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REPORT

決勝レポート

スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが逆転で、総合優勝を飾る

 スーパー耐久シリーズの第1戦決勝レースが4月3日(日)、ツインリンクもてぎで開催され、ポールポジションからレースを開始したのは#5 Mach MAKERS GTNET GT-Rだった。星野一樹が第1スティントでトップをキープしたものの、第2スティントのピットを離れる際にエンジンストールがあり、2周前に藤井誠暢から平峰一貴に交代していた、#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの逆転を許してしまう。その後も2台は激しいバトルを繰り広げるが、終盤になって#5 Mach MAKERS GTNET GT-Rにはピット作業違反に対する、ドライビングスルーペナルティが課せられ、これが命取りに……。逃げ切った内田優大/藤井/平峰組の#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが、久々の優勝を飾った。

ほんの少しの運が、明暗を分けることに……

 決勝当日は青空にこそ恵まれなかったものの、終始ドライコンディションでの戦いになった。想像していたとおり、60台オーバーが並んだスターティンググリッドは壮観そのもの。ストレートはマシンでしっかりと埋め尽くされていた。


 ポールポジションを獲得した#5 Mach MAKERS GTNET GT-Rのスタートを担当したのは、新たなレコードホルダーとなった星野一樹。1周のローリングの後、鋭いダッシュを決めて、1コーナーに先頭で飛び込んでいく。これに続いたのは、予選よりひとつポジションを上げた、#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの藤井誠暢で、星野をも抜きそうな勢いを見せたものの、いきなり無理は禁物と判断。大きく遅れを取ることなく続いていく。先にピットに入ったのは藤井で、39周目に平峰一貴と交代。この2周後に星野もピットに入り、藤波清斗と代わるが、エンジンストールがあり、そのロスの間に平峰がトップに浮上する。

 当初は10秒近くあった差を藤波は徐々に詰めていき、70周目には逆転に成功。そして84周目に白井剛へとステアリングを託すこととなる。79周目には平峰も内田優大と代わっており、今度は#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが徐々に差を詰めていくことに。そして、内田は94周目に逆転を果たすと、白井を引き離していった。しかしながら、大きな遅れではなかったことから、パートナーの逆転も期待されたものの、それから間もなく#5 Mach MAKERS GTNET GT-Rにドライビングスルーペナルティが課せられてしまう。ピット作業違反があったためだ。やむなく白井はピットへとマシンを進めることに。何とか2番手はキープしたものの、差は35秒にも拡大してしまう。

 115周目に#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rは再び平峰に、116周目に#5 Mach MAKERS GTNET GT-Rも再び藤波にスイッチ。勢いのある若手ドライバー同士の対決だけに、激しいバトルが繰り広げられることが期待されたが、ブレーキに厳しいもてぎでは無理も利かず。そのまま逃げ切った、#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが久々の優勝を飾った。3位はYUKE TANIGUCHI/峰尾恭輔/富田竜一郎/柳田真孝組の#3 ENDLESS ADVAN GT-Rが獲得し、GT-R勢が表彰台を独占することとなった。

DAMD MOTUL ED WRX STIが4連覇に向けて、幸先のいいスタートを切る

 ST-1クラスでは予選トップだった、#777 D’station Porsche 991の星野敏がトップでレースを開始するも、7周目のS字コーナーでスピンを喫してしまう。これで#51 Diamango BMW Z4の細川慎弥がトップに立つが、石原将光に代わって間もなく左フロントのタイヤにトラブルが発生。これで難なく#777 D’station Porsche 911がトップに返り咲き、星野と荒聖治がリレーを完璧に決めて、優勝を飾っている。

 ST-2クラスでは、大澤学/後藤比東至組の#59 DAMD MOTUL ED WRX STIがポール・トゥ・ウィンを達成。スタート直後こそ大澤が、#6 新菱オートDIXCELエボXの菊地靖、#20 RSオガワADVANランサーの松本武士を背後に置いたものの、徐々に差を広げていくことに。大澤からステアリングを受け継いだ後藤も、ST-2クラスでの初レースにも関わらず、安定した走りを見せていた。2位は下垣和也/松本/近藤説秀/伊藤勝一組の#20 RSオガワADVANランサーが獲得。

