決勝レポート
悪天候の開幕戦で、スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが圧勝!
ツインリンクもてぎを舞台に、スーパー耐久シリーズ第1戦の決勝レースが3月30日(日)に行われた。予選とは対照的に、決勝はあいにくの雨模様に。それも絶えず勢いを変える、難しいコンディションとなってしまった。そんな状況においてもポールポジションからスタートを切った、藤井誠暢/GAMISAN/佐々木大樹組の#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rは終始圧倒的な速さを見せつけ、今シーズンのまず1勝目をマークした。
山野兄弟初レースを優勝で飾ったFaust Racing Team
外れてほしい……と誰もが思った天気予報は、ぴたりと的中。日曜日のツインリンクもてぎは未明からの雨でコースが濡らされ、一度も乾いてくれることはなかった。早朝に行われたウォームアップでトップは、藤井誠暢/GAMISAN/佐々木大樹組の#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rながら、そのタイムは2分5秒台。厳しい戦いとなることが大いに予想された。
5時間にも及ぶ長丁場のスタート進行が開始されたのは、11時45分。しかし、そこには今回がデビューレースで注目された、#111 EXPRIDE G-Tech Sportster GT/Rの姿はなかった。タービンにトラブルを抱え、ピットスタートを余儀なくされたからだ。サポートレースの頃に、いったんやんだ雨はまた降り始め、もちろんのこと全車がウェットタイヤを装着した。
今年から正式にフォーメイションラップは2周行われることになり、それぞれが入念にタイヤを温めた後、水しぶきが豪快に上がる中、スタートが切られる。1コーナーへ先頭で飛び込んでいったのは、もちろん#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの藤井。1周を終えると、#32 ケーズフロンティアDR Audi R8の小林崇志に早くも3秒の差をつける。その後も藤井はアクセルを緩めることなく周回を重ね、それどころか小林は4周目のV字コーナーでコースアウト。すぐに復帰したものの、総合でも7番手に後退し、これで勝負の大勢は決したと言ってもいい。藤井は総合で2番手につけ、ST-1クラストップの#51 Diamango BMW Z4を駆る坂本祐也とペースを合わせる余裕さえ見せてなお、小林は追い上げもままならず。1時間経過を間もなくという段階で、周回遅れにさえされてしまう。
圧倒的な力の差を最後まで見せつけた#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rは、その後、佐々木、藤井、GAMISAN、そして最後に再び佐々木が乗り込むリレーで独走。#32 ケーズフロンティアDR Audi R8も、ラストスティントを担当した高木真一がファステストラップを連発して意地を見せたが、1周の溝は最後まで埋まらず。総合でも3位フィニッシュに甘んじた。
一方、ST-1クラスではスタートから間もなくは、#51 Diamango BMW Z4の坂本、#9 Faust Racing BMW Z4の山野哲也、そして#37 KeePre I.P.Sの中山雄一が一列に並んで激しいバトルを見せたのだが、しばらくすると差も広がるように。それでも同一周回で競われていたものの、最初に遅れを取ってしまったのが、#37 KeePer I.P.S。なんと73周目のV字コーナーで平川亮がグラベルベッドに捕まり、復帰に時間を要してしまったからだ。
残る2台のZ4がピットストップのたびトップを入れ替える展開としていたが、最後に笑ったのは#9 Faust Racing BMW Z4。堀主知ロバートとともに、山野兄弟がレース後に満面の笑みを浮かべていた。
相性抜群のもてぎで、STURM MOTUL EDインプレッサが連覇に向け、まず1勝
ST-2クラスでは、オープニングラップこそ予選トップだった#59 STURM MOTUL EDインプレッサの松田晃司がリードしたものの、サポートレースの86/BRZレースを制した勢いを、そのまま維持した#20 RSオガワADVANランサーの阪口良平が、2周目の2コーナーで早々とトップに立つ。阪口は徐々に差を広げていったが、最初のピットストップでボンネットを開ける光景が。阪口から後を受けた大橋正澄は、そのままトップを走り続けたものの、実はエンジンのガスケットが抜けており、本領を発揮できない状況に陥っていた。
そこに襲いかかったのが、もちろん#59 STURM MOTUL EDインプレッサ。大澤学が57周目にポジションを入れ替え、#20 RSオガワADVANランサーが2度目のピットストップを行った時には冷却液を補給したことで明確な差をつけられてしまう。その後の吉田寿博を交えたリレーも完璧に、#59 STURM MOTUL EDインプレッサが逃げ切りに成功。昨年、初優勝を飾って相性抜群のコースで、今季初優勝を飾ることとなった。
