SUPER TAIKYU

RACES ARCHIVE 2013

REPORT

決勝レポート

#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3が連勝を飾る!

 富士スピードウェイを舞台に、スーパー耐久シリーズ第4戦の決勝レースが8月11日(日)に開催された。今季最長となる7時間耐久レースとあって、数々のドラマが生み出されたものの、2戦連続の優勝を飾ったのは、ドミニク・アン/谷口信輝/メルビン・モー組の#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3。残り1時間、星野一樹/青木孝行/尾本直史/吉田広樹の#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rの追撃を、辛くもかわすこととなった。

ラスト1時間のドラマ、1分強の差を星野が劇的に詰めるも、
#1PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3が逃げ切りを果たす

 今回もニッサンGT-Rが予選で猛威を振るい、青木孝行/星野一樹/尾本直史/吉田広樹組の#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rが幻には終わったものの、開幕戦以来のポールポジションを奪い、2番手も藤井誠暢/千代勝正/GAMISAN組の#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが獲得。決勝レースも青木と千代が激しく競い合う形で始まり、後続を早々と引き離していく。そのふたりの間でも青木が7周目から差を広げていった。

 そんな中、40分ほど経過した22周目にセーフティカーが入る。最終コーナーでストップした車両があり、回収のため3周を走行。これに合わせて青木はピットに入り、2スティント連続走行を敢行する。一方、その間に千代はトップに立つが、ほぼ1時間目の31周目に緊急ピットイン。「イレギュラーでチェックをしなければなかった」と後に藤井は語っていたが、何らかのトラブルを抱えていたのだろう。

 代わって#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3の片岡龍也がトップに立つ。その後、ファリーク・ハイルマンに代わってもレースを支配し続けたものの、93周目のプリウスコーナーでスピンした後、94周目のピット作業の際に違反が。ハイルマンが行わなくてはならないドライバー交代補助を、メカニックが行ってしまったためだ。そのため、20秒のペナルティストップを命じられ、早々と2台が優勝争いの権利を失ってしまう。

 3時間目を過ぎて間もなく、#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rがトップに返り咲き、星野が激走を見せる。その星野から尾本に代わる間に、トップに立ったのは#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3。谷口が徐々にリードを広げていく。そのリードがさらに広がるきっかけとなったのは、120周を超えたあたりから降ってきた雨。谷口が最も得意とする、まだスリックタイヤでも走れる状態だったためだ。その結果、1分以上のリードも築いたのだが。

 そして145周目にはアンに交代。雨はだいぶ弱くなっていたからスリックタイヤを履かせるも、その直後に雨が再び強く降ってきたからたまらない。わずか3周でアンを呼び戻し、タイヤを交換するうちにリードは20秒を切るほどになってしまう。その2周前に尾本から青木に代わっていた#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rは、もちろんレインタイヤに交換していたから、そのタイミングも功を奏することに。さらに雨が弱まると青木のペースはより上回るようになり、171周目の1コーナーではついにアンを捕らえる。

 182周目、残り1時間15分となったところで、#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3は最後のピットストップを行い、モーに交代。そしてタイヤもスリックに改める。トップの青木のタイムをわずか3周で上回るようになるが、その青木は頑にピットに戻らず6時間を経過。2分ほど過ぎた192周目にようやく戻ってくる。その理由は星野のドライブで明らかになる。プラチナドライバーであるため、1/3を超えた周回が許されず、走行可能なのが1時間弱だったためだ。差は1分強あったものの、これが秒単位で縮まっていく。

 ところが、220周目に差が15秒を切るまでとなるも、その直後にリヤから白煙が。星野の激しいプッシュにドライブシャフトが耐えきれず、やむなくペースを落とす羽目に。その結果、#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3が難なく逃げ切り、2連勝を達成。#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rは最終ラップに#3 ENDLESS ADVAN PORSCHEにかわされ、3位に後退するも、何とかチェッカーを受けて完走に成功する。

Faust Racing Team、STURM MOTUL EDインプレッサが揃って2連勝
ST-3クラスのPETRONAS TWS GS350は、未だ土つかずの連勝続く!

 ST-1クラスでは佐藤茂/山野直也/堀主智ロバート組の#9 Faust Racing BMW Z4がハブボルトの破損でピットスタートを強いられたため、一気に余郷敦/坂本祐也/石原将光/池田大祐組の#51 DIAMANGO BMW Z4が楽になったと思われた。それでも#9 Faust Racing BMW Z4は着実に追い上げ、やがてシーソーゲームを演じるまでに。最後まで続くことが期待されたが、#51 DIAMANGO BMW Z4はドライブシャフトの破損で、158周目にリタイア。これにより#9 Faust Racing BMW Z4が前回のもてぎに続く、2連勝を飾ることになった。

 ST-2クラスは予選でもトップだった、大橋正澄/阪口良平/窪田俊浩/花岡翔太組の#20 RSオガワADVANランサーのリードからレースは開始される。その一方で、連勝を狙っていた大澤学/吉田寿博/松田晃司組の#59 STURM MOTUL EDインプレッサに、オープニングラップのダンロップコーナーで後続車両の追突を受ける不運が。マフラーが潰れて自慢のパワーが絞られてしまう。#20 RSオガワADVANランサーの阪口は、序盤に激しいバトルを演じた菊地靖の#6 新菱オート☆DIXCELエボIXがオーバーヒートによって遅れを取ると、そのまま独走態勢に持ち込むものと予想された。

 だが、43周目に最初のピットストップを行い、大橋がコースに戻ろうとすると、またセルモーターが熱のため作動せず、ピットで長い修復の時を余儀なくされる。これで#59 STURM MOTUL EDインプレッサがトップに立ち、そのまま逃げ切って連勝を飾ることとなった。