 そのST-2クラス勢をすべて上回る速さを見せたのが、ST-3クラスの#38 MUTA Racing TWS IS350だった。阪口良平の作った大量のマージンを、堀田誠が失うことなく走り続けて、嬉しい初優勝を飾ることとなった。2位は#62 DENSO Le Beausset RC350が獲得。山下健太が体調不良を訴えたため、メニューを急遽変更して嵯峨宏紀と新田守男のふたりでドライブすることになるが、特に問題なく周回を重ねていった。昨年のチャンピオン、長島正明/田中徹/田中哲也/山崎学組の#15 岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34は3位でのゴールとなった。

ブレーキ自慢のENDLESS ADVAN 86が、まずは1勝目を挙げる

 ST-4クラスでは、もてぎでの4連勝を狙った、小林康一/ピストン西沢/塩谷烈州/蘇武喜和の#58 ウィンマックステインワコーズDC5☆KRPが、エンジントラブルでリタイアする波乱が。予選は6番手だったものの、徐々に順位を上げて3番手まで浮上、最後に笑うことが予想されていた矢先の出来事だった。


 予選トップの#86 TOYOTA Team TOM’S SPIRIT 86を駆る井口卓人のリードからレースが開始されるも、4周目に#13 ENDLESS ADVAN 86の元嶋佑弥に逆転を許してしまう。しかし、元嶋のトップも長くは続かず、11周目には#55 Sun Oasisネッツトヨタ東埼玉86のたしろじゅんがトップに。その後も目まぐるしく順位が入れ替わった。しかし、終盤にトップに立ったのは、#13 ENDLESS ADVAN 86だった。元嶋と村田信博、そして小河諒のリレーを完璧に決めて逃げ切りに成功。一時はトップも走った、石川が植松忠雄と井出有治のアシストを受けてのレースとなった#41 TAKUMI×HERO’S ings S2000は、最後にブレーキが厳しくなってペースダウン。無念の5位に甘んじた。

 2位は松井孝允/井口/蒲生尚弥組の#86 TOYOTA Team TOM’S SPIRIT 86が獲得し、3位はたしろ/小野田貴俊/伊藤毅組の#50 Sun Oasisネッツトヨタ東埼玉86が獲得。注目された脇阪寿一/松田晃司/脇阪薫一組の#52 埼玉トヨペットGreen Brave 86は、ミッショントラブルのため、わずか33周で戦列を離れている。

 そしてST-5クラスでは、予選トップだった#4 THE BRIDE FITの芝谷純三が、決勝でも圧倒的な速さを見せつけた。しかし、ピットでのロスも大きく、順位を落としてからは#69 BRP★J’S RACINGホンダカーズ浜松北みきゃんFITが王者の貫禄を見せる。大野尊久、梅本淳一、窪田俊浩、そして大賀裕介が揃って安定したペースで周回を重ね、トップに立ってからはライバルを寄せつけず。

 一方、#4 THE BRIDE FITもまた2番手まで返り咲くが、ピットロードの速度超過でドライビングスルーペナルティを受けていた。それでも2番手はキープしていたものの、ラスト4周で#17 DXLアラゴスタNOPROデミオSKY-Dを駆る谷川達也に抜かれて3番手に後退。ディーゼルターボのデミオで、谷川と井尻薫、野上達也、野上敏彦の4人が、ついに表彰台に立つことに成功した。

総合優勝(ST-Xクラス優勝)#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-R

内田優大

「デビューウィンだなんて、もうでき過ぎです(笑)。チームに迷惑かけないように、ペナルティ受けないように、それと当てられないようにと、気をつけて走れたんじゃないかと思います。今はもう、最高の気分です。これからも頑張ります!」

藤井誠暢

「今まででいちばん内容の濃い優勝です。スタートからすぐ5号車を抜こうかとも思ったんですが、長いレースだし、何が起こるか分からないので、まずは着いていこうと。最後にトップでチェッカーを受けられればいいと、気持ちを切り替えて走りました。そこからはブレーキやタイヤをセーブして、みんな問題なく走れました。新しく加わったふたりのドライバーもノーミスで走ってくれて、今年こそいいシーズンにしたいですね」

