SUPER TAIKYU

RACES ARCHIVE 2015

REPORT

予選レポート

ARN AMG SLS GT3が、2回目のポールポジションを獲得する

 全6戦で争われるスーパー耐久も早いもので、もう今季最終戦を迎えることとなった。鈴鹿サーキットを舞台に、10月24日(土)に予選が行われ、第3戦・富士以来2回目となるポールポジションを、#8 ARN AMG SLS GT3の永井宏明/佐々木孝太/佐藤敦組が獲得した。


専有走行では、スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが最速

 金曜日には3セッション1時間ずつの専有走行が行われ、雲ひとつない青空の下、今回もトップタイムをマークしたのは#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの藤井誠暢だった。セッション1で記録した2分2秒762は、レコードタイムにコンマ03秒にまで迫るもの。予選も同じようなコンディションであれば、間違いなく更新されるだろう。これにセッション3で2分2秒913まで、#1 GTNET ADVAN C-WEST GT-Rの星野一樹が肉薄。どうやら下馬評どおり、ニッサンGT-RニスモGT3勢が有利にレースを進めることとなりそうだ。

 一方、チャンピオンがまだ決まっていない、ST-3クラスとST-4クラスだが、この専有走行ではそれぞれ#34 asset ingsテクノRC350、#52 埼玉トヨペットGreenBrave 86、ポイントリーダーがセッション3でトップタイムを出していた。大いに有利とは言えないまでも、きっと精神的なアドバンテージにはなったはずだ。

 なお、今回がデビューレースとなる、脇阪寿一/脇阪薫一組の#68 埼玉トヨペットGBマークX G’sは、シェイクダウンがこの金曜日とあって、油温の上昇に悩まされ、ST-3クラスの8番手に留まっていた

 今回は土曜日の午前にもウォームアップ走行が行われ、金曜日ほどの好天には恵まれたなかったものの、それがかえって温度を下げることに。引き続き#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの藤井が2分1秒893をマークしてトップに。ついにレコードタイムが更新されることとなった。

 ST-2クラスでは#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの松田晃司が2分17秒793で、ST-3クラスでは#15 岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34の田中徹が2分17秒736で、ST-4クラスでは#40 TRACY SPORTS ings SSR S2000の藤田竜樹が2分22秒225で、そしてST-5クラスでは#69 BRP★J’S RACINGフィット3の梅本淳一が2分34秒140で、それぞれトップにつけている。

予選でもスリーボンド日産自動車大学校の藤井誠暢が最速タイムを記すも……

 ウォームアップの頃にはサーキット上空を、雲が全体的に覆っていたものの、予選が始まる頃には青空も見えるまでに。幾分温度は上がったものの、コンディションは良好。それぞれ好タイムが記録されることが期待された。

 まずはAドライバーの第1グループ。ここでいきなり好タイムをマークしたのが、#8 ARN AMG SLS GT3の永井宏明だった。2分2秒615でレコードタイムを更新し、ライバルを大きく引き離すこととなった。次の周のシケインでスピンを喫しはしたが、マシンにダメージは一切なし。アタックを残り10分を切ったところから開始した、#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの星野敏が2分3秒468を記すも、その差はコンマ8秒にも。3番手は#1 GTNET ADVAN C-WEST GT-RのGAMISANが獲得。

 ST-2クラスでは、#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学が、2分17秒211でトップ。2番手につけた、#31 HASEPRO RACING LANCER EVOLUTION Xの朝倉貴志を1秒3も引き離した。そして、ST-3クラスでは2分17秒512を記した、#39 SARD Racing RC350の柴田優作がトップ。これに2分17秒521で続いたのは、#34 asset ingsテクノRC350の前嶋秀司。3番手は#195 岡部自動車ZEROSUN 195 Z34の安宅光徳で、4番手は#15 岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34の長島正明で、ここまでコンマ1秒の差もつかなかった。

