第2戦プレビュー
シリーズ第2戦の舞台は今年もSUGO。大激戦は必至!
ツインリンクもてぎでの開幕戦から約2か月のインターバルを経て、スーパー耐久シリーズはスポーツランドSUGOを舞台に、5月23〜24日に第2戦を開催する。開幕戦は5時間の長丁場ではあったが、今回はレギュラーの3時間レース。また、ストップ&ゴーの繰り返されるサーキットから、高速テクニカルサーキットで舞台を移すことで、まったく違ったレース展開になることが予想される。
開幕戦で総合優勝を飾ったのは、ENDLESS ADVAN BMW
8台が挑んだST-Xクラスの開幕戦は、予選結果からはまるで読めないレース展開になっていた。エキゾーストの破損により、峰尾恭輔がBドライバー予選を走れず、グループ最後尾スタートを強いられていた、Yuke Taniguchi/峰尾/元嶋佑弥組の#3 ENDLESS ADVAN BMWではあったが、着実な追い上げが実って逆転優勝を果たすことになった。BMW Z4 GT3のタフネスぶりを改めて感じさせることともなったが、今回のような3時間レースでは果たして、そこまで劇的な展開になるだろうか。
また、#32 飯田太陽/小林崇志/Tetsuo Ogino/高木真一組のKSF Direction Racing GT3Rは、3番手を走りながらゴールまであと4分というところで、マシンがストップ。チェッカー優先の規定により、無念のリタイアとなったが、これもまた長丁場のレースでなければ、また違っていた展開になったはずだ。何はともあれ、開幕戦の長さとブレーキにかかる負担は、多くのチームに我慢を強いさせたに違いない。
今回はタイヤにこそ厳しいものの、それほどストレスなく走り続けられるのではないだろうか。雨が降れば話は別だが、今のところ週間天気予報では低い降水確率を告げており、爽やかなレース日和になりそうだ。そういう状況において、やはり大活躍が予想されるのは、ニッサンGT-RニスモGT3勢ではないだろうか。昨年も優勝を飾っており、なおかつ3台ともに開幕戦は我慢のレースだっただけに、ストレス発散の期待もかかる。
特に注目したいのが、#1 GTNET ADVAN C-WEST GT-R。昨年も優勝を飾っており、しかも牽引役の星野一樹は、ニュルブルク24時間で9位と、シングルフィニッシュを果たした勢いにも期待がかかる。もちろん、#3 ENDLESS ADVAN BMWの連勝にも!
いきなり速さを見せた、DAMD MOTUL ED WRX STI
ST-2クラスで優勝を飾ったのは、下垣和也/小林 且雄/松本武士/伊藤勝一組の#20 RSオガワADVANランサーだった。このチームに関する最大のトピックスは、小林が5年ぶり、伊藤が10年ぶりのレースだったにもかかわらず、まったく走りにブランクを感じさせなかったことだ。長年、耐久レースを戦ってきた経験が、自然とからだを動かしたのだろう。「このペースで走れば、クルマには優しいはずだ」と。
ただ、これは想像の話。実際には最終スティントを担当した小林がコースに入ると、大澤学/松田晃司組の#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの前にはいたが、その差は数秒のみ。ゴールまで激しいバトルを繰り広げた末に、辛くも逃げ切りを果たしたからだ。守りに入る余裕など、まったくない状況であっただけに、今の話は当てはまらないことになる。むしろ、先頭モードにも自然に入ったとすれば、まさに「恐れ入った」と言うしかない。復帰2戦目ともなれば、さらに渋い走りが見られることだろう。
だが、対するライバルの#59 DAMD MOTUL ED WRX STIも、ニューマシンでの初レースだったというあたりに注目したい。シェイクダウンはそこそこの状態だったにもかかわらず、熟成され尽くした感のある、#20 RSオガワADVANランサーと互角のスピードを披露したからだ。当然、まだのびしろはあるに違いない。予選ではトップだっただけに、一発の速さではすでに優っている可能性もある。それだけに初勝利はそう遠くない日に訪れるかもしれない。
レクサスRC350の戦闘力や、いかに?
