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REPORT

決勝レポート Gr.1

グループ1は、最終戦を待たず4クラスすべてでチャンピオンが決定

 スーパー耐久シリーズ第5戦「スーパー耐久IN OKAYAMA」が岡山国際サーキットを舞台として、10月23日(日)に決勝レースが行われた。午前にはグループ2の決勝レースを、午後にはグループ1の決勝レースを、という今季初のスケジュールに。総合優勝を#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの内田雄大/藤井誠暢/平峰一貴組が飾って、最終戦を待たずして悲願のタイトルを獲得。そればかりか4クラスすべて、チャンピオンが決まることとなった。

KONDO RACINGが、初めてシリーズチャンピオンを獲得する!

 グループ2の決勝レースが終わってから、ピットウォークを挟んで2時間も経たぬうちにグループ1決勝レースのスタート進行が開始された。グループ1決勝レース最大の話題は、すべてのクラスにチャンピオン決定の可能性があったこと。その権利を持つチームにしてみれば、早々と決めてしまいたいところだが、見る側にしてみれば、できれば最終戦まで持ち越されてほしいというのが偽らざる心境ではあった。

 だが、そんな想いとは裏腹に、王座決定へのカウントダウンは着実に進んでいった。まずはST-Xクラス。スタート前に「できることなら、早々に逃げてしまいたい」と語っていたとおり、ポールシッターで#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rを駆る、藤井誠暢はオープニングの1周だけで後続に1秒4もの差をつけることに。2番手には#8 ARN SLS AMG GT3の佐々木孝太がつけるも、ホィールナットが緩むトラブルが早々に続いて、あえなく優勝戦線から脱落してしまう。

 代わって2番手につけたのは#3 ENDLESS ADVAN GT-Rの峰尾恭輔だったが、差は広がっていく一方。そして、3番手には#5 Mach MAKERS GTNET GT-Rの星野一樹が浮上する。金曜日の専有走行でブレーキトラブルが発生し、マシンは大破。急きょモノコックを入れ替える荒療治があったため、予選は7番手に甘んじていたが、決勝では本調子ではないにせよ、勢いを取り戻すことに。

 その後、第1スティントは上位の順位に変動はなく、#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rは、実に15秒もの差をつけて内田雄大にバトンタッチ。この貯金を内田はさらに増やすこととなった。そして、70周目に平峰一貴に代っても状況に変化はなく、むしろ極端にペースを抑えても、もはや追いつくライバルは存在しなかった。

 難なく逃げ切りを果たし、今季4勝目をマークした#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rはチャンピオンを獲得。これが近藤真彦監督率いるKONDO RACINGにとって、初めてのシリーズチャンピオンともなった。

 2位はYUKE TANIGUCHI/峰尾/山内英輝組の#3 ENDLESS ADVAN GT-Rが獲得し、3位には今回からランボルギーニ・ウラカンGT3を投じた#108 CARGUYが。隊長こと木村武史が、織戸学とアフィグ・ヤジットとともに表彰台に上がり、とびっきりの笑顔を見せていた。

 一方、ST-Xクラス勢を向こうに回し、総合でも7位に入る大健闘で、ST-1クラスで4勝目を挙げたのが、#777 D’station Porsche 991の星野敏/荒聖治組。すでに戦わずしてチャンピオンを決めていたが、まさに栄冠に華を添える格好ともなった。



RSオガワADVANランサーが今季初優勝、DAMD MOTUL ED WRX STIが4連覇を達成

 ST-2クラスのクラスポールは、#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学/後藤比東至/檜井保孝組が奪っていたが、決勝では#20 RSオガワADVANランサーの下垣和也/松本武士/近藤説秀組が、完全にお株を奪い取っていた。オープニングラップのうちに松本はトップに立ち、これに大澤が続いていくが、差はじわりじわりと広がっていく。一方、3番手には#6 新菱オートDIXCELエボXの菊地靖が続き、せめて#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの王座決定は、最終戦にまで持ち越してみせるという、強い意志が感じられた。26周目に菊地が前に出たことで、それはより明確に。

 それぞれ最初のドライバー交代を行なっても、トップ3の順位には変動なく、近藤、大橋正澄、後藤の順で周回は進んでいく。だが、69周目の1コーナーでアクシデントが発生。#6 新菱オートDIXCELエボXがST-3クラスの車両に追突されてコースアウト、ピットでの長い修復を強いられて万事休す……。

 久々のトップチェッカーを#20 RSオガワADVANランサーの下垣が受けて、今季初優勝。そして、2位でのフィニッシュとはなったものの、#59 DAMD MOTUL ED WRX STIがランキングでは逃げ切りを果たすことに。TOWAINTEC Racingが見事シリーズ4連覇を達成することとなった。



終盤にヒヤリのシーンも、MUTA Racing TWS IS350がついに悲願達成なる!