 続くBグループでは、#52 埼玉トヨペットGreenBrave 86の番場琢が、最初のアタックで2分20秒510をマークしてST-4クラスのトップに。レコードラップを11年ぶりに更新した。これに#40 TRACYSPORTS ings SSR S2000の藤田竜樹が2分20秒723で、そして#95 孚海國際×SPOON S2000の松井猛敏が2分21秒356で続く。

 ST-5クラスでは、新たなレコードタイム、2分30秒723を叩き出した#69 BRP★J’S RACINGフィット3の大野尊久がトップ。2番手には#2 ホンダカーズ野崎with CUSCO & BOMEX FITの山下潤一郎がつけるも、その差は3秒3。エンジン不調を抱えているだけに、やむを得まい。

 続いてBドライバーのセッションが行われ、最初にトップに立ったのは#16 REAF REAL ESTATE KiiVA BMWの片岡龍也。2分1秒439をマークしてレコードタイムを更新した後、クールダウンを挟んで2分1秒273にまで短縮、完全にだめ押しとなったかと思われた。その片岡と入れ替わるように、#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの藤井がコースイン。しっかりとタイヤに熱を入れた後に記されたタイムは、2分0秒999! 片岡のレコードはあっさりと覆された。そして、3番手には2分1秒813で、#8 ARN AMG SLS GT3の佐々木孝太がつけ、4番手には2分1秒965を記した、#1 GTNET ADVAN C-WEST GT-Rの星野一樹が。

 となれば、気になるのは合算タイム。わずかコンマ03秒差でポールポジションを奪うことになったのは、#8 ARN AMG SLS GT3で、2番手は#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-R。3番手は#1 GTNET ADVAN C-WEST GT-Rが獲得した。

ST-2クラスは全戦でDAMD MOTUL ED WRX STIが予選トップの快挙達成!

 ST-2クラスでは#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの松田が、アタックを一発で決めて2分15秒858でトップに。もちろん合算でもトップとあって、開幕戦から全戦でトップという快挙を達成することとなった。菊地靖が2分17秒931を記して2番手につけた、#6 新菱オートDIXCELエボXが合算でも2番手ながら、間に7台ものST-3クラス車両を挟むことに。

 ST-3クラスでは、#38 ムータレーシングTWS IS350の阪口良平が2分16秒072でトップ。実はこの車両、金曜日最初の専有走行でクラッシュを喫し、特にフロントのダメージが大きかったため出場も危ぶまれ、一時はNSXへのスイッチも検討されたほど。だが、メカニックによる懸命な修復により、午前のフリー走行には間に合わなかったものの、予選にもう間もなく……というところでエンジンに火が入った、という背景もあったのだ。それだけに「メカニックたちの苦労に報いられて良かった」と阪口。合算タイムでは4番手ながら、激しい追い上げによってタイトル争いに大きな影響を及ぼすのは間違いない。

 一方、阪口に続く2番手は、#39 SARD Racing RC350をドライブする平手晃平。2分16秒544をマークし、柴田との合算により、初めての予選トップを獲得することとなった。一方、これに続くこととなったのは、田中徹が3番手だった#15 岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34。背後には#34 asset ingsテクノZ34を背後に置くこととなり、直接対決の様相が一層濃くなった。

値千金の1ポイントを、#52 埼玉トヨペットGreenBrave 86が稼ぐ!

 第2グループのセッションで、いきなり魅せたのが#52 埼玉トヨペットGreenBrave 86の服部尚貴だった。2分20秒035を記して、チームメイト番場の出したレコードを早々と更新。もちろん合算でもトップとあって、初めてST-4クラスの最前列に並ぶこととなった。

 2番手は#92 ニールレーシングwithセイコーSSR亜衣の杉原直弥が、2分20秒791で獲得。本来はこのレースから86を投入するはずが、燃料系トラブルが発生していたこともあり、急きょS2000に戻していた。これに続いたのは#40 TRACYSPORTS ings SSR S2000の吉本晶哉で2分21秒728をマーク。合算タイムでは、この2台が順位を入れ替えて2番手、3番手に並ぶことになった。

