SUPER TAIKYU

RACES ARCHIVE 2013

REPORT

決勝レポート 第3レース

#41 TRACY SPORTS ings S2000が唯一3連勝で、ST-4クラスの王座を獲得!

 シリーズ初の40分3レース開催となった、スーパー耐久シリーズ第6戦。その第3レースが9月22日(日)の午後に行われ、優勝を飾ったのは#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3のファリーク・ハイルマンだった。その結果、GT3クラスは王座決定を最終戦にまで持ち越すことに。また、このレースで王座決定となったのはST-4クラスで、#41 TRACY SPORTS ings S2000が2年連続で栄冠を手にすることになった。

#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3が3戦2勝で、
タイトル争いを最終戦に持ち越した!

 今回は3年連続でのWTCCとの併催だったが、それに優るとも劣らぬ激しいトップ争いが繰り広げられた。1コーナーにトップで飛び込んでいったのは、ポールシッターでもある#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3のファリーク・ハイルマン。だが、#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3のドミニク・アン、そして#24スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの佐々木大樹も離れず続き、レース前半を大いに盛り上げた。

 特に佐々木のアンに対するアタックは激しく、何度も抜きにかかるが、そのつど鉄壁のガードに阻まれてしまう。その間にややハイルマンはリードを広げたものの、まだ絶対的なものではなく、最後までバトルは続くものと予想された。ところが、14周目のスプーンで2番手を争う2台のラインと、バックマーカーの譲ったラインが交錯。ここで佐々木が接触してフロントにダメージを負い、次の周にはピットに戻ってリタイア。さらにその周、やはりスプーンで黄旗が提示され、それに過剰に反応した車両が急ブレーキ。混乱があってアンも巻き込まれ、やはりフロントにダメージが……。

 そんな後続に相次いだアクシデントにより、#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3のハイルマンは大量のリードを確保。それを最後まで守り抜いてトップチェッカーを受けることになった。その結果、GT3クラスのチャンピオン争いは、最終戦まで持ち越されることとなった。


 一方、トップ争いが落ち着いた後にレースを盛り上げたのは、#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rの尾本直史と、#8もり山R8 LMS ultraからあげの湯澤翔平による3番手争い。尾本がスーパー耐久ルーキーの湯澤を、必死に封じ込めていたからだ。だが、17周目のシケインで尾本の一瞬の隙をついて、湯澤が前に出ることに成功。ところが、尾本は諦めていなかった。バックマーカーに行く手を遮られた湯澤をシケインで抜き返し、意地の3位を獲得した。

 ST-1クラスでは第1レースとは異なり、#9 Faust Racing BMW Z4の堀主知ロバートが、ST-2クラス勢を寄せつけずクルージングを楽しんでいたものの、そこにバトルを繰り広げるGT3クラス勢が。そう、先に述べたラインを譲ろうとしたバックマーカーとは堀のこと。弾き飛ばされ、グラベルの餌食となってしまう。それでも大量の時間を要したものの、何とか復帰を果たし、またしても10ポイントをランキング表に記すこととなった。

第3レースで意地を見せたST-2クラスの#59 STURM MOTUL EDインプレッサ
ST-3クラスでは死闘の末に、#80 PETRONAS TWS GS350が凱旋に成功

 第1レースは#20 RSオガワADVANランサーに逆転を許し、第2レースはスタートできず、リタイアとなっていた#59 STURM MOTUL EDインプレッサ。予選の絶好調ぶりとは対照的な決勝レースに終始してしまうのかと思われたものの、第3レースでは松田晃司が意地を見せた。スタートでトップを守ったばかりか、#20 RSオガワADVANランサーの大橋正澄との間にST-3クラスの車両を挟むことに成功する。この車両を抜くのに大橋は8周を要し、その間に築かれたギャップは最後まで縮めることを許されなかった。

 何とか逃げ切った#59 STURM MOTUL EDインプレッサは、いったん抜かれた#20 RSオガワADVANランサーとの差を3ポイントにまで詰めることに成功。これにより、最終戦では勝った方、あるいは先にゴールした方に栄冠が輝くような形になった。

 一方、ST-3クラスでも予選は同じようにすべてトップだったのに、第1レースではミッショントラブル、第2レースは接触によるダメージで無念の展開になっていた#34 assetテクノZ34。第3レースはトップからレースを開始し、リベンジに期待がかかった。しかし、中盤になって迫ってきたのが、すでにチャンピオンを決めている#80 PETRONAS TWS GS350の脇阪薫一。まさにじわりじわりと近づき、やがてテール・トゥ・ノーズ状態となっていく。何とか逃げ切ろうと、必死にガードを固めた佐々木ながら、12周目のS字で接触し、グラベルベッドの餌食になってしまう。

 これでトップに立った脇阪は、第2レースを2位で終えた吉本大樹の無念を晴らし、この週末に#80 PETRONAS TWS GS350は3戦2勝という結果を残すこととなった。また、#34 assetテクノZ34のリタイアにより、#38 TRACY SPORTS IS350の川口正敬が2番手に浮上、そのポジションを最後まで守り抜いている。

見事3連勝で、#41 TRACY SPORTS ings S2000がST-4クラス2連覇に成功!
#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィットが、第3レースを制して栄冠に華添える

