予選レポート
ドライバーの力を合わせてGTNET ADVAN NISSAN GT-RがPP獲得
スーパー耐久シリーズ第4戦が富士スピードウェイで開催され、その予選が8月10日(土)に開催された。真夏のレースだというのに2クラスでコースレコードが更新され、よりレベルアップを感じさせる中、ポールポジションは星野一樹/青木孝行/尾本直史/吉田広樹組の#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rが獲得した。
コースレコードを初参戦の佐々木大樹が奪うも、
合算タイムでGTNET ADVAN NISSAN GT-Rがポールポジションに!
金曜日には1時間ずつ3セッションの練習走行が行われ、ベストタイムとなる1分42秒560をマークしたのは、#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rを駆る星野。「ニュータイヤを履いていないので、今日と同じぐらいのコンディションなら、もう1秒ぐらい縮められると思います」とターゲットタイムを41秒の半ばと想定していた。
そして迎えた予選のAドライバーセッションでは、その星野がわずか1周のアタックで41秒692をマークしてトップに。これに42秒143で、#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3のドミニク・アンが続いた。だが、Bドライバーセッションでは星野のタイムを上回る者が。
それが#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rを駆る佐々木大樹だった。スーパー耐久こそ初めてだが、GT-RはスーパーGTでもドライブしているとあって激走を見せ、41秒225を新たなレコードタイムとすることに。
しかしながら、AドライバーとBドライバーのタイム合算では、青木孝行が42秒154をマークした#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rが上回った。GAMISANと佐々木がアタックをかけた#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rは、コンマ255秒差で2番手に。前回のウィナーであるアン、そして谷口信輝がアタックした#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3は3番手から決勝レースに挑む。
今回も2台で、一騎討ちの様相を呈しているST-1クラスでは、#51 DIAMANGO BMW Z4が初の予選トップに。余郷敦が47秒469を、そして坂本祐也が47秒614をマークし、ライバルの#9 Faust Racing BMW Z4を寄せつけなかった。
再び激化したST-2クラス、ランサーVSインプレッサ
今回の予選はRSオガワADVANランサーに軍配が
前回のもてぎでは久々にインプレッサの優勝を、しかもポール・トゥ・ウィンで許していたランサーながら、今回は逆襲に成功する。Aドライバーのセッションでこそ#59 STURM MOTUL EDインプレッサの大澤学に、#20 RSオガワADVANランサーの大橋正澄が52秒413に対し、52秒571と僅差で破れたものの、Bドライバーのセッションでは阪口良平が51秒478でトップに。#59 STURM MOTUL EDインプレッサの吉田寿博は52秒196と、タイムアップにこそ成功したが、合算では#20 RSオガワADVANランサーに破れることとなった。3番手は新菱オート☆DIXCELエボIXが獲得した。
ST-3クラスでは、小松一臣が53秒701、杉林健一が53秒858とタイムを揃えてきた#14 岡部自動車KYOSHIN計測Z33がトップ。昨年のチャンピオンチームとして、大いに意地を見せることとなった。驚くべくは、スポット参戦ながら#77 B-MAX Z33のBドライバー、関口雄飛が52秒999と他を圧するタイムを出したことだ。残念ながら、AドライバーのDRAGONがクリアラップを取れなかったため、合算では4番手に甘んじたものの、「さすがGT500ドライバー」と、きっと誰もが思ったことだろう。
この2台に割って入ったのは、前回のクラッシュのダメージをしっかり直してきた#34 assetテクノZ34、そして連勝街道まっしぐらの#80 PETRONAS TWS GS350。この並びだけでも、今回のST-3クラスが大激戦となることを予想させた。
S2000勢が上位独占のST-4クラス、しかし3番手にGAZOO Racing TOYOTA86が!
