SUPER TAIKYU

RACES ARCHIVE 2014

REPORT

第1戦プレビュー

いきなり5時間耐久の開幕戦に、波乱の予感が……

エントリーは45台。フルグリッドからのスタートに

 2014年のスーパー耐久シリーズは、3月29日(土)〜30日(日)にツインリンクもてぎでスタートを切ることになった。しかも、いきなり5時間耐久! 今シーズンはそれほど多くのニューマシンはないものの、このオフに手を加え、スペックを改めたマシンもあるに違いない。もちろん、公式テストでチェックは行っただろうが、5時間にも及ぶロングランの経験は昨シーズンの決勝レース以外にはないはずなので、完全な状態ではない可能性も……。

 まして、もてぎのコースレイアウトはストップ&ゴーを繰り返し、長時間のうちにブレーキには極端な負担がかかる。思い出してほしい、昨シーズンのレース展開を。完全にブレーキを使い果たしたマシンが、ラスト5分で総合トップの座を明け渡したことを。もちろん、ひどいアクシデントなど、誰も求めていないにせよ、波乱含みのレースが大いに予想される。

 さて、今シーズンのスーパー耐久における、大きな話題のひとつが年間エントリー台数の上限撤廃で、そのことはすなわち予選落ちが生じる可能性もあるということだ。ご存知のとおり、すでに年間エントリーだけでも50台にも達し、開幕からさっそくという事態も考えられた。が、幸か不幸か今回のエントリーは45台に留まったこともあり、全車が決勝レースに挑めることとなった。だが、今後はどうなるか。

 近頃、予選落ちが生じるレースなど、そうはない。というより、グリッドに多数のクルマが連なり、壮観な絵図となるレースが極めて減っている。そんな状況の中で、スーパー耐久レースがこれだけ盛況なのは喜ばしいこと。それだけシリーズへの注目度が高まっていると、言うこともできるだろう。

 もうひとつの変化が、FIA GT3を用いるクラスの名称が、設立初年度のST-Xクラスに戻されたことだ。これはスーパー耐久レースではBoP(性能調整値)をFIAがシーズンごと定めた数値だけではなく、過去において理想とされる数値の使用も認めているためで、マシンそれぞれ本領を発揮できるようにとの配慮であることから、前向きな改称と考えてほしい。

ニューマシン登場! その可能性はいかに

 ところで、冒頭でそれほど多くのニューマシンはないと述べたが、今シーズンは少ないながら魅力的なマシンが登場する。そのひとつがST-1クラスに参戦を許された、インタープロトシリーズ(I.P.S)で用いられる“KURUMA”である。これは厳密に言うと、市販車ではない。純粋なレーシングカーではあるものの、「速さを競うために贅を削ぎ下ろされた」というコンセプトではスーパー耐久車両にも共通することから、特認での参加が可能に。

 I.P.Sは昨年からスタートし、富士スピードウェイ以外ではレースが行われていないため、その実力は未知数ながら、3月9日に行われた公式テストにおいては、#9 Faust Racing TeamのBMW Z4が1分58秒878を記録したのに対し、#37 TOMEI SPORTSの“KURUMA”は2分2秒140に留まっている。しかし、富士での昨年の予選タイムを比較すると、Z4の1分47秒台に対し、“KURUMA”は44秒台と立場を入れ替える。

 残念ながら今回はエントリーがなかったが、今シーズンからポルシェのカップカーでの参加も認められるようになった。こちらの富士でのタイムは1分43秒台。つまり、それぞれに大きな差はないのである。駆動方式が3車種とも異なることもあり、性格にも違いは確実にある。すべて揃えば、コースレイアウトやコンディションの違いによって有利・不利が分かれ、バトルも大いに盛り上がるのではないだろうか。

 今回のエントリーはわずか3台と寂しいものの、その印象を覆すほど、それぞれのドライバーラインアップは魅力的だ。まずチャンピオンチームの#9 Faust Racing Teamは、堀主智ロバートと山野直也という昨年同様の組み合わせに、開幕戦限定ではあるが、山野哲也が加わる。スーパーGT勇退後の山野哲也にとって、これが初レースであるし、また山野兄弟がレースでタッグを組むのはおそらく初めてのはず。もう一台のZ4を走らせる#51 BENDも、坂本祐也と石原将光、池田大祐、余郷敦という「通好み」のドライバーでの参戦となる。

 そして、#37 TOMEI SPORTSの“KURUMA”は中山雄一と平川亮が、畠中修をサポートする。中山は昨年の、そして平川は一昨年の全日本F3チャンピオンで、今シーズンはともにスーパーフォーミュラにも参戦する、期待の星だ。これだけのメンバーで争われる戦いが、面白からぬはずがない。

 その他のニューマシンは、ST-4クラスのトヨタヴィッツGRMNターボ、G-TECHスポーツスターGT/R、そしてST-5クラスのホンダフィット3だ。フィット3に関しては、もはや説明はいるまい。公式テストではST-4クラスから移行の#95 TEAM SPOONによって、従来のレコードも更新する2分20秒262がマークされており、早々と今シーズンの主役になりそうな勢いを見せている。なお、フィット3は他にもチャンピオンチームの#99 BRP★J’S RACING、#2 Team BOMEXからのエントリーも。

 また、ヴィッツGRMNターボとスポーツスターGT/Rはターボを備えるため、排気量換算では2000ccを超えるものの、特認での参加が認められた。後者はフィアットベースのチューニングカーで、公式テストには参加したものの、仕上がり具合が今ひとつで十分に走れず。またヴィッツターボはテストに参加できず、実戦がシェイクダウンも同然となる。それぞれ戦力はまったくの未知数ながら、他の車両に引けを取らないようであれば、車種の豊富なクラスのバトルがより盛り上がることだろう。

 

(はた☆なおゆき)

  • YOKOHAMA
  • D'STATION
  • Y's distraction
  • MAZDA
  • ENDLESS
  • GTNET
  • WORK
  • CUSCO
  • 日産・自動車大学校
  • 王子サーモン
  • フクダ電子
  • 株式会社大和ラヂエーター製作所
  • Swisstrax
  • NAPAC
  • GAZOO Racing
  • NISMO
  • BRIDE
  • swift
  • enable
  • vivaC
  • TECHNO FIRST
  • ings
  • Super Taikyu SERIES.
  • S.T.O
  • Super Taikyu SERIES.