ST-3クラスにおける、今回の最大の話題はニューマシン、レクサスRC350がデビューすることだ。これまでもスーパー耐久に限らず、レクサスと言えば高級車というイメージを覆してきただけに、このクルマにも期待を込めずにいられない。最初の1台を持ち込んだのは、ル・ボーセモータースポーツ。昨年まで嵯峨宏紀を擁してスーパーフォーミュラを戦ってきたチームが、活動の舞台を移したのだ。しかし、スーパーFJから、そのスーパーフォーミュラまで、ありとあらゆるフォーミュラの経験を持つチームだが、ツーリングカーを走らせるのは、これが初めて。製作にあたっては、嵯峨がスーパーGTで所属するaprのサポートを受けているものの、レースシミュレーションとなるとすべてを託するわけにはいかないだろう。クルマの仕上がり具合もさることながら、そのあたりもお手並み拝見だ。
開幕戦を制したのは、前嶋秀司/佐々木雅弘/松原怜史組の#34 asset ingsテクノZ34。昨年のチャンピオンチームが貫禄を示した格好だが、レースを終えて佐々木は「優秀の微雨を飾れて良かった」と語ったもの。これはクルマに対しての話であり、テクノファーストレーシングチームもまた、RC350の使用を予定しているからだ。今回のエントリーはZ34で済まされているが、おそらくRC350も持ち込むはず。その完成度によっては、スイッチも示唆していたが……。連覇を狙っているだけに、手堅い展開で行くのではないか。
その#34 asset ingsテクノZ34を、序盤は追い回したばかりか先行もしたのが、#38 ムータレーシングTWS IS350だった。長年、ST-2クラスを戦ってきた阪口良平が、チームとクラスを変更。牽引役となって植田正幸と堀田誠を盛り立てていたが、エキゾーストの破損でエンジンが本領を発揮しなくなってしまったばかりか、排気がコクピットにこもって万事休す。決勝でノートラブルだった時のポテンシャルを楽しみにしたい。
相性良しのSUGOで、86は今年も大活躍?
テクニカルサーキットとして知られる、SUGOではFRとFFが唯一混在するST-4クラスにおいて、圧倒的にFRに有利だとされてきた。アクセルを踏んでまわるコーナーが多いため、FRのフットワークの良さが大いに活かされるからだ。そこで思い出されるのが、昨年の#13 ENDLESS ADVAN 86、#92 SKR ENGINEERING S2000による、ゴール間際の激しいトップ争いであ る。それはまるでFR最速決定戦の様相を呈し、接触もあったが非 常にエキサイティングで、エンディングを盛り上げたもの。#13 ENDLESS ADVAN 86の連勝なるか、注目されるところだが、今年のAドライバー山内英輝はニュルブルクリンク24時間でクラス優勝を飾ったばかりで、勢いも十分で可能性も大ありと言えるだろう。
それを言うならば……と、大きく手を挙げそうなのが、#86 TOYOTA Team TOM’S SPIRIT 86の井口卓人も、今回は監督を務める影山正彦らとともにクラス優勝を飾っているからだ。果たしてどちらの勢いが優っているのか、それともS2000勢の逆襲はあるのか、大いに気になるところである。
ST-5クラスにWTCCドライバー参戦
ST-5クラスで開幕戦を制したのは、大野尊久/梅 本淳一組の#69 BRP★J’S RACINGフィットだった。この時はCドライバーに井入宏之を加えていたが、今回はチャールズ・カキンを加えることに。香港出身のカキンは13年にWTCCフル参戦の経験を持っており、ヨコハマドラ イバーズトロフィー10位のドライバーだ。耐久レースでの実力は未知数ながら、頼もしい助っ人になってくれそうだ。
また、開幕戦に引き続き注目したいのが、野上敏彦/谷川達也/野上達也組の#17 DXLアラゴスタNOPROデミオSKY-Dだ。2戦目ともなると、セットアップも進んでいることだろう。ディーゼルエンジンらしくトルクフルな低速域を多用するため、エキゾーストノートも静かで迫力には欠けるものの、ラ イバル車両に静かに迫って、気がつけば……という展開になれば、きっと痛快であるだろう。
(はた☆なおゆき)