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第6戦プレビュー
日本最南のサーキット、オートポリスで激戦繰り広げられる!
月日が経つのはあっという間で、ほんの少し前にもてぎで幕を開けた印象のあるスーパー耐久シリーズながら、もう最終戦を迎えることになった。舞台となるのは、九州のオートポリス。
ここまで5戦で激しい戦いが繰り広げられた結果、6クラス中4クラスでこの最終戦を待たずして、チャンピオンが決定した。新チャンピオンとして、果たして有終の美を飾れるか注目される一方で、未決定なのはいずれもグループ2の、ST-4クラスとST-5クラス。特にST-5クラスは3チームに権利が残され、大激戦はもはや必至である。
最後まで白熱するST-5クラスのタイトル争い
オートポリスが舞台の最終戦も2グループ開催となるが、冒頭で触れたとおりグループ1のST-Xクラス、ST-1クラス、ST-2クラス、そしてST-3クラスは、すべて前回の岡山国際サーキットでチャンピオンが決まってしまった。その一方で、グループ2は2クラスとも未決定と、状況は対照的になっている。
ST-4クラスのポイントリーダーは、村田信博/小河諒/元嶋佑弥組の#13 ENDLESS ADVAN 86で、追いかける松井孝允/井口卓人/蒲生尚弥組の#86 TOYOTA Team TOM’S SPIRIT 86との差は21ポイント。ということは、村田組が予選でクラスポールを獲得すると、1ポイント追加されて、もう決勝を走らずとも決定ということになる。逆に松井組が逆転するにはクラスポールを獲得した上で、優勝を獲得してなお、村田組がリタイアしない限り、不可能とあって状況はかなり厳しいこととなっている。
いずれにせよ松井組は、少々のリスクを冒してでも必勝体制で挑むはずだ。たとえチャンピオンは獲れなくても、最終戦で勝てば気持ちよくオフシーズンを過ごせるし、また溜飲を下げることも可能。逆に村田組はスピードでかなわないとなれば、リタイアだけは絶対にしないと、守りのレースにも入る可能性はあろう。もっとも、それを元嶋が認めるかどうか。というのも、ライバルのひとり、井口は同郷の先輩ドライバー。そのふたりが初めて故郷のサーキットでビッグレースを、しかも同じクラスで戦うとあって、九州でいちばん速い86使いの称号が、ともに欲しいはずだ。元嶋と井口を中心に、意地と意地のぶつかり合いを大いに楽しめそうだ。
また、このクラスでは前回、加藤彰彬/近藤翼/堤優威組の#54 TC CORSE iRacing ROADSTERが初優勝。このクルマは旋回性能に優れ、テクニカルコースをめっぽう得意とするだけに、オートポリスにもマッチするのではないか? 一方、第4戦までは村田組、松井組だけが優勝を飾っており、次に一矢報いるのは自分たちだと思っていただろう、他の86勢は加藤組に先を越されて、さぞかし悔しい思いをしているはずだ。今季最後の戦いは、何も元嶋と井口だけでなく、誰もが勝利に対して貪欲に挑んでこよう。
一方、唯一激しいタイトル争いが繰り広げられそうなのが、言うまでもなくST-5クラスだ。大野尊久/梅本淳一/窪田俊浩組の#69 BRP★J’S RACINGホンダカーズ浜松北みきゃんFITを、12ポイント差で追いかけるのは古宮正信/松田智也/吉本晶哉組の#19 BRP★J’S RACINGホンダカーズ三重北FIT、さらに2.5ポイント差で谷川達也/井尻薫/野上達也組の#17 DXLアラゴスタNOPROデミオSKY-Dが続く。
ライバルのどのチームに優勝を許そうとも、大野組は3位に入れば逃げ切り決定。これは精神的にかなり有利ではあるものの、第1戦以来優勝に恵まれておらず、勝てずに終われば、たとえタイトルを手にしても、目覚めが悪いと思うドライバーばかり! 絶対に守りに入ることなどあり得ないと言える。逆に言うと、そこにリスクが生じる可能性もあり、ライバルチームにはつけ入る隙も。唯一2勝を挙げている古宮組は、とにかく3勝目を目指し、その上で何台でも大野組の間に割って入って欲しいと思っているはずだ。
もし割って入るとすれば、その有力候補は村上博幸/筒井克彦/脇谷猛組の#88 村上モータースMAZDAロードスターであるに違いない。今年も1勝を挙げており、ST-4クラス同様、ロードスターはテクニカルコースを得意とする。さらに言うなら、筒井にとってオートポリスはホームコースとあって、誰よりも勝ちたいと強く思っているはずだ。
谷川組のデミオはディーゼルターボを搭載するため、このアップダウンの激しいコースではエンジンパフォーマンス的に不利と言えそうだが、しかし雨でも触ればアベレージが全体に下がり、なおかつ自慢の高燃費が戦術の幅を大幅に広げてくれる。最も諦めずに最後の戦いに挑むのは、実はこのチームではないだろうか?
ST-1クラスで有終の美を狙う、D’Station Porsche 991に強敵が!
ST-Xクラスでは内田雄大/藤井誠暢/平峰一貴組の#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが、ST-1クラスでは星野敏/荒聖治/星野辰也組の#777 D’station Porsche 991が、そしてST-3クラスでは堀田誠/阪口良平組の#38 MUTA Racing TWS IS350が初のチャンピオンを前回で獲得。さらにST-2クラスでは大澤学/後藤比東至/檜井保孝組の#59 DAMD MOTUL ED WRX STIが4連覇をすでに達成している。これら4チームには、チャンピオンとして凱旋レースで花道を最後に飾れるか注目される。そして、逆の立場からすれば、ライバルチームには最終戦の優勝で、一矢報いることを誓うこととなる。
正直、これほど強かったチームを破るのは至難の技かもしれない。勢いも十分残されているかもしれないし、中には負ける気がしない、とすら思っているチームもあるだろう。だが、スポット参戦ながら、真っ向勝負に挑んで、絶対に勝ってやると思っているチームがある。それがST-1クラスに出場する、木村武史/林裕一/野間一組の#108 CARGUYだ。前回ST-Xクラスに挑んだのと同じランボルギーニウラカンではあるものの、今回用いられるのはスーパートロフェオで用いられるワンメイクレース仕様。これが速い。
富士での比較になるが、スーパーカーレースで木村が1分42秒915を記しているのに対し、ポルシェカレラカップジャパンのレコードが1分42秒716。これだと双璧を成すが、今年のスーパー耐久のST-1クラスと比較すると、5秒もの差があるのだ。もちろん星野組がどこまで本気でアタックしていたかわからないが、優るとも劣らぬことは確実だ。わずか2台での戦いになるが、ST-1クラスが今年なかったほどに盛り上がることとなるだろう。
なお、今回は今季3度目の2グループ開催とあって、グループ2の決勝を日曜日の午前に、グループ1の決勝を午後に行うことになる。クリアラップが取りやすくなることで、天候に恵まれ、かつセーフティカーが出なければ、今までと同じ3時間レースであっても、飛躍的に周回数は伸びるはず。まずは、天気に恵まれることを期待したい。
(はた☆なおゆき)
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