ST-3クラスでは序盤にライバルの脱落が相次いだこともあり、#35 asset ings Z34の前嶋秀司と佐々木雅弘が、完璧なレース運びを見せた。ドライバー交代の直後にトップを明け渡したのも、最初の一度のみだったほど。その様子は、このコンビがZ33を走らせていた頃を、彷彿とさせるほどだった。2位は#5 岡部自動車メーカーズZ34の小松一臣/杉林健一/白井剛/今村大輔組が獲得した。
リジカラFIT3がST-5クラスのデビューウィンを飾る
ST-4クラスでは予選トップの#41 UEMATSU TRACY SPORTS ings S2000を駆る、植松忠雄のリードからレースはスタートしたが、#58 ウインマックスTEINワコーズKRP☆DC5の小林康一、#333 GLORY A-ONE FN2の野間一がぴたりと着いて離れず。やがて降りしきる雨は、植松の足を鈍らせ、代わって野間がトップに立つこととなる。
中盤までは#333 GLORY A-ONE FN2がレースをリードするも、ピストン西沢の力走で、#58 ウインマックスTEINワコーズKRP☆DC5がやがて急接近。そして逆転も。ゴール間際には再びバトルが加熱し、塩谷烈州に野間が近づいていったが、1秒4だけ足らず。小林と西沢にとっては2年連続での、もてぎラウンド優勝となった。
そして、ST-5クラスでは予選トップだった#95 リジカラFIT3が、決勝でも速さを見せた。規定の3ピットを上回る、5ピットとしてもなお、ライバルを寄せつけず。松井猛敏と中島保典、荒聖治が表彰台の中央で笑顔を見せ、燃費走行に徹した、#99 BRP★J’S RACINGフィット3の奥村浩一/大野尊久、#2 ホンダカーズ野崎with BOMEXの山下潤一郎/山田英二/森田登組が、その脇を囲んでいた。
総合優勝:(ST-Xクラス優勝)#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-R
藤井誠暢
「雨の量がけっこう多く、最初に選んだタイヤが厳しい状況でしたが、次第にコンディションとタイヤが合ってきました。その時点でライバルにもマージンがあり、とても安定していたので良かったです。今週少しトラブルを抱えていましたが、ニスモの皆さんやチームが昨日(土曜日)も寝ずに見直してくれて、今日は本当にトラブルなく走れました。本当に皆さんに感謝しています。日産自動車大学校のプロジェクトは今年で3年目です。1年目には勝てましたが、昨年は1勝もできなくて悔しい思いをしたので、この勝利を弾みにシリーズを狙えるシーズンにしたいです」
総合2位:(ST-1クラス優勝)#9 Faust Racing BMW Z4
山野哲也
「スーパー耐久は確か97年とか98年以来。久しぶりに来てBMW Z4という僕にとって初めてのクルマで優勝でき、総合でも2位に入れたので、雨の厳しい5時間の中で、いい成果が出せたんじゃないかな。前から直也とは『一緒にレース組んでみたいよね』って言っていました。それができずに人生が終わるのかな、と思っていたら(笑)、こういう機会が来て、しかも初めて優勝できて最高の気分ですね」
総合5位:(ST-2クラス優勝)#59 STURM MOTUL EDインプレッサ
大澤学
「もう嬉しい!の一言です。 スタート直後は2位になりましたが、そこで気合いを入れて、飛び出さないようにしつつアタックして、何とか抜くことができて。その後も離してマージンを築いて戻ってくることができて、自分としては良くできたと思います。ランサーが得意なコースと、インプレッサの得意なコースが両方混ざっているので、今回勝ったのは良かったけれど、この先全部勝てるとは思っていないので、これからも頑張っていきたいと思っています」
総合8位:(ST-3クラス優勝)#35 asset ings Z34
前嶋秀司
「今回は予選から良くて、A、Bドライバーどっちもトップ。決勝でもスタートの時、前にも後ろにもランサーがいて、うまいことブロックしてもらえましたよ。うまく抑えてほしいと思ったら、案の定うまくいって。何にも問題のなかったレースですね。今年は、何年か前の再現ではないけれどねそのまま行きたいです。全戦(全勝)みたいな感じで!」
総合14位:(ST-4クラス優勝)#58 ウインマックスTEINワコーズKRP☆DC5
塩谷烈州
「今年から小林自動車のチームに参加させてもらって、最初のレースから優勝に貢献できて、本当に良かったと思います。クルマはすごくいいのですが、インテグラは得意なコースもあれば、苦手なコースもあるので、常に上位にいることで、今年のレースをうまくまとめて結果につなげていきたいと思います」
総合28位:(ST-5クラス優勝)#95 リジカラFIT3
松井猛敏
「デビューウィンができて、本当に嬉しいです。新しいクルマであるために、いろいろと限られた中、みんなが一生懸命やってくれたのでノートラブルで5時間走りきれました。僕らも優勝は3年ぶりなので、本当に嬉しい。去年まで『予選はいいけど、決勝では勝てない』って言われ続けていたので、これからも決勝でミスのないように、しっかりこなしていきたいと思っています」
(はた☆なおゆき)