SUPER TAIKYU

RACES ARCHIVE 2013

REPORT

第6戦プレビュー

シリーズ初の3レース開催、高速バトルは、もはや必至?

 昨年の鈴鹿ラウンド、そして今年のインジェラウンド、さらにもてぎのオーバルバトルにおいて、これまでも2レース開催があったスーパー耐久だが、今年の鈴鹿ラウンドは初めての2レース開催となる。予選と第1レースを土曜日に行い、第2レースと第3レースが日曜日に行われる。それぞれのレースは40分間で競われ、途中のドライバー交代は義務づけられていない。この長さであれば、タイヤ交換も給油も必要ないので、文字どおりノンストップバトルとなり、さらに言えばペース配分も、それほど気にする必要はないだろう。今までになかったほど、ハイスピードバトルが繰り広げられることが、大いに期待される。

 なお、予選だが、セッションそのものは通常どおり。ただし、Aドライバー単独のタイムで第2レースの、そしてBドライバー単独のタイムで第1レースのグリッドを決め、第3レースは合算で決められることになった。決勝レースでは、第2レースと第3レースを同じドライバーが出ることは許されないが、そのいずれかと第1レースに出るのは可能。ただし、GT3クラスのプラチナドライバーに関しては、1レースしか出ることができないので、どのレースに起用するかで、確実に10ポイントが得られるようになるかも。

鈴鹿との相性抜群、谷口信輝
連勝で#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3の王座決定なるか?

 レース形態が異なることから、あくまでも参考程度に留めるべきなのかもしれないが、過去3年間のリザルトを振り返ると、鈴鹿との相性が最もいいのが谷口信輝だ。昨年はGT3クラスで第1レースを制し、10年と11年はST-1クラスで、いずれも総合優勝を飾っている。

 前回は3位に甘んじたとはいえ、その谷口の駆る#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3は目下ランキングのトップをひた走っている。2位の#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3とは17.5ポイントの差があるため、今回3連勝すれば文句なしに、また2勝すれば最終戦を待たずして、チャンピオンが決まることとなった。ただ、前述のとおりプラチナドライバーは1レースしか出場できないため、もう1勝を挙げるには谷口のパートナー、メルビン・モーかドミニク・アンのいずれかも勝たなければならない。

 おそらく、PETRONAS SYNTIUM TEAMは、谷口と#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3の片岡龍也を同じレースで走らせることはないだろう。すると、それぞれのレースで1勝ずつ。もう1レースが外国人ドライバー同士の戦いとなるが、谷口と片岡不在のインジェラウンドで#28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3が制したことから明らかなとおり、現状で評価が高いのはファリーク・ハイルマンとジョノ・レスタの方。モーやアンの意地にも期待したいところだが、そういったデータからすると、最終戦にタイトル決定が持ち越される可能性はゼロとは言えなさそうだ。

 一方、データ上では、もうひとり鈴鹿との相性のいいドライバーが存在する。それが峰尾恭輔で、昨年はST-1クラスの第2レースを、10年と11年にはST-2クラスで優勝を飾っているのだ。となれば、#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3の対抗馬になり得る……と予想したかったのだが、#3 ENDLESS ADVAN PORSCHEはエンジンのオーバーホールが間に合わず、出場しないとの情報も。峰尾は、同日開催のアジアン・ル・マンシリーズに出場する。これは少々残念なところだ。

 とはいえ、予選では圧倒的な速さを見せている、#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rや#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの存在は見逃せない。ともにトラブルに泣かされ続けて入るものの、今回は言うまでもなく40分間の3レース。最後まで速さを突き通せばいいのだから、逆襲のチャンスは確実に訪れると予想したい。

 さて、6クラス中、最も早くチャンピオンが決まったのがST-1クラス。今回も孤軍奮闘となってしまう#9 Faust Racing BMW Z4は、予選のトラブルで我慢の展開を強いられた前回の雪辱に期待したい。今回はおそらく山野直也を欠くことになるだろうが、いかにストレスフリーのレースができるか。これができるかできないかで、喜びも大きく違ってくるのでは?