 そして、ST-5クラスでは#2 ホンダカーズ野崎with CUSCO & BOMEX FITの山田英二が、意地で2分31秒100を叩き出してトップにつける。一方、#69 BRP★J’S RACINGフィット3の梅本は、2分33秒452で2番手に甘んじるも、合算タイムでは難なくトップに立つこととなった。2番手となった#2 ホンダカーズ野崎with CUSCO & BOMEX FITは、予選の後エンジンが交換される予定となっている。

 なお、3番手となった#213 WAKO’S APP菅野自動車Vitzは、計測が残りわずかとなったところで130Rにおいてクラッシュ。赤旗中断の原因となるも、ドライバーは大事に至らなかった。

 25日(日)は8時15分から30分間のフリー走行を行なった後、12時25分からスタート進行が開始。13時には3時間に渡って競われる、決勝レースの火ぶたが切られることとなっている。

ST-Xクラストップ(ポールポジション)#8 ARN AMG SLS GT3

永井宏明

「練習走行ではかなり苦しんでいたんですけど、朝のフリー走行でセットアップがいい方向に行ったんで、走りやすいクルマに仕上がりました。そのクルマのおかげでいいタイムが出ました。自分では2秒台が出るなんて、思ってもいなかったですね。シケインのスピンは、『前のクルマに詰まっちゃうな』って思ったら気が抜けちゃったんで(苦笑)。勢いで行けたから、すごいタイムが出たのかな、と思います。優勝はもう、みんなで一生懸命走って、結果がついてきてくれたら、最高だと思います」

佐々木孝太

「普段ではやらないようなチャレンジングなセットアップをやってみたら、永井さんがあんなタイムを出してきたので、これはクルマも良くなっているな、と。永井さん自身も地元ですし、いい流れでポンとタイムを出してくれたので、俺も頑張んなきゃいけないな、と思ったんですけどね。なんとか築いてくれたギャップを、ぎりぎり使い切ってポール獲れたんで、本当に良かったですね。ポールは2回目ですけど、実際こうやってドライで獲れたのは初めてなので、チームとしても今年初参戦して、最終戦を優勝で飾れると気持ちいいと思うので、頑張ります」

ST-Xクラス2番手 #24 スリーボンド日産自動車大学校GT-R

藤井誠暢

「あのタイムには、自分でもビックリしました。今週、鈴鹿に向けて持ってきたクルマがすごく良かったので予選に向けて、アジャストもちょっとして、タイヤの温めとタイミングが重要なので、そのへん内圧のコントロールとかかなり考えました。僕の予想では1秒3ぐらいだったんですが、とにかく限界の限界まで行って、1周がパーフェクトにまとまって出たタイムです。本当にいいアタックができたし、クルマも調子いいので、明日は優勝できるように頑張りたいと思います」

ST-2クラストップ #59 DAMD MOTUL ED WRX STI

大澤学

「ST-2クラスの中ではぶっちぎりだったんですけど、ST-3クラスのクルマが速かったので、その前にどうしても出たいな、というのがあったので、そこはクリアできたかな、って思いますね。最後なので、勝って締めくくりたいというのがあるので、当然、勝ちに行きます」

松田晃司

「いや〜、久しぶりに完璧! 気持ちよかったです。『アタックは1周だけにしようね』というのがあって、どうしようかな、と思っていたんですが、まぁいいや、行くだけ行って、その後に考えればいいやと思っていたんですが、一発で決まりましたね。久々に良かったですね、クルマも良かった。でも、それがですね、またあるんですよ。もう明日はね。いろいろどうしようかなって考えています」

ST-3クラストップ #39 SARD Racing RC350

柴田優作

「ここまで一戦、一戦重ねるごとにクルマが良くなってきて、今年最終戦の集大成みたいな感じで、いちばんクルマが仕上がっていたんですよね。だから何も別に心配なく、与えられた物で走り切ったって感じでしたね。走りもほぼ目いっぱいでした! 決勝も頑張ります」

