SUPER TAIKYU

RACES ARCHIVE 2013

REPORT

決勝レポート

第2戦以来の勝利を、#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3が獲得!

 スーパー耐久シリーズ第5戦の決勝レースが9月1日(日)に、岡山国際サーキットで開催された。久々の3時間レースながら、その間の天候変化は目まぐるしく、車両回収とも合わせ、セーフティカーが3回も入ったほど。まさに激動のレースを制したのは、ファリーク・ハイルマン/片岡龍也組の#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3。藤井誠暢/佐々木大樹/GAMISAN組の#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが、1秒5の僅差で2位につけた。

スタート直後の激しい雨に見せ場を作った2台のランサー
RSオガワADVANランサーと新菱オート☆DIXCELエボIXが総合トップも走る

 決勝の行われる日曜日は、早朝から雨が降っていたものの、スーパー耐久の決勝スタート進行が始まるまでは、そう勢いは強くなかった。ところが、フォーメイションラップが始まろうという頃から、にわかに強さは増してフォーメイションラップが1周追加されるまでとなっていた。そんな過酷な状況にあって、もちろんトップで1コーナーに飛び込んでいったのは、ポールポジションからスタートの#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rを駆る青木孝行。後続がウォータースクリーンで視界を遮られる中、わずか1周で2秒のリードを築く。

 そのまま逃げ続けたい青木だが、その後方には激しく迫る車両が。同じGT3クラスの車両ではなく、それはST-2クラスの車両! 4WDならではのメリットを生かし、#20 RSオガワADVANランサーの阪口良平が次々とGT3勢をかわし、4周目には#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3のハイルマンを抜いて2番手に。その勢いで5周目には青木をもかわして、総合トップに躍り出る。その後も逃げまくって7周目には7秒もの差が。だが、雨はさらに勢いを増したこと、そしてコースアウトした車両を回収するため、その次の8周目にはセーフティカーが入る。

 この間に阪口はピットに入って、大橋正澄と交代。これで青木がトップに返り咲くも、12周目にピットイン。星野一樹に交代する。ところが、ピットロード出口のシグナルを無視してしまったため、SCラン終了後に30秒のペナルティストップが命じられ、これで#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rはトップから1周遅れとなってしまう。また、GT3クラス勢の多くもピットで最初のドライバー交代を行ったこともあり、代わって総合トップに立ったのは、やはりST-2クラスの#6 新菱オート☆DIXCELエボIXの菊地靖だった。

 だが、やがて雨が弱まっていくと、GT3クラス勢が本来の速さを取り戻し、29周目には#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3の片岡がトップに浮上。今回はチームの主要スタッフが本拠を置くマレーシア、セパンの耐久レースにも出場するため、普段とは異なるメカニックたちが対応、そして片岡とハイルマンだけで走る、苦戦を承知の戦いだったものの、それがかえって緊張感や集中力を高めることになったのかもしれない。

 今回からプラチナドライバーの乗車が1/3から40%へと拡大したのも幸いし、1時間5分走って片岡は41周目にハイルマンに交代。その直後こそ、また#6 新菱オート☆DIXCELエボIXの菊地にトップを明け渡すも、46周目のピットストップ以降は再びトップを走行することに。その後、2時間を過ぎて間もなく、さらに残り30分を切った直後に2回目、3回目のSCランが行われるほど、天候は目まぐるしく変化したが、ハイルマンの走りは普段にまして安定していた。SCランのたびマージンを吐き出す格好となり、残り8分の再開時には#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの佐々木大樹が6秒差にまで急接近。6周の超スプリントバトルでハイルマンは佐々木に2秒を切るまでに迫られたものの、何とか逃げ切りに成功する。

 #28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3の勝利は、第2戦・韓国インジェ以来ながら、この時はハイルマンとジョノ・レスタだけで挑んでいただけに、片岡にとっては今季初優勝となっていた。佐々木と藤井誠暢、GAMISANの駆る#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rに続く3位は、メルビン・モー/谷口信輝組の#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3が獲得した。

早めの決断が勝敗の鍵に。RSオガワADVANランサーが今季初勝利
ST-3クラスではPETRONAS TWS GS350がついに破れ、#34 assetテクノZ34も今季初勝利

 序盤のレースを大いに盛り上げたST-2クラスでは、引き続き#6 新菱オート☆DIXCELエボIXがトップを走行、46周目に菊地から冨桝朋広へと交代。同じ周に2番手の#20 RSオガワADVANランサーもピットに入ったこともあり、それぞれがコースに戻った時には30秒近い差がついていた。