 このレースウィークのST-4クラスは、まさに#41 TRACY SPORTS ings S2000のためにあったといっても過言ではないだろう。予選はセッションすべてでトップタイムをマークし、第1レースでは井入宏之が、そして第2レースでは植松忠雄が優勝。第3レースには久々の出場となる長野賢也が挑んでなお、最後までトップを明け渡すどころか、プレッシャーも感じることなく走り切ったのだから。この6クラス中唯一の完全勝利によって、レース前には2位との差が17.5ポイントしかなく、最終戦まで持ち越すことが予想されたチャンピオン争いをあっさりと制することに。ドライバーは異なるものの、これで#41 TRACY SPORTS ings S2000は2年連続でチャンピオンカーに輝くこととなった。


 2位、3位もこの第3レースでは終始単独走行。#86 GAZOO Racing TOYOTA 86の井口卓人、そして#52 埼玉トヨペットGB with REVOの大井貴之がポジションを最後まで保つこととなった。なお、#52埼玉トヨペットGB with REVOにとっては、これがベストリザルト。同時にトヨタ86による、初めての上位独占ともなっていた。

 第2レースの2位でST-5クラスのチャンピオンを決めていた、#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィット。「今は嬉しさより、負けた悔しさの方が……」と語っていたチーム代表も兼ねる奥村浩一ながら、第3レースが終わった後には笑みがこぼれていた。古宮正信が最後までトップを守り、安心してその走りをピットで見続けることができたからだろう。

 逃げる古宮とは対照的に、激しく2番手を争い合っていたのが、#99 RS☆R DIXCEL NUTECデミオの濱口亮と#36エンドレスアドバントラストヴィッツの後藤比東至だった。いったんは後藤が前に出たものの、濱口が再逆転に成功。その後も必死に後藤は追い続けていたものの、中盤に起こったスプーンでのアクシデントに巻き込まれ、フロントを傷めて無念のリタイア。これで濱口は難なく逃げ切り、この週末は優勝、3位、2位と、すべて上位入賞を果たすこととなった。

総合優勝/GT3クラス優勝:#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3

ファリーク・ハイルマン

「今日はすごく車内が暑くて、運転が大変でした。しかもチームメイトのドミニクがセクター1ではすごく速くて、後ろからのプレッシャーを感じていたんですが、その中でベストを尽くした結果、何とか勝つことができました。富士ではついていない部分があってポイントが獲れなかったんで、次のオートポリスではなるべくポイントを獲って、まだ残された可能性がある限り、希望を持って挑むつもりです」

総合7位/ST-2クラス優勝:#59 STURM MOTUL EDインプレッサ

松田晃司

「正直、ちょっと自分もどうなるかというところがあったんで、心配でスタートしていったんですが、メカニックが苦労して第2レースであったトラブルを直してくれたので、本当にチームスタッフに感謝ですね。ちょっとここのところ天候だとか、うちにしては珍しくトラブルで落としてしまったレースがあったんですが、最終戦とにかくRSオガワさんの前で、いいバトルをして、勝ってチャンピオンを決めたいですね!」

総合10位/ST-3クラス優勝:#80 PETRONAS TWS GS350

脇阪薫一

「けっこう面白いレースができて、こっちは序盤しんどいんで、向こう(34号車)は吉本の第2レース見て、終盤リヤがきつくなるのが分かっていたから、そのときまで待とうと。残り何周かあるんで、勝負遅らせても良かったんですが、行ける時行っておかないと、こういう混戦のレースなんでどうなるか分からないから。全部1コーナーからクロス、クロスでやっていて、飛び込んだけど相手も切り込んできたんで、僕は引いたけど間に合わなくて接触したんで……。レースだし、チャンピオン獲ったら、その後は勝ち星しか目標ないんで。相手が飛んでいるのを思えば申し訳ない気持ちもあるけど……。久しぶりに気持ちよくレースできました」

総合17位/ST-4クラス優勝:#41 TRACY SPORTS ings S2000

長野賢也

「チームがいいクルマに仕上げてくれて、チームメイトふたりのセッティングが決まって、僕はそれを守り切るだけの立場でしたんで。何とか守り切ることができて、僕はそれだけでホッとしております。チームの一員としては優勝という結果で終えられて、本当に嬉しいです。チャンピオン獲得にちょっとでもお手伝いできたので、またチャンスがあれば乗らせてもらいたいと思います」

総合29位/ST-5クラス優勝:#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィット

古宮正信

「そんなに楽勝なレースじゃなかったんですが、奥村さんの時のタイヤの状況を考えながら、ちょっとペース配分して最後までちょっと余力を残した状態で走りました。優勝で終わることができましたんで、奥村さんも僕もすっきりと帰ることができるでしょう。ありがとうございました!」

総合33位/ST-1クラス優勝:#9 Faust Racing BMW Z4

堀主知ロバート

「メルセデス2台がチャンピオン争いをしているのは分かっていたので、邪魔しないようにスッと行かせようと思ったんです。スプーンで1号車と24号車が来て、本当はもっと先の方が良かったんですが、それだと向こうがロスにあると思って。こっちがスピードを落としたんですが、思ったよりも時間がかかって僕の行き場がなくなり、芝に乗った瞬間にギュッと行ってしまいました。その時に24号車と……。それまでは気持ちよく走っていたんですが、アンラッキーでした」

 

(はた☆なおゆき)

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