SUPER TAIKYU

RACES ARCHIVE 2013

REPORT

決勝レポート 第1レース

SC入る波乱の展開で、#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3が逆転勝利

 シリーズ初の3レース開催となった、鈴鹿サーキットが舞台の第6戦。その第1レースが予選の余韻を残したまま、9月21日(土)に行われた。40分間のドライバー交代義務のないレースは、最初から最後までペース配分の必要ないヒートアップした展開が予想されたが、実際の展開はそれ以上。中盤にはクラッシュがあって、セーフティカーも入り、波乱の展開にもなっていた。そんなレースを制したのは#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3の谷口信輝。#24スリーボンド日産自動車大学校GT-Rを逆転し、僅差ながらも逃げ切りを果たしている。

バックマーカーをも味方につけて、
4周目に#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3の谷口が逆転を果たす

 このところ、すっかり涼しくなって秋の訪れも感じらていたが、このレースウィークはまた夏が戻ってきたかのよう。サーキット上空には青空が広がり、雨の心配をしなくて済むのは何よりながら、気温は20度台の後半にまで達していたからだ。さて、今回は40分間の3レース開催となるが、レースを占う要素のひとつとして、どのレースにどのドライバーを投入するかがあった。特にプラチナドライバーは3レースのうち1レースしか起用できないから、なおのこと。

 だが、このレースに必勝を期する#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rは、いきなりプラチナドライバーの藤井誠暢を投入。それを見越していたかのように、#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3も谷口信輝で挑んでいた。一方、#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3は片岡龍也を温存し、ジョノ・レスタを投入。

 波乱の展開は、いきなりスタートから。一台がエアフローセンサーのトラブルから歩むようなペースでしか走れず、フォーメイションラップはそのクルマがピットに戻るのに合わせて、2周行われたのだ。しかし、上位を走るドライバーたちは、それぞれプロフェッショナル。集中力を欠くことなく、むしろ尖らせた状態で1コーナーに飛び込んでいく。アウト側から谷口が、そしてイン側からレスタが迫るも、ポールシッターの藤井は冷静に対処。しっかりガードを固めて1コーナーにはトップで飛び込んでいく。

 しかし、わずか1周で後続に1秒の差をつけた藤井ながら、そのまま逃げ続けることは許されず。谷口とレスタのみならず、#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rの青木も加えて4台で、壮絶なトップ争いを繰り広げることとなる。そんな中、わずか3周で集団の前にはバックマーカーが。彼らもまたバトルしていたから、スムーズに道を譲れない。しかもシケインで遭遇したこともあり、藤井はそのうちの一台と接触し、カナードを失ったばかりか立ち上がりで失速してしまう。その隙を谷口が見逃そうはずなく、ストレートで並んで1コーナーまでに逆転。とはいえ、再逆転のチャンスを見出すべく、藤井はレスタと青木を引き連れ、谷口の背後に食らいついていく。

 そんな中、6周目からセーフティカーがコースへ。ダンロップコーナーでクラッシュがあり、車両の回収と漏れた液体の処理のためだ。これが実に12周まで続き、残り時間は約7分。不運にもレスタの前にはバックマーカーが一台おり、リスタートで前の谷口、藤井から遅れを取ったばかりか、1コーナーでは青木にインを刺されてしまう。逆に一騎討ちとなったトップ争いは、最後まで藤井が諦めぬ姿勢を見せたが、谷口が逃げ切りを果たし、#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3が第4戦以来の勝利を挙げた。

ST-2クラスでは#20 RSオガワADVANランサーが最終ラップに逆転
ST-3クラスは優勝で、#80 PETRONAS TWS GS350がチャンピオンを決める!

 予選では総合7番手につけたST-1クラスの#9 Faust Racing BMW Z4だが、前回からのエンジン不調は完治しておらず、スタートでST-2クラス2台の先行を許してしまう。もちろん、前を行くのは#59 STURM MOTUL EDインプレッサの吉田寿博と#20 RSオガワADVANランサーの阪口良平だった。時には#9 Faust Racing BMW Z4の堀主知ロバートを交えつつ、SCランの前も、そして後にも激しいバトルを繰り広げた。決着がついたのは最終ラップ。吉田のわずかな隙も見逃さず、阪口がヘアピンで逆転する。 今季初めて最後まで続いたガチンコ勝負を制した#20 RSオガワADVANランサーは、総合でも7位を獲得。#9 Faust Racing BMW Z4は総合9位でフィニッシュし、まずは10ポイントを重ねることに成功する。


 ST-3クラスでは、オープニングラップのうちに#34 assetテクノZ34の佐々木雅弘を、#14 岡部自動車KYOSHIN計測Z33の小松一臣が逆転。この2台のバトルが激しかったこともあり、やや間隔を置いて走っていたのが、#80 PETRONAS TWS GS350の佐藤晋也だった。そのポジションを保っていれば、チャンピオンが決まるものの、労せずして幸運が転がってくる。
#14岡部自動車KYOSHIN計測Z33はフロント左ハブの損傷で、そして#34 assetテクノZ34には4速ギヤがスティックし、4周目に揃って姿を消したからだ。トップに立ってからの佐藤にプレッシャーをかける者は現れず、チャンピオン決定を優勝という、この上もない結果で飾ることとなった。


#41 TRACY SPORTS ings S2000の井入がST-4クラスで圧勝、敵は暑さだけだった?
ST-5クラスでは#99 RS☆R DIXCEL NUTECデミオが初優勝!