 ST-3クラスでは予選こそ3番手だった、佐藤晋也/吉本大樹/脇阪薫一組の#80 PETRONAS TWS GS350ながら、吉本がオープニングラップに韋駄天ぶりを発揮し、いきなりトップに躍り出る。SCランのポジショニングで後続にほぼ1周のマージンを得ることになり、途中黄旗追い越しのペナルティとして30秒ストップを命じられるも、それでも難なく逃げ切りを果たすことに。2位は佐々木雅弘/前嶋秀司/安田裕信組の#34 assetテクノZ34が獲得。終盤に激しい追い上げを見せたが、タイヤが異物を拾って予定外の交換を余儀なくされていた。

前回の雪辱なったTRACY SPORTS ings S2000
ST-5クラスでDIXCELアラゴスタNOPROデミオが初優勝!

 ST-4クラスでは予選でもトップだった、植松忠雄/井入宏之/筒井克彦組の#41 TRACY SPORTS ings S2000のリードから開始されたが、驚くべくはわずか2周にして#86 GAZOO Racing TOYOTA 86の影山正彦がトップに立ったこと。だが、その栄華は長くは続かず、接触とそれに対するペナルティで順位を落とし、最終的にはエンジントラブルで4時間を待たずしてリタイアを喫する。

その後はピットストップのたびにトップが入れ替わるような状態が続いていたが、#41 TRACY SPORTS ings S2000が2時間を過ぎたあたりから、その座を確実なものにしていった。最終的には全車を周回送れとする圧勝で、前回の無念をすっきり晴らすこととなった。
 2位も前回よりひとつ順位を上げた松井猛敏/中島保典/光貞秀俊組の#95 リジカラS2000が獲得。そして北川剛/野間一/藤田弘幸/下山和寿組の#333 オートバックスGLORY-R.FN2が3位入賞を果たしている。

 ST-5クラスでは序盤のトップを、後藤比東至/井尻薫/木村正治/碓井久彦組の#36エンドレスアドバントラストヴィッツがひた走ったものの、なんとオイルクーラーから振動によってオイルが漏れて長い修復を余儀なくされる。これでトップに立ったのは、谷川達也/小原健一/野上達也/野上敏彦組の#17 DIXCELアラゴスタNOPROデミオ。一時は後続車両に僅差まで迫られたものの、最後まで踏ん張り続けてマツダ・デミオで、初優勝を飾ることとなった。 2位は奥村浩一/古宮正信/駒木孝有/西田公也組の#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィットが獲得している。

総合優勝/GT3クラス優勝:#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3

谷口信輝

「ものすごく嬉しいですよ、その分ものすごく苦労しましたけど。途中、僕のスティントでトップまで行けて、そこで雨が降ってきてちょい濡れスリックでおいしく稼がせてもらったんだけど、その後僕からドミニク(・アン)に代わったところでスリック履いて出たら土砂降りで。せっかく1周ぐらいあった貯金がなくなってしまい、81号車の青木(孝行)に抜かされたり、(星野)一樹に激しく追いかけられて、特に残り1時間は胃が痛くて。最後は81号車にトラブルが出て、そこでようやくホッとしました。運にも助けられ、この7時間のレースを制することができたのは、非常に嬉しいです」

総合7位/ST-1クラス優勝:#9 Faust Racing BMW Z4

山野直也

「ちょっとトラブルがあってピットスタートだったんですが、みんなで力を合わせて、コンスタントラップを高めてどんどん追い上げていって。最終的に相手にトラブルがあって、助かりましたけど、7時間を走り切れて本当に良かったです。このまま連勝を重ねてチャンピオンを獲りたいと思います」

総合11位/ST-2クラス優勝:#59 STURM MOTUL EDインプレッサ

松田晃司

「連勝できて良かったんですが、実はスタート直後のダンロップコーナーで、3クラスのクルマにぶつけられて。たぶんマフラーが塞がれちゃって、パワーがなくなってしまい、正直ホント、終わったと思ったんですけど、7時間長いから諦めずにいこうと。まわりにトラブルもあったけど、致命的なのがうちにはなかったので、本当にメカニックには感謝したいです」

総合8位/ST-3クラス優勝:#80 PETRONAS TWS GS350

脇阪薫一

「今回、吉本(大樹)が帰って来てスタートやってもらって、それに尽きるかなと。どこでペナルティになったのか分からないけど、それは良しとして。いいスタートしてくれたし、いろいろ起こることも全部想定内だったので、本当に良かったと思います。何より、パートナーのふたりが頑張ってくれました」

総合17位/ST-4クラス優勝:#41 TRACY SPORTS ings S2000

井入宏之

「作戦がうまいこといったんで、途中からは予定どおりと言う感じだったんですけど、最後ちょっと、たぶん足まわりが壊れかけているんで、ペースを落として、ちょっと安全に。チェッカー受けないと勝ちになりませんからね。予定どおりポールから勝って、ファステストも獲れました。

総合27位/ST-5クラス優勝:#17 DIXCELアラゴスタNOPROデミオ

谷川達也

「僕がスタートとチェッカーを担当させてもらったので、いいとこ取りをさせてもらいました。デミオが初優勝ということなんで、チームに貢献できて本当によかったと思います」 野上達也「これが初優勝なので、本当に嬉しいです。ウェットの中、スリックっていうのは初めての体験だったんで、とにかくクルマをピットに戻ること大前提に、すごく大事に走って、次につなげられたのが良かったんだと思います」

 

(はた☆なおゆき)

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