予選レポート
GTNET ADVAN NISSAN GT-Rが2戦連続でポールポジションを獲得!
スーパー耐久シリーズ第5戦の予選が8月31日(土)に、岡山国際サーキットを舞台に開催された。台風接近の影響でコンディションは大荒れの中、ポールポジションは星野一樹/青木孝行/尾本直史/組の#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rが獲得した。
合算タイムでGTNET ADVAN NISSAN GT-Rがまたもポールながら、
コースレコードは片岡龍也が塗り替える!
金曜日に行われた練習走行は3セッションのうち、最初のセッションのみドライコンディションが保たれていた。ここでトップタイムをマークしたのは、#24スリーボンド日産自動車大学校GT-Rをドライブした藤井誠暢。しかし、このとき記録された1分32秒849は従来のレコードタイムを上回ったものの、まずターゲットタイムとはなり得ないのは明らかだった。というのも、セッション2の途中から雨が降り出し、その後はずっとウェットコンディションに。しかも、台風接近の影響で予選の行われる土曜日が、天気に恵まれるのは限りなく不可能であったからだ。
ところが、その台風は未明のうちに温帯低気圧に変化し、サーキット上空は灰色の雲が浮かんではいたものの、予選までは完全にドライコンディションが保たれる。心地よい風まで吹いて、アタックには絶好の条件になったと思われたのだが、直前になって小雨が……。
幸い、その雨は路面を濡らすまでには至らず、Aドライバーのセッションでトップタイムをマークしたのは#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rの星野。記録された31秒986は言うまでもなくレコードを更新した。これに続いたのは、#21スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの藤井で、32秒396をマーク。3番手には#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3のファリーク・ハイルマンがつけ、32秒733を記していた。
そして、ST-2クラスでは#20 RSオガワADVANランサーの大橋正澄が40秒365でトップにつけて、#59 STURM MOTUL EDインプレッサの大澤学が40秒522で、まさに僅差で続いていた。ST-1クラスで孤軍奮闘の#9 Faust Racing BMW Z4は電気系のトラブルにより、総合でも34番手に甘んじていた。
ST-3クラスでは#34 assetテクノZ34の佐々木雅弘が、41秒520をマークしてトップに。これに#38 TRACY SPORTS IS350の藤田竜樹が41秒670で、そして#14岡部自動車KYOSHIN計測Z33の小松一臣が41秒688の僅差で続いた一方で、ここまで負けなしの快進撃が続く、#80 PETRONAS TWS GS350の佐藤晋也は42秒241で、7番手に甘んじていた。
今回の予選は通常より3分長く、18分を経過したところでBグループ、ST-4クラスとST-5クラスの計測が開始される。ST-4クラスでは#95 リジカラS2000の松井猛敏が43秒826をマークしてトップに立ち、これに続いていたのは#86 GAZOO Racing TOYOTA 86の影山正彦だった。24分経過時にヘアピンでストップしていた車両があり、赤旗で中断。コースにもオイルが撒かれていたため、処理が行われる。再開後は#95 リジカラS2000は走行せず、それでもトップをキープしたのに対し、2番手には44秒699をマークした#41 TRACY SPORTS S2000の井入宏之が割って入る。
また、ST-5クラスでは前回のウィナーでもある#17 DIXCELアラゴスタNOPROデミオが、谷川達也のドライブで52秒946 をマークしてトップに。これに#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィットの奥村浩一が53秒110で続いていた。
Bドライバーでのセッションでも、引き続きGT-R勢の快進撃が繰り広げられるものと思われたが、予想に反してトップタイムをマークしたのは#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3の片岡龍也だった。最初のアタックラップから31秒737をマークし、いったんピットで待機。その間に#24スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの佐々木大樹が31秒532で逆転を果たすも、11分目から走行を再開した片岡は、31秒087にまで短縮に成功。再逆転でトップに立つ。「2、3台に引っかかっているので、僕の中ではもうコンマ3秒。とても決勝では、あんな走りはできないけど」と片岡は新たにレコードホルダーとなれたことに満足そう。