 しかし、#20 RSオガワADVANランサーはこれで2回のピット義務を済ませており、しかもエース阪口を再投入。じわじわと差を詰めていく間に2回目のSCランがあって逆に差は開き、3回目のSCラン中に#6 新菱オート☆DIXCELエボIXに再びドライバー交代を行えたのだが……。阪口の前で菊地は返り咲くことはできず、#20 RSオガワADVANランサーはついに逆転。そのまま逃げ切り、今季初優勝を飾ることとなった。

 ST-3クラスでは、ここまで快進撃を重ねていた、#80 PETRONAS TWS GS350に土がついてしまう。最初のSCラン中にドライバー交代を行い、たった7周で吉本大樹から佐藤晋也にスイッチ。ここで交代を行わなかった#34 assetテクノZ34の佐々木雅弘がトップに立ち、そのポジションを守り続ける。そして45周目に佐々木から前嶋秀司に交代、#80 PETRONAS TWS GS350は合わせて同一周回で佐藤から脇阪薫一への交代を行う。

 まさにST-2クラスでの勝利の方式と一緒で、#34 assetテクノZ34の先行を許しはしたが、もう一度ピットに入らなくてはならないから、もはや#80 PETRONAS TWS GS350の勝利は約束されたようなもの。その後、2回のSCラン中に佐々木と代わってしまえば、最大走行距離をオーバーしてしまう。だが、今回も安田裕信をCドライバーとして登録、本来は決勝を走らないはずだったが、作戦を変更。最後のSCラン中に安田を投入した。その結果、逃げ切りを果たした#34 assetテクノZ34が今季初優勝。今回も勝てば、王座獲得の可能性もあった#80 PETRONAS TWS GS350は、無念の2位に甘んじた。

 また、エントリー1台だけで、まさに孤軍奮闘となっていた堀主智ロバート/佐藤茂/山野直也組の#9 Faust Racing BMW Z4は、予選に続いてトラブルに悩まされながらの戦いとなっていたが、総合17位での完走を果たし、また20ポイントを獲得したことから、ラスト2戦を待たずしてチャンピオンに輝くこととなった。


GAZOO Racing TOYOTA 86がST-4クラスで初優勝
ST-5クラスはBRP☆HYPER ECU C72 制動屋J’Sフィットが久々の勝利に

 ST-4クラスは、予選トップだった#95 リジカラS2000がなんとスタート直後の1コーナーでスピンを喫する波乱の幕開けとなった。これで#41 TRACY SPORTS S2000の井入宏之がトップに浮上。最初のSCらんで植松忠雄に交代し、勝負をかけたものの、やがてABSにトラブルが発生し、しかもフロント片側だけに誤作動が。これで勝負権を失ってしまう。

 その後もそれぞれピットインのタイミングが異なることから、トップは目まぐるしく入れ替わったものの、終盤になると#93 SKR ENGINEERING S2000の中村嘉宏、#86 GAZOO Racing TOYOTA 86の蒲生尚弥、そして#52 埼玉トヨペットGB with Revoの大井貴之が連なってトップを争い合うように。最後のSCランで差はなお詰まり、そして67周目には蒲生がトップに浮上。中村はその後、大井にも抜かれ悔しい3位へと交代することに。

 最後は2台を振り切った#86 GAZOO Racing TOYOTA 86がデビュー1年にして嬉しい初優勝を飾り、影山正彦と井口卓人、そして蒲生が表彰台の中央に立っていた。

 そしてST-5クラスは、最初のSCラン中のドライバー交代が勝因に。予選トップだった奥村浩一/古宮正信/松田智也組の#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィットが最後まで危なげのない走りで、第2戦以来の勝利を獲得した。前回のウィナー、谷川達也/小原健一/野上敏彦組の#17 DIXCELアラゴスタNOPROデミオは、2位でフィニッシュ。井尻薫/後藤比東至/木村正治組の#36 エンドレスアドバントラストヴィッツを、谷川が最後のSCラン直前にかわしていた。