連勝狙うエンドレスアドバントラストヴィッツがST-5クラスの予選トップに
前回のもてぎでは、ゴールまであと一歩というところで涙を飲んだ、#41 TRACY SPORTS ings S2000が、まず予選で逆襲を果たした。Aドライバーのセッションで植松忠雄が57秒420を、そしてBドライバーのセッションで井入宏之が56秒938をマークして、ライバルを一切寄せつけずにトップ。これに続いたのは、2戦連続の予選トップは許されなかった#95 リジカラS2000。合算タイムでは、ほぼ1秒離されていた。S2000勢が上位を独占する中、3番手につけたのは#86 GAZOO Racing TOYOTA86だった。影山正彦が58秒882、井口卓人が58秒386をマークし、前回からの新車投入効果が確実に表れている。
そしてST-5クラスではAドライバーのセッションで、#36 エンドレスアドバントラストヴィッツの後藤比東至が2分8秒138をマークしてレコードタイムを更新するも、Bドライバーのセッションで#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィットの古宮正信が、これをさらに上回る7秒986をマークして、新たなレコードホルダーとなる。しかしながら、#36 エンドレスアドバントラストヴィッツのBドライバー、井尻薫も7秒991と肉薄したこともあり、合算ではトップにつけることとなった。#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィットに続く3番手は、#602 PTGランドリー602明京産業ヴィッツが獲得した。
なお、今回は7時間にも及ぶ長丁場で、そのスタートは11時。降雨の心配はなさそうだが、予想される最高気温は悠に30度を超えているだけに、観戦される方は何度も繰り返すが、熱中症対策をしっかりしてほしいものである。
ポールポジション/GT3クラストップ:#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R
星野一樹
「想定どおりのタイムでしたが、もうちょっと出たと思います。もう1周行くつもりが引っかかって、『トップだよ』って言われたんで、スタートにも使うタイヤだから温存するためにもやめてしまったもので。レコードタイムは持っていかれたけど、同じ時間帯じゃないから気にならないし、それよりポールポジションが取れたことの方が大きいですからね。いい予選でした。決勝も基本的にはGT-Rが速いと思うけど、予選よりもメルセデスとのラップ差がなくなるので、ミスなくしっかり走りたいと思います」
青木孝行
「ポールポジション獲れたんで良かったんですけど、個人的には全然クリアが取れなくて、気持ちいい予選ではなかったです。7時間は長いんで、どうなるか分からないですが、きっと生き残り合戦みたいなレースになるんじゃないでしょうか」
総合9番手/ST-1クラストップ:#51 DIAMANGO BMW Z4
坂本祐也
「やっと結果を出せました。ここまでトラブルフリーで順調です。Aドライバーの余郷(敦)さんと同じぐらいのタイムを狙ったんですが、ちょっとその時とクルマの状態が違ったみたいで苦戦しちゃったんですよ。乗りにくくて思ったようなタイムも出ず、僕的には『あれ?』って感じだったんですけどね。あとは4人で、自分たちのパートをしっかり走って完走し、結果的にいちばん上にいられれば最高ですね」
総合11番手/ST-2クラストップ:#20 RSオガワADVANランサー
阪口良平
「今回はやること全部プラスになっていて、予選では100Rで大オーバー(ステア)が出たんですが、その周で一応ベストタイムが出ています。でも、本当は最後の計測ラップがいちばん良くて、最終コーナー立ち上がるまでメーター上でマイナスコンマ4秒の表示が出たんです。だけど、水温が上がってブースト補正がかかってしまって……。でも、予選の1ポイントはプレッシャーをかける意味でも良かったし、うちのモチベーションを上げる材料にもなります。メーカーの違うクルマとやり合っているのが、またやりがいにもなっていますよ」
総合13番手/ST-3クラストップ:#14 岡部自動車KYOSHIN計測Z33
杉林健一
「昨日の練習からクルマは調子良くて、小松(一臣)がポンとタイムを出したので、自分はそれに近いタイム、並んでいればいいかな、というタイムが1周目から出たんで。トップではなかったですけど、合算でふたり同じようなタイムならいいかなと、1周目でやめちゃいました。合算ではトップだったんで、すごく良かったです」
総合24番手/ST-4クラストップ:#41 TRACY SPORTS ings S2000
植松忠雄
「クルマを大幅に変えて、今までのデータにまったくないことを試して。井入(宏之)がやってきたことで、いろんなことをやっていこうというのが、うまく当たったんです。他のクルマより速いし、自分的にも3レース目とあってクルマに慣れてきたというのも大きいんでしょうね。前回は本当に悔しくて、帰りに泣きましたからね(笑)。井入が加わって、僕も筒井(克彦)選手も切磋琢磨して、すごくいい方向に行っています、チームの空気が」
総合40番手/ST-5クラストップ:#36 エンドレスアドバントラストヴィッツ
後藤比東至
「僕は昨日、ニュータイヤを入れられなかったので、井尻(薫)選手とふたりで、『このぐらいの内圧で、このぐらいのセットで行けたらな』って想定していったんですが、それがもうばっちりで! 自分的には100点の走りができたと思います。レコードタイムを出せて良かった。ただ15分間だけ、一瞬のレコードホルダーでしたけどね(笑)」
(はた☆なおゆき)