 ST-3クラスでは今回も、#38 MUTA Racing TWS IS350の堀田誠/阪口良平組に敵は存在しなかった。前回は不運なトラブルで連勝を止めたが、ドライバーのふたりにもう、その記憶は遠い彼方に行ってしまったかのようだった。スタートと同時に阪口が逃げの構えに入り、ST-2クラス勢をも壁として、同じクラスの車両を寄せつけず。それでも逆転の可能性を首の皮一枚ながら残していた、#62 DENSO Le Beausset RC350の嵯峨宏紀/中山雄一/平木湧也組は、しっかり3番手につけていたのだが……。

 レースは終盤になって、一気に動きを見せた。まずラスト17分で#62 DENSO Le Beausset RC350にはブレーキトラブルが発生。戦列復帰はかなうも、これで7番手にまで順位を落とす。そして#34 assetテクノRC350の前嶋秀司/佐々木雅弘組は、ラスト12分で最後のドライバー交代を給油もタイヤ交換も行わず、トップを守ろうという荒技に打って出るも、20秒ほど足りずに逆転に失敗。

 だが、それ以上のアクシデントが、ラスト4分で発生した。なんと阪口が、ST-Xクラスで激しい4番手争いを繰り広げていた最中の#89 HubAuto Ferrari 488GT3と接触! しかし、とっさの機転でハンドルをまっすぐに戻し、ダメージをフェンダーだけで済ませたことで、阪口はその後の周回も許されることに。その結果、逃げ切って4勝目をマークした#38 MUTA Racing TWS IS350は王座を獲得。堀田にとって初のタイトル獲得となり、しっかりホームコースの岡山に足跡を残すこととなった。

 3位は#68 埼玉トヨペットGBマークX G’sの番場琢/平沼貴之/服部尚貴組が獲得、昨年のST-4チャンピオントリオが、久々の表彰台に立っていた。

グループ1総合優勝(ST-Xクラス優勝)#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-R

内田雄大

「決まりました! 今回は(近藤真彦)監督も来てくださいましたし、優勝を意識するなっていうと嘘になっちゃいますが、しないようにして。ひとつひとつのコーナーに集中して、最後まで走りきれました。チャンピオンというのは初めてで、といってもレース経験はまだ2年しかないので、それでこのプロジェクトに参加させていただいて、それも1年目ということで、チャンピオンというのに名を刻めて最高です。藤井さん、平峰さん、近藤監督に感謝したいです。あと一戦ありますから、最後まで頑張ります」

藤井誠暢

「今までレースで涙出たことはなかったんですが、今回は生まれて初めてレースで涙が出ました。5年分の重みというのが僕の中にあって、このプログラムを12年からやって来て、いろんなことがあったし、そんな中で着実にチーム、学校、学生、クルマ、すべてが成長できました。本当にそういう意味で、今年は自分にとっても集大成だと。今年は絶対にチャンピオンと思って、開幕から優勝を重ねて来て、結果的に本当に最高の形でチャンピオンが獲れました。教育プログラムで学生が関わる、公式なレースで年間チャンピオンというのは世界的にもないし、これはすごく記録的なこと。日産自動車大学校にとっても、日産にとっても、ニスモにとっても素晴らしいことなので、すごく感謝しています。近藤レーシングにとって初のシリーズチャンピオンってことも聞いたので、そういった中に自分も参加できて、すごく光栄です」

平峰一貴

「決まったんですか? よく分かっていませんでした。今日の勝利はすごく良かったと思います。うれしいの一言です。最後はタイムをずっと抑えて、1.5秒から2秒ぐらい抑えていました。プッシュもしたくなかったし、次に向かってクルマのダメージを最小限にしたかったし、常にもう抑えていました。四輪に上がってから初めてのチャンピオンなので、めっちゃ嬉しいです」

ST-1クラス優勝 #777 D’station Porsche 991

星野敏

「今回の総合7位というのは、すごいと思います。今回はふたりで、私もそうですけど、ノーミスで走れたんで、2スティント。今日はすごく満足しています。あとはオートポリスの一戦、また完走して有終の美を飾りたいと思います。今年はPCCJもまた獲れたので、このまま最高の一年で終わりたいと思います」

荒聖治

「けっこう頑張ったと思うんですよ、総合7位というのは。何台かちゃんと抜いて、いいペースで走っていますからね。本当に今まででいちばんいいレースができたと思います、ミスもなかったので。僕たちの走りの内容、レースの内容もどんどん良くなってきているので、確実に進化していると思います」