総合優勝/GT3クラス優勝:#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3

片岡龍也

「ありがとうございます、やっと勝てました! このクルマが今年勝ったのはインジェで、僕がいないときでしたから、その後はトップ走っていても勝てないとか、僕の運が悪いんじゃないかと言われ続けていたんでねぇ。今回このチャンスで、何度目のチャンスか分からないですけど、まぁ最後セーフティカーのタイミングもあって、かなりヒヤヒヤする展開だったんですけど、最後難しいコンディションの中、ちゃんとチェッカー受けられたんで、なんと言うんですかね、いろんなドキドキと嬉しさと(笑)。非常に嬉しいです。最後祈っていたのは、だいたい最後の5分とか10分に何か起こるのが28号車なので、今日は最後、チェッカー受けるまで何事もないようにと、祈っていました!」

総合5位/ST-2クラス優勝:#20 RSオガワADVANランサー

阪口良平

「今回はドライでもウェットでも、両方速いクルマをRSオガワが作ってくれたので、両方とも楽な仕様になっていましたね。6号車があんなに速いとは思わなくて、僕らとは作戦が違っていたんですけど、僕らの作戦が正しいと信じて。ちょっとだけドキドキしたんですけど、今日はいいレースができたと思います。GT3のクルマは大きくて重いから、序盤の雨が強い時には、四駆の威力を活かして総合のトップまで走らせてもらって、すごく気持ちよかったです」

総合10位/ST-3クラス優勝:#34 assetテクノZ34

佐々木雅弘

「本当なら安田(裕信)選手は乗らない予定だったんですけど、最後のセーフティカーが入ったタイミングで僕が行くと、規定の周回超えちゃうんで、昨年を切り換えたのが良かったですね。何せ1年ぶりの優勝なんで、本当に嬉しい。今年はここまで不運なレースが続いてきたものですから……」

総合13位/ST-4クラス優勝:#86 GAZOO Racing TOYOTA 86

影山正彦

「やっと勝てました。去年、ここで1年前に86をデビューさせたんですけど、何とか1年後に優勝できて、今はホッとしています。あんまり嬉しそうじゃないですって? いや、実はピットで喜び過ぎて、今は一段落したところなんで」 井口卓人「チームも完璧でしたし、ドライバー3人も完璧でしたので、僕も本当にホッとしています」

蒲生尚弥

「クルマも調子よくて、普通に走ればうちのクルマ速かったんで、そんなに焦ることなく、チャンスがあれば抜くという感じで走っていました。自分もミスすることなく、最後まで走り切ることができましたね」

総合17位/ST-1クラス優勝:#9 Faust Racing BMW Z4

堀主智ロバート

「これでチャンピオン決まったんで、すっごく嬉しいです。予選で出たトラブルがまた、いつ出るか分からない怖さがあったんで、僕らは普通に抑えて。最後は『どうぞ皆さん、勝負してください、僕は後ろから拝見しています』みたいな感じで走っていました。プログラムに素敵な表現で書いてもらっていたんですが、豊富な経験と諦めない粘り強さで……と(笑)、本当に頑張りました」

佐藤茂

「いつも四駆ばっかり乗っているんで、雨のFRは怖くて仕方なかったんですが、一応何とか完走できるよう、努力して走りました。ありがとうございます。チャンピオンになれて歴史にも残るんで、すごく嬉しいです。粘り強く走った甲斐がありました」 山野直也「週末、ずっとトラブルが続いていたんですけど、メカニックの皆さんに懸命に努力していただいて、トラブルが決勝中は出ずに、無事に完走できました。これでチャンピオン獲れたんでしょうか、嬉しいですね、最高の気持ちです」

総合32位/ST-5クラス優勝:#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィット

奥村浩一

「序盤のSCが入った時、Bドライバー古宮(正信)さんから僕に代わって、雨の中ロングで引っぱって、いいタイミングで戦略もハマって。ペースの方もライバルよりも上げられたので、いいレースができました。おかげさまで、久々に、ちょっと涙ぐむぐらい。今までずっと苦しんでいたので、クルマのセットアップに。今回はビシッと、すべてがハマったので、ようやくクルマが良くなってくれたので、後半戦、ますます楽しみになるなと思いました」 につなげられたのが良かったんだと思います」

 

(はた☆なおゆき)

  • YOKOHAMA
  • D'STATION
  • Y's distraction
  • MAZDA
  • ENDLESS
  • GTNET
  • WORK
  • CUSCO
  • 日産・自動車大学校
  • 王子サーモン
  • フクダ電子
  • 株式会社大和ラヂエーター製作所
  • Swisstrax
  • NAPAC
  • GAZOO Racing
  • NISMO
  • BRIDE
  • swift
  • enable
  • vivaC
  • TECHNO FIRST
  • ings
  • Super Taikyu SERIES.
  • S.T.O
  • Super Taikyu SERIES.