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第1戦プレビュー

ツインリンクもてぎでも、2レース開催決定!

 これまでは5時間レースとして争われてきた、ツインリンクもてぎのスーパー耐久だが、今年は2レース開催に改められ、なおかつ200分間レースとなった。これまで2レース開催の場合は3時間だったから、20分間増やされた格好で微妙な違いではあるものの、「たかが20分間、されど20分間」となる可能性も十分にあるのではないか。義務づけられるピットストップは3時間同様2回とあって、これまでも燃費などがギリギリだったとしたら、さらなるマネージメントが求められるからだ。

 2レース開催のメリットは、2グループに分けられることで安全性が高められることだが、走りやすくなった一方で、絶えずスプリントレースのような緊張感を保たなくてはいけないとも。激しいバトルが勃発した場合、どこまで我慢できるかで最後に笑うようなシーンも見られるかもしれない。

新設のST-Rクラス、シビックに豪華メンバーが!

 今年のスーパー耐久における最大の話題は、何と言っても2クラスの新設だろう。残念ながらFIA-GT4によるST-Zクラスにはエントリーがなく、開幕戦は不成立となってしまったが、もうひとつのST-Rクラスには4台のエントリーがあった。アウディRS3 LMSとホンダ シビック タイプRが2台ずつとは早い段階で明らかになっていたが、ドライバーが明らかになっていたのは、アウディのBRPだけ。ST-5クラスでチャンピオン経験のある奧村浩一選手が、次なるステップを踏むべく、ルーキーの秋吉圭選手、そしてスーパーカーレース等に出場していた山脇大輔選手ともにエントリーすると。現時点でもAudi Team DreamDriveのドライバーが明らかになっていない。

 シビックもDOME Racingから……とされているだけだったが、このほどラインアップが明らかになった。Modulo Racing Teamの97号車は伊藤真一選手と海老沢紳一選手、中野信治選手が、そしてMOTUL DOME RACING PROJECTの98号車は黒澤琢弥選手、石川京侍選手、そして加藤寛規選手がドライブすることとなったのだ。さらに今後は道上龍選手、土屋圭市氏らも加わるというから驚きだ。

 個人的には、海老澤選手に注目したい。昨年まで2年連続でFIT 1.5チャレンジカップでチャンピオンを獲得し、スカラシップでの出場となるからだ。ワンメイクレースでの活躍が評価されたこと、なおかつスーパー耐久への繋ぎ橋を用意したことは、双方の活性化につながること、間違いない。キャリア十分なドライバーであるものの、まさにドリームチームの中で腕により磨きをかけてくれることが期待される。

 アウディにせよ、シビックにせよ戦闘力は未知数ながら、FIA-GT3同様にBoPが設けられているため、そう極端な差はつくまい。激しい戦いが見込まれるとともに、今後この戦いにフォルクスワーゲン ゴルフも加わる予定となっている。

土曜日の決勝はST-RとST-1、ST-2、そしてST-5クラスで競われる

 従来は2レース開催の場合、ST-4クラスとST-5クラスによるレース、そしてそれ以外によるレースとして行われてきたが、今年は組み合わせを固定せず、かつ台数的なバランスをうまくとって行われる予定だ。ちなみに、もてぎの開幕戦は土曜日の決勝をST-RクラスとST-1クラス、ST-2クラス、そしてST-5クラスという組み合わせになる。2リッターターボエンジンを積むST-Rクラスが、四駆ではあるものの、同じ排気量域のST-2クラスと果たしてどういった折り合いになるのか、大いに気になるところであるが、最速はやはりST-1クラスだろう。

 当初は年間エントリーがaprのポルシェ911GT3 Cupだけで、当面は孤軍奮闘の戦いが続くものと予想されたが、開幕戦からBENDのBMW Z4Mクーペがエントリー、対決を楽しめそうだ。ちなみに#31 Nissoku Porsche 991GT3CuPは、Aドライバーの小川勝人選手がオーナーでもあり、脇をベテラン影山正美選手と、GT-R使いとして頭角を現してきた富田竜一郎選手が固めることとなった。なお、マシンは昨年のチャンピオンカーそのものだ。

 ST-2クラスは昨年のランキングトップ3が、揃って不動の体制であるのが興味深い。ドライバーの力量としては、まったく不満がないということなのだろう。引き続き大澤学選手と後藤比東至選手を擁し、スバルWRX STIを走らせるTOWAINTEC Racingは5連覇なるか? はたまたRSオガワの王座返り咲きなるか、シンリョウレーシングチーム初の悲願成就なるか、大いに注目されるところ。

 なお、そのシンリョウレーシングチームのもう1台、7号車のAドライバーとして起用された吉田綜一郎選手は、昨年のN-ONEオーナーズカップのチャンピオン。13戦+特別戦のうち13戦に出場して、8勝を挙げた逸材でもある。奇しくもホンダのワンメイクレースの、N1とナンバーつきという違いはあっても、チャンピオン全員がスーパー耐久に挑むことになり、RSオガワの20号車を駆る松本武士がFITの鈴鹿チャンピオンで、前述の海老澤がもてぎ・菅生シリーズのチャンピオンである。