ST-2クラス優勝 #20 RSオガワADVANランサー

下垣和也

「あまりに久々なので、めちゃくちゃ嬉しかったです。去年の開幕戦、もてぎ以来かな。速さはちょいちょい見せられたんですが、なかなか勝てなくて、今回はスタッフも必勝態勢で緊張していて、でもみんなミスなく、いい仕事できたから勝てたと思うんですよね。今日は本当に完璧にうまくいって、勝てて良かったです。とりあえず次も勝つことだけを目指します。久々のトップチェッカーはすごく嬉しかったので、またあの気分を味わいたいです」

松本武士

「ようやくですね、本当にようやく勝てた。いつもトップでは帰って来るんですけど、なかなか運に恵まれない展開が多かったので。今日もスタートですぐトップに出るって、決めていたんですけど、そのとおりにトップに立てました。もうちょっと差を広げていきたいと思っていたんですが、グループ分けしているので割とスムーズなレース展開で、なかなか差が広がらなかったですね。でも、その差を後のドライバーがキープしてつないでくれたので、今日はいいレースでした。岡山はホームコースでもありますからね、本当に勝てて良かったです」

近藤説秀

「今年からのフル参戦で、初優勝。嬉しいですね。勝てるチームなんで、やっとという気分もありますけど、1年目でなかなか勝てなかったもので、とにかく一番になれて良かったです。今日は松本くんから一番でつないでもらって、後ろが最初に出た時は見えていたんですけど、全然来なかったんで、そのままトップで引っ張れたので、戻って来ても小川監督に怒られずにすみました(笑)。仕事ができて良かったです」

ST-2クラス2位 #59 DAMD MOTUL ED WRX STI

大澤学

「勝ちは意識していなかったんですが、とにかく6号車(新菱オートDIXCELエボX)の前でゴールしたいというのがあって、なんとか菊地さんに抜かれないよう頑張っていたんですが、クルマのバランスが悪くて、抜かれてしまって。でも、その後に後藤さんが頑張ってくれて、なんとか……。決められて本当に良かったですね。これで4連覇。まさか、始めた時はここまでくると思わなかったんで、本当に嬉しいです。みなさんのおかげです。今年はチーム体制が大きく変わって、今までと勝手が違うので、僕自身もいろいろと頑張らなきゃいけないことが多くて、大変でした。本当に嬉しいです」

後藤比東至

「S耐で初めてのチャンピオンです。チームは4連覇なんですけど、僕にとっては初。インテグラのワンメイクレースでとって以来です。チーム体制が一新されて、大澤選手の相方がヘボくなっちゃったんで(笑)、どうなることかと思ったんですけど、ホッとしています。それがいちばん大きいですね」

檜井保孝

「少しですがチャンピオン決定に協力できて、すごく嬉しかったです。僕的にはすごく乗るのが難しくて、まだまだ慣れていないな、って残念ながら思っている状態で。乗りながら、少しずつ慣れているという悲しい状態で、もっとうまく乗らなきゃいけないのにって思いながら戦っています。まだ最終戦もあるので、いろいろ試してみたいと思います」

ST-3クラス優勝 #38 MUTA Racing TWS IS350

堀田誠

「おかげさまで良かったです。スタートで良平選手がマージン築いてくれたので、僕の時はタイヤ無交換で、燃料満タンで出たんですが、クルマも決まっていましたし、ちゃんと言われたタイムを刻めたので、安心してまた渡すことができて良かったです。好きな岡山で、こういう形でシリーズ決められたのは、やっぱりサーキットの神様に感謝しなきゃいけないと思います。いや〜、でも、まだ実感ないんですよ。後から足し算が間違っていたとか、大丈夫かなと。なんかオチが来るような気がして(笑)。本当に良かったです。人生で最高の足跡をつけることができました」

阪口良平

「スタートしてから一発もロングも、自分の方にマージンあるのがすぐ分かったので、スタートしてWRXさえ抜けばコントロールできるかなと。ロングで堀田さんにユーズドタイヤで行ってもらったので、ちょっとつらかったと思うんですよ。オーバーステアもきつかったと思うんですけど、それでもタイムはきっちり出してくれたので、それ見ていたら安心しましたし、さすがプログラムで取り上げられるだけの男だな、と思いましたね。やっぱり正直、実感があんまりなくて、ひやっとした坂本裕也の顔しか出てこない(笑)。当たる時にハンドルを戻して、側面で当たるようにして受けたから良かったですけど、あれ、切っていて当たったら、ピットインだったでしょう。でも、本当にクルマが良かった。ずっと練習してきて、その時にロングのセットを見出せたんでね。あと、一発のセットも見出せたので。それが一番だと思うので、チームにまず感謝ですね」

 

(はた☆なおゆき)

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