る菊地靖。15秒264をマークした。同チームは#7も加えた2台のエボリューションIXを走らせたが、驚くべきはその間に割って入ったのがST-3クラストップとなる、#15 OKABE JIDOSHA motorsportの日産フェアレディZ34だったこと。田中哲也が17秒603をマークし、不運続きだった昨年の印象を一蹴することとなった。
ちなみに、シンリョウレーシングチームは#6に冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄、#7に藤井芳樹/遠藤浩二/佐藤勝博という陣容で、そして引き続き3台体制のOKABE JIDOSHA motor sportは#14 に山崎学/増田芳信/小松一臣/杉林健一、#15に長島正明/田中哲也/田中徹、#195に安宅光徳/小泉和寛/輿水敏明/島沢隆彦という陣容で挑むことになっている。
総合15位でST-4クラスのトップは、#58 小林自動車レーシングプロジェクトのホンダインテグラ。今年は今回のテストを走った、小林康一/塩谷烈州/佐藤衛という陣容で挑むことになりそうだ。クラス2位は新チーム、#55 AUTO FACTRYのトヨタ86で、伊藤毅と田代淳がドライブ。そして、3位は#86 GAZOO Racing SPIRITの86で、蒲生尚弥/井口卓人/松井孝允がドライブした。
そして、総合28番手でST-5クラスのトップは、#117 TEAM NOPROのマツダデミオ。同チームは新旧デミオを持ち込んでおり、ディーゼルターボの#17はクラス5位に。2番手には#213 アプロスレーシングのトヨタヴィッツ、3番手には#2 Team BOMEXのホンダフィット3がつけた。フィットはエンジントラブルに見舞われ、長い間ピットを離れられずにいたが、終了間際に解消し、わずか13周ながら走行することに成功した。
総合1位:(ST-Xクラストップ)#32 ディレクションレーシング
小林崇志
「今日、初めてポルシェに乗ったんですけど、思った以上に乗りやすくて、いいクルマでした。しかもトップタイムで終われて、これがシーズンの最初のテストだったことを思えば、すごく良かったんじゃないでしょうか。チームもこれで勝てるんじゃないかというところが見えたと思うので、そういう意識をみんなに持ってもらって、シーズン1年間、戦っていけば勝てるんじゃないかと思います。今年はいいレースができるんじゃないでしょうか」
総合7位:(ST-2クラストップ)#6 シンリョウレーシングチーム
冨桝朋広
「今日のテスト、僕は乗っていないんですけど、6号車をエボXに変更するんですよ、今年は。でも、まだ間に合っていないんでエボIXを2台走らせて、ドライバーさんがいいと思う方を7号車として使おうという予定で、全員に乗ってもらいました。これからですね。チャンピオンチームは来ていないし、エボXもトラブルが出ると思うんですが、出ないと解消もしないし。やっぱり新しいのにしないと意味がないし、どっかで区切りつけないといけないですからね」
総合8位:(ST-3クラストップ)#15 OKABE JIDOSHA motor sport
田中哲也
「今年で3年目だったかな、ST-3クラスは。チームメイトの田中徹くんを教える立場で、彼がGTに上がれるように……というような感じでやっているんですけど、とにかく意気込みとしては今年、本当に長島さん、みんなで完璧なレースで、完璧な内容でチャンピオンを獲りたいな、と。今日は雨が降ってしまいましたが、けっこう内容のあるテストができたので、準備としてはかなり。今年に関しては今まで以上に、ST-3クラスとして集大成の年にできるように、頑張ろうと思っています」
総合15位:(ST-4クラストップ)#58 小林自動車レーシングプロジェクト
小林康一
「雨ですからFF車に有利なんでね、それでトップタイムが出せた感じですね。途中、エンジンが吹けなくなったんですけど、配線に水が。エアでシュッとやったら直りました。毎年、尻下がりになるもんで(苦笑)、今年はなんとか真っすぐのまま維持したいですね。バランスで勝負ですね。それでも安定して、いつも走っていたいです」
総合28位:(ST-5クラストップ)#117 TEAM NOPRO
谷川達也
「トップタイムを出したのは、前の117号車ですが、ディーゼルターボの17号車にも乗りました。ディーゼルの方はやっと転がったばかりで、レースカーにはなっていないし、エアコンも着いていて重量も重いままなので、まだまだ開発の余地はあります。117号車の方は完成されているので、いきなり走ってもタイムが出ますけど、17号車で今いちばん問題なのは、重いんで軽量化してもらうのと、エンジンはねぇ、まだちょっと分からないですね、雰囲気も変わるし。足は悪くないですよ、ウェットなんで、まだ何とも言えないんですけど。とにかくストレートがどれだけ伸びてくれるか、それ次第ですね。未知の世界ではあるんですけど、やりがいはありますね。開幕戦はレースするより、データ採りという感じですね。話題性はあるでしょうし、しっかり走りたいと思います
(文章 / 写真:はた☆なおゆき)