3番手には#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3の谷口信輝が31秒550で、そして4番手に留まったとはいえ、青木孝行が31秒640とトップとの差をコンマ5秒としたことで、合算では#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rが前回に続く、2回目のポールポジションを獲得することとなった。2番手グリッドは#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG SLSが獲得。
ST-2クラスでは前回に続いて、RSオガワADVANランサーがトップに
ST-5クラスでは今季3回目のトップに、BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sデミオが
ST-1クラスは#9 Faust Racing BMW Z4のトラブルは解消しておらず、佐藤茂が50秒154で総合38番手に。決勝はAグループ最後尾からのスタートとなるが、Cドライバーセッションを走った山野直也は40秒791をマークしており、トラブルは解消方向にあるようだ。
ST-2クラスでは#6新菱オート☆DIXCELエボIXの菊地靖が39秒512でトップにつけて、2番手は39秒630をマークした#59 STURM MOTUL EDインプレッサの吉田寿博、3番手は39秒741をマークした#20 RSオガワADVANランサーの阪口良平という順になるが、合算タイムでは#20 RSオガワADVANランサーが、今季初のトップにつけることとなった。そして、2番手は#59 STURM MOTUL EDインプレッサが獲得。3連勝なるか、大いに注目される。
ST-3クラスでは#34 assetテクノZ34の前嶋秀司が42秒520をマークしてトップに立ち、もちろんのこと合算でもトップで、今季2回目のクラス最前列グリッドを得ることとなった。そして2番手は#38 TRACY SPORTS IS350が獲得。#80 PETRONAS TWS GS350は、吉本大樹が41秒628をマークしたこともあり、決勝には4番手から挑むこととなった。
続いて行われたBグループのセッションだが、開始早々にST-5クラスの#17 DIXCELアラゴスタNOPROデミオを駆る、小原健一が1コーナーでスピンするハプニングが。その際にフロントにダメージを負い、ピットでの修復を余儀なくされてしまう。何とか再走行を果たしたものの、9番手に甘んじてしまう。
代わってST-5クラスのトップを奪ったのは#602 PTGランドリー602明京産業ヴィッツの小松高人で、42秒605をマーク。だが、合算タイムでは古宮正信が52秒605をマークした、#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィットが今季3回目のトップとなった。2番手は#602 PTGランドリー602明京産業ヴィッツで、#17 DIXCELアラゴスタNOPROデミオは6番手からのスタートに。
ST-4クラスでは中島保典が43秒708をマークしてトップということもあり、#95 リジカラS2000が今季2回目のトップを獲得。なお、今回は久々にスプーン代表の市嶋樹もドライブする。そして2番手も井入宏之が44秒271を出した#41 TRACY SPORTS S2000が。今回もまたS2000勢が上位を独占した。今回こそ表彰台獲得の期待がかかる、#86 GAZOO Racing TOYOTA 86ながら、井口卓人が5番手に甘んじたものの、決勝には3番手からの出走となる。
なお、スーパー耐久の予選は何とかドライコンディションが保たれたが、終了から1時間経たず、上空からは雨が。それもすぐやんだが、依然として天候は不安定。日曜日も曇り時々雨との予報が出されていることから、目まぐるしく変化する天気を、いかに味方につけるかが勝敗を握る鍵にもなりそうだ。
ポールポジション/GT3クラストップ:#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R
星野一樹
「1回目にトップ獲れたので、その分のマージンを活かせたと思うし、タイム的には2回目、コンディション良くなって、みんなタイム上がっちゃったけど、前回に引き続き合算でポール獲れたので、良かったですよ。いちばん前からスタートできるのはホント、いいことなので、今のところ順調に来ています。もう2位とか3位は欲しくないので、絶対に今回は勝つって、チーム全員がそういう気分になっていますんで。特に前回は勝てそうで勝てない悔しいレースだったので、本当に表彰台で喜んでいるのは終わりかな、というところに来ているんで、チーム全体として必ず勝って帰りたいですね!」
青木孝行