 ST-2クラスでは、ようやく#20 RSオガワADVANランサーが前回の岡山で勝ち、#59 STURM MOTUL EDインプレッサの連勝を「2」で止めている。昨年は2連勝し、その前の2年間も表彰台を外してはいない#20 RSオガワADVANランサーだけに、今回は一気に差を詰めるチャンス、いや逆転とて決して不可能ではない。エンジンパフォーマンスでは優ると言われる、#59 STURM MOTUL EDインプレッサとのノンストップバトルが大いに注目される。

土曜日にST-3クラスの#80 PETRONAS TWS GS350の王座決定濃厚
連勝なるか、ST-4クラスの#86 GAZOO Racing TOYOTA86!

 前回で連勝はストップしてしまったものの、ST-3クラスを圧倒的な強さでリードする#80 PETRONAS TWS GS350が、このレースウィークでチャンピオンを、いや早々と土曜日のうちに決めそうだ。すでにランキング2位の#15 岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34との差を51.5ポイントとしているため、予選でトップに立つか、あるいは第1レースを完走するだけでいいという、これ以上ない条件になっているからである。

 予選では前回同様、#34 assetテクノZ34が筆頭となって、ライバルたちも必死に抵抗してくるだろう。だが、決勝を完走すればいいという条件には、もはや太刀打ちする術を奪われたも同然。だからといって、#80 PETRONAS TWS GS350のドライバーたちが完走狙いでレースするとは思い難く、むしろ全部勝って喜びを倍増させようと考えているはず。日曜日の2レースでは、新チャンピオンの凱旋走行が見られそうだ。

 もっとも、ST-3クラスには鈴鹿をホームコースとするチームは多く、「ここで勝たねば、どこで勝つ!」の勢いで挑んできそう。普段のレース以上に激しい戦いになることが予想される。

 ST-4クラスでは前回、#86 GAZOO Racing TOYOTA 86が優勝。86そのものは、すでに第2戦・インジェの第2レースで#13 ENDLESS DIJON ADVAN SAYAMA 86が先勝しているが、国内では初、しかも1年前、最初にスーパー耐久に送り込んだチームとあって、より脚光を浴びる格好となっていた。雨の中、絶対的なホンダ軍団とのパワー差を、シャシーバランスに優れることで縮めたどころか、補ってしまった。今回の40分三本勝負ではいったいどんな展開を見せてくれるのか注目したい。

 さて、このクラスにおける鈴鹿との相性良しは、#95 リジカラS2000をドライブする松井猛敏だ。過去3年間S2000を乗り続け、昨年は第1レースで優勝、10年と11年にも優勝を飾っている。今年も予選トップは2回獲得している#95 リジカラS2000なのだが、なぜか優勝の文字が遠い。今回は助っ人に服部尚貴を起用しているだけに、何度も言われ続けた「今度こそ!」を実現させてほしいところ。もちろん、同じS2000を駆る、#41 TRACY SPORTS ings S2000もすでに16.5ポイントのマージンを持っているだけに、今回でチャンピオンを決める可能性は十分にある。このチームもまた守りに入るようなことはまずないだろう。積極果敢なレースが期待される。

 ポイント的には#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィットが大幅リードのST-5クラスながら、タイトルを争うライバルとは異なり、第2戦にも出場。今年は有効ポイント制度が採られているため、まだまだ絶対的なマージンを確保しているとは言い難い。とはいえ、マシンの見直しが功を奏し、前回のレースでは本来のフットワークを取り戻した感も。

 一方、第4戦の初勝利、第5戦の2位でじわりじわりと#19 BRP☆HYPER ECU C72制動屋J’Sフィット、そして連覇を狙う#36 エンドレスアドバントラストヴィッツに近づいている、#17 DIXCELアラゴスタNOPROデミオだが、今回は助っ人、谷川達也を欠くのが痛い。だが、それでなお互角に渡り合えれば、その速さは本物だと大いに胸を張ることができるだろう。今回もまた、激しい三つ巴のバトルを見せてほしいものだ。

 

(はた☆なおゆき)

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