平手晃平

「S耐では初めてというか、僕の人生にとってもかなり久々のポールだったもんですから、GTでもなかなかポール獲っていないから(笑)。前回の岡山からクルマがバージョンアップされて、鈴鹿は初日からクルマ的にもバランスが取れていて、ドライバー全員が乗りやすくて、いいクルマというところまでなっているんで、ドライバーふたりともいいタイム出せました。明日のレースに向けて、一番いいスタートができる位置にいるんで、なんとか表彰台のてっぺんでシーズン終われるように頑張りたいと思っています」

ST-4クラストップ #52 埼玉トヨペットGreenBrave 86

番場琢

「去年は鈴鹿で一番苦戦していて、トップとの差が、去年は3秒ぐらいあったんですよ。でも、今年は走り始めから思ったよりペースは良くて、『けっこう戦えるな』というのが昨日の印象で。予選の最後、シケインの落下物を避けて20秒2なので、今のところ、出来過ぎなぐらい。今回はクルマの足まわり然り、エンジン然り、完璧だと思うんですね。このチームにとって初ポールなので、チャンピオンに向けては絶好のポジションだと思うので、土曜日の仕事としては完璧だったと。あとは明日もノーミスで、とりあえずぶつからず、飛び出さず。自分たちの仕事をすれば、チャンピオン獲れるかな、と思っています」

服部尚貴

「昨日までこんなタイム、一回も出ていないから『ヤッベェな〜、番場、いいタイム出しやがって』と思っていたんですが、ニュータイヤの御利益というか、いいところをうまく使えたと思っているし、まぁ、クルマはそれなりにできていると信じて、行ってみたら、ちゃんとクルマも応えてくれて。そういう意味でアタックとしては、いい1周になりました。このポールの1点は、すごく大きくて、これで40号車(TRACYSPORTS ings SSR S2000)が勝ったとしても、この1点があるおかげで、もし表彰台からずっこけても、4位でもチャンピオン獲れるようになったんでね。そこを自分たちの力で枠を広げた感じで、そういう意味では本当に狙いどおり!」

ST-5クラストップ #69 BRP★J’S RACINGフィット3

大野尊久

「我ながら、いいタイムが出せたと思います。今年1年の集大成の、メカニックたちが精魂込めて作り上げたクルマじゃないですか。それでタイムが出せて、本当に恩返しができたというか。良かったと思います。チャンピオン決まっていても、最後しっかりと、攻め続けていますから。梅本さんがそういうスタイルなので、常に攻めていくつもりです、当然決勝レースでも!」

梅本淳一

「今回は全部取ろう、昨日、今日の朝フリー、今日の予選、明日の決勝、全部トップ獲ってやろうと。ただ、(大野が)速過ぎてね、ちょっと僕は戦意喪失したぐらい。失敗したのもありましたけどね。とにかく、すごいクルマですよ。去年、苦労してチャンピオン獲った時と足まわり、ごっそり違うんで、すごく良くクルマを動かして、タイヤに優しいんですよ。だから、決勝を見てもらったら分かると思うんですけど、他のチームより15分、20分ぐらい長く走れる。保つはず、同じタイヤなのに。今日はよく頑張りました。(大野に)ありがとう」

 

(はた☆なおゆき)

  • YOKOHAMA
  • D'STATION
  • Y's distraction
  • MAZDA
  • ENDLESS
  • GTNET
  • WORK
  • CUSCO
  • 日産・自動車大学校
  • 王子サーモン
  • フクダ電子
  • 株式会社大和ラヂエーター製作所
  • Swisstrax
  • NAPAC
  • GAZOO Racing
  • NISMO
  • BRIDE
  • swift
  • enable
  • vivaC
  • TECHNO FIRST
  • ings
  • Super Taikyu SERIES.
  • S.T.O
  • Super Taikyu SERIES.