「ここまでの流れは、いいと思いますね。いちばん前からスタートできるので、優勝にいちばん近いポジションだと思うし、前回も前々回もラスト5分で、ちょっと悔しい思いをしているので今回こそ。今回はちょっと距離も短いので、トラブルが出る可能性は低いだろうから、そろそろ優勝という文字が欲しいので、ドライバー3人、みんな力を合わせて頑張ります。最初に(星野)一樹が予選行った時には、ちょっとクルマが曲がらないというインフォメーションをもらえたので、ちょっとアジャストしていったら、その分上がったかな、という。ただ、水曜日にユーズドタイヤで1秒9が出ていたから、本当だともうちょっと、あとコンマ3秒ぐらいは欲しかったんですけど、ただちょっとだけ行き切れなかったところもありましたから。ただ、片岡(龍也)のタイムは全然見えませんでした。速かったです」
総合2番手/GT3クラス2番手:#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3
片岡龍也
「クルマの調子は良くて、1周目からそこそこ行って、2周目からアタックかけました。でも、セクターベスト、ベストで来ていたんですが、1台グラベルでストップしていたんで、途中でやめざるを得なくて。それで一回タイヤを冷やして、また行ったんですけど、その後のアタックも正直、2台引っかかっていたので、結局満足いくアタックはできなかったんですが、それでもあのレコードタイムが出たので、その意味ではクルマの調子は非常にいいのかな、と。本当はイメージでいくと、もうコンマ3秒ぐらい速かったので、そうすればポールポジションが獲れたので、ちょっと惜しいなっていうのはあるんですが、ポジション的には満足しているので、明日は今日の悔しい分まで頑張りたいと思っています。今回はGT-Rが速くて、僕も行かれると思っていて、1回目を見ていたら実際そんな具合だったので。メルセデスの長所はブレーキングで突っ込めるので、その長所を生かした走りで。だから、レースではあんな走りはできないですけど、予選走りで。で、うまくタイムが縮められたので、それなりには満足しています」
総合9番手/ST-2クラストップ:#20 RSオガワADVANランサー
大橋正澄
「Aドラではトップでした。手応えはまぁ、でもインプレッサがまた速かったので、今回もあんまりタイム的にも変わらなかったですからね、AとB、どっちもそんなに変わりがないので……。激戦が予想されます。そろそろ勝たないと置いていかれちゃうので、今でさえ置いていかれているもんですからね。コンスタントに行きます、今回は」
総合12番手/ST-3クラストップ:#34 assetテクノZ34
前嶋秀司
「まぁ、こんなもんじゃないかな。でも、このタイムは佐々木(雅弘)がミスしているので。雨が降るか降らないか分からないじゃないですか、だから早く出て場所取りの問題で、あいつ失敗しているので。一回行ったんだけど、ダメで邪魔されて、それでもう一回アタックしたけどダメだったという……。それで俺はそういうのを見ているから、まわりの状況見ながらうまく、スルスルと抜けてきて、あのタイムだったから。実際にあいつとロガーを比べると同じタイムなので。確かに俺の方が速かったけど、それは場所取りだけの問題で。クルマは同じなので、決まっているのは明らか。一発は出ますけど、ロングは80号車が来そうだなぁ。。だから、ふたりでうまく淡々と走って前に出たいですね」
総合37番手/ST-1クラストップ:#9 Faust Racing BMW Z4(グリッドは22番手に)
堀主智ロバート
「センサーのトラブルかなにかで、突然パワステが重ステになったり、シフトにトラブルが出たり……。昨日からずっとなんですよ。いろいろ細かく見てもらって、対策してもらってはいるんですけど。今回、ST-1クラスはただでさえ寂しいので、ばっちり決めたいところです」
総合23番手/ST-4 クラストップ:#95 リジカラS2000
松井猛敏
「今回も木曜、金曜、決勝のことしかやっていなかったんで、予選でこのタイムが出るとは思っても見ませんでした。行って44秒、去年のタイムが44秒4だったから、そんなもんかな、くらいにしか思っていなかったんです。うまくハマりました。落ち着いていきます。ただ、天候が分からなくて、雨が降ればインテグラやシビックが速いので、あと86も間違いなく、雨の時に速いから……。雨が降っちゃうと重い分、不利になっちゃうのは仕方ないけど、雨と晴れ、両方ごちゃ混ぜのレースになるのは間違いないから、とにかく晴れの時はプッシュ、プッシュで行きたいです」
総合39番手/ST-5クラストップ:#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィット
奥村浩一
「まったく谷川(達也)くん、反則レベルの速さですよね(笑)。ずっとコースでもやり合っていたんですけど、速いな〜って。何とかチームでドライバーが揃っているので勝てました。602号車も来ているし、デミオ、ヴィッツ、フィットの混戦なので、レースは面白いことになりそうですね。うちはドライバー揃っていることを強みにして、何とか決勝レース勝ち切りたいと思っています。最近、運にも見放されている状況なんですが、今回から足まわりをリフレッシュして、クルマの動きもかなりいいので、この後半戦から岡山、鈴鹿、オートポリスは巻き返しにいきます!」
(はた☆なおゆき)