 ST-4クラスでは、トップからスタートの#41 TRACY SPORTS ings S2000を駆る井入宏之が、一度も後続からのプレッシャーを感じることなく圧勝。王座獲得がかなり現実のものとなってきた。SCランまで予選同様、2番手をキープしていたのは#86 GAZOO Racing TOYOTA 86だったものの、「リスタート後の加速で、あっという間に離されてしまいました」と井口卓人。代わって2番手に躍り出たのは、#58 ウインマックスTEINワコーズKRP☆DC5の関豊だ。予選ではデグナーでのコースアウトがあり、ひやりとさせられる一幕はあったが、幸いダメージは最小限。何とか挽回に成功した。2位は#86 GAZOO Racing TOYOTA 86が獲得。

 ST-5クラスはスタートから5台が連なる、激しいトップ争いが演じられるものの、先のGT3クラスとのアクシデントに巻き込まれてしまったのが、まさにこの集団だった。最もあおりを食らったのが、#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィットの駒木孝有で、接触に酔って順位を落とす羽目に。一方、SCラン直前の4周目には、#99 RS☆R DIXCEL NUTECデミオのRYU1がトップに躍り出る。背後には常に#36 エンドレスアドバントラストヴィッツの井尻薫が食らいつくも、最後までプレッシャーに屈することなく逃げ切り、嬉しい初優勝を飾ることとなった。

総合優勝/GT3クラス優勝:#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3

谷口信輝

「GT-Rが速いので、抜けないかなと思ったけれど、バックマーカーをうまく利用して、前に出ることができて良かったです。シリーズは28号車との勝負でしょう、だからジョノを絶対抑えなきゃいけなくて、あとは藤井を抜けたらラッキーだな、と思っていたんでね。しかもジョノが4番でしょう、同じチームのことなので喜んでいたらいけないんだけど、チャンピオン争いではだいぶ有利になったと思います」

総合7位/ST-2クラス優勝:#20 RSオガワADVANランサー

阪口良平

「そんなにインプレッサとの差はないだろうと思っていたんですが、スタートでガ〜ッと行かれてしまって。ただ、僕の方が東コースとブレーキにマージンがあるので、じっくりチャンスを待つつもりが、目の前でクラッシュがあってSCが入ってしまったんですね。残り7分と聞いて、これは厳しいかなと思いかけたんですが、最終的に向こうのクルマが遅くなる場所を感じたんですね。簡単に言うとアンダーステアがきつくなって、僕の方がタイヤマネージメントは自信があったので、しっかりミスなく行こうと。そしたらヘアピンで失速されていたんで、立ち上がりで並んでバックマーカーをうまく使って逆転することができました」

総合9位/ST-1クラス優勝:#9 Faust Racing BMW Z4

堀主知ロバート

「岡山からのエンジン不調がまだ引きずっているんですよ。だから、伸びないんですよ、ストレートでST-2のクルマに追いつかないんです。あちらははターボついていますからね。でも、後ろからふたりの争いを見させてもらって、けっこう勉強になりました」

総合11位/ST-3クラス優勝:#80 PETRONAS TWS GS350

佐藤晋也

「前のZ、2台がけっこう激しくやり合っていたので、これは危ないなと思ってペース上げられたけど、ちょっと間隔明けようと。そうしたら2台ともペースダウンしたので、簡単にトップに立つことができました。チャンピオンは1ポイント獲れば決まりだと分かっていたけど、勝って決められたらいいな、というのはあったので、ここで達成できて最高の気分です」

総合19位/ST-4クラス優勝:#41 TRACY SPORTS ings S2000

井入宏之

「楽勝? いやいや、とんでもない、暑さとの戦いですよ(笑)。せっかく後ろ開けたのに、またSCで『またか!』って感じだったけど、大丈夫でした」

総合29位/ST-5クラス優勝:#99 RS☆R DIXCEL NUTECデミオ

RYU1

「やっと……っていう感じですね。これまで最高位が2位だったから、(優勝は)ずっと欲しかったんです。今年になってトラブルも多かったんですが、岡山から調子よくなってきて。今回は足が劇的に良くなったので。明日もふたつ、行けるんじゃないかと思うぐらいです」

 

(はた☆なおゆき)

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