 15台が挑むこととなったST-5クラスは、昨年1台だったマツダ ロードスターが4台に増加。昨年の第2戦で初優勝を飾った村上モータースが引き続きエントリーするが、村上博幸選手とともに表彰台に上がった筒井克彦選手がチームを移籍。それぞれ岡山のロードスター使い脇谷猛選手、そして山下潤一郎選手と新たなペアを組むこととなった(ともにCドライバーは現時点で未発表)。

 また、昨年までBRPとのジョイントで挑んでいた、J‘S RACINGは、単独でのエントリーとなり、改めて2台を走らせる。69号車は引き続き大野尊久選手と梅本淳一選手が組み、山田秀明選手がCドライバーに。そして、もう1台の700号車のAドライバー、ヒロボン選手もFIT鈴鹿シリーズを今も戦うドライバー。N1ワンメイクレースで通用した者は、スーパー耐久でも文句なく通用する、というかつての風潮を蘇らせてほしいものだ。

KONDO RACINGがST-Xクラスの連覇を狙う!

 日曜日の決勝は、ST-Xクラス、ST-3クラス、そしてST-4クラスという、いずれも激戦区の組み合わせとなる。ここでは最速なのがST-Xクラスであるのは間違いない。7台のFIA-GT3による戦いは、まずニッサンGT-Rニスモを駆るKONDO RACINGが連覇に向けて、スタートダッシュを決められるか注目される。内田雄大選手と藤井誠暢選手、平峰一貴のトリオは不動のままで、戦力的に何も不満のないことの表れと言えるだろう。公式テストには参加しなかったとはいえ、引き続きベンチマークとなるのは必至だ。

 その最大の対抗馬は、同じGT-Rを走らせるENDLESS SPORTSとGTNET MOTOR SPORTに違いない。特にENDLESS SPORTSは峰尾恭輔監督が、ドライバー目線で指揮を執ることで注目される。一方、公式テストでトップタイムは、ARN RACINGのフェラーリ488 GT3がマーク。ニューマシンにありがちなマイナートラブルもなく、永井宏明選手と佐々木孝太選手のコンビは、一躍台風の目となりそうだ。同じ488GT3のHubAuto Racingにも、そろそろ優勝が欲しいところだ。他には新旧ポルシェが1台ずつ。ケーズフロンティアはタイプ997を、ST-1クラスから移行のD’station Racingはタイプ991を走らせる。

 ST-3クラスにはニューマシンも。昨年ST-5クラスでマツダ デミオディーゼルを初優勝に導いたTEAM NOPROが、今度はアクセラ ディーゼルを投入。まだ熟成の最中とあって、いきなり真っ向勝負とはいかないだろうが、大排気量のFRとはまったく異なるレースマネージメントは必見だ。

 そして、初のフル参戦で話題を集めるのが、TECHNO FIRSTからエントリーの、本山哲選手率いるSKT team motoyamaのニッサン フェアレディZ。スーパーGTで「帝王」とまで呼ばれる存在の、本気に期待したい。Bドライバーの松原怜史選手は、昨年のGR 86/BRZレースのクラブマンシリーズチャンピオン。やはりワンメイクレースの王者が実力を評価されたのは、嬉しい限りである。

 総じて、このクラスもまたドライバーの顔ぶれに入れ替えは少ない一方で、TECHNO FIRSTで佐々木雅弘選手と、長年コンビを組んできた前嶋秀司選手はTRACY SPORTSに移籍して、レクサスRC350をドライブ。佐々木選手はST-4クラスへの移行が明らかになった。また、TRACY SPORTSは引き続きレクサスIS350を走らせる。悲願の王座を獲得した堀田誠選手と阪口良平選手のコンビは変わらず、しかしハコ替えを敢行した。そのあたりがどう戦況に影響を及ぼすのか、気になるところではある。

今年から全クラスで、ウエイトハンデ制度を実施

 ST-4クラスでは、チャンピオンチームのENDLESS SPORTSが陣容を大きく改めたのが注目すべきポイントだ。小河諒選手はそのままに、脇を固めるのはF3の経験も持つ高橋翼選手と、86/BRZレースのクラブマンシリーズを戦っていた花里祐弥選手。ともにスーパー耐久ではルーキーであるため、適応力が試される。

 ランキング2位のTOM’S SPIRITも、CドライバーにF3でも活躍中の坪井翔選手が加わることになった。ただし、今回はそのF3との日程のバッティングにより、昨年までのレギュラー井口卓人選手が代役として起用される。

 一方、ホンダ車の減少が、やや残念なところ。これまでの常連だったKRPやSPOONのエントリーがなく、TRACY SPORTSもまたトヨタ86だけとなってしまった。これもまた時代の流れだといえば、それまでなのだが……。ただし、ST-4クラスが依然として激戦区であることには変わりはなく、引き続き熱いバトルを繰り広げてくれるはずだ。

 なお、今年からスーパー耐久はウエイトハンデ制度を、昨年途中からのST-Xクラスだけでなく、全クラスにおいて実施することになった。クラスごと搭載重量は異なるものの、これが果たしてどんな影響を及ぼすか。なお、今回は開幕戦ということもあって、全車ノーハンデとなるが、今後を見越した戦いをすることも……まぁ、そんな余裕のあるクラスなど存在しないだろう。

 

(はた☆なおゆき)

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