平峰一貴

「もうビックリです。初めてのチームで、初めてのクラスで参戦して、日産自動車大学校という素晴らしい生徒さんの中で、一緒に仕事できて光栄です。このプログラムに貢献できて、最高に嬉しいです。ただ、僕のやるべきことはまだたくさんありますので、次のレースに向けてしっかり準備します」

ST-1クラス優勝 #777 D’station Porsche 991

星野敏

「序盤ヒヤッとした? そうですね。何とか持ち直して良かったです。荒さんが完璧な仕事をしてくれたんで、本当に良かったです。初めてスーパー耐久で優勝したんですが、完走できるっていうのは大事なことで、本当に良かったです。次も頑張ります」

荒聖治

「何も問題なかったんですけど、初めてのこのコンビでいろいろと、タイヤを2スティント、だから星野選手スタートで、次の僕が中古タイヤを受け継いで、そういうのでふたりのコンビネーションがけっこう出る戦略だったんです。それもうまくいって、ふたりともいいペース井で走れて、結果的にトータルで5時間通して、いいペースで走れたと思います」

ST-2クラス優勝 #59 DAMD MOTUL ED WRX STI

大澤学

「まずは一安心です、ホッとしました。嬉しいのとホッとしたのが半々ですね。序盤で引き離せたのが良かったんですけど、ちょっと実は途中からブレーキトラブルが出て、かなりクルマをいたわりながら走っていました。このまま行きたいと思います」

後藤比東至

「かなりホッとしました。金曜日は全然乗れていなかったんですが、やっと慣れてきて、最後のスティント、ゴールをやらせてもらったんですけど、チェッカーの時にどうしたらいいか分からなくて、勢いよく通り過ぎちゃいました(笑)。次回からはしっかりやります」

ST-3クラス優勝 #38 MUTA Racing TWS IS350

堀田誠

「何とか勝利の女神が微笑んでくれました。長かったですね(笑)。でも、阪口選手が頑張ってくれたので、僕は楽をさせてもらいました。もう最後は壊さないように、クルマを届けました。セットも決まっていましたし、エンジニアやメカニックの皆さんが一生懸命やってくれたので。燃料の計算とかセットアップとか、今年は何の文句もなかったですね。初めて見る表彰台のてっぺんからの光景を、これから何度も楽しみたいですね」

阪口良平

「練習からセッティングが決まっていたので、あとはこのセッティングに乗ってもらえるよう、堀田さんに。『これで行ってください』って言って、乗ってもらえたのでそれがいちばん良かったですね。けっこうクルマはオーバーステアなんですけど、それをしないとフロントタイヤを傷めちゃうので、クルマをいい状態に仕上げられたかな、と思います」

ST-4クラス優勝 #13 ENDLESS ADVAN 86

村田信博

「新生13号車の、僕の子供みたいな若いヤツらが頑張ってくれて、幸先いいので、このまま狙っていっちゃいます。もうブレーキは全然、エンドレスだけに問題なくて、そこは強調しておいてください(笑)。このブレーキのおかげで行けたって!」

小河諒

「良かったんじゃないですかね、もてぎで10何年ぶりかにホンダ車以外が、たぶんトヨタのクルマで初めて、僕らのエンドレスチームで勝てて良かったですね。ただ、見て分かるように予選では僕らより速いチームもあるし、レースでもずっとトップだったわけじゃなくて。ずっと近いところに誰かがいたので、厳しい一年になるのは間違いないけど、開幕スタートダッシュ決められたので、この勢いを2戦、3戦と続けていきたいですね」

元嶋佑弥

「クルマが良かったのと、このコースにはブレーキがいちばん重要なので、最後まで余裕があったのが勝因なんじゃないかと思います。クルマが調子いいので、このままチャンピオンが獲れれば嬉しいですね」

ST-5クラス優勝 #69 BRP★J’S RACINGホンダカーズ浜松北みきゃんFIT

大野尊久

「もう僕らは計算ずくで、きちっとペースを守って走って、必ず勝つと。王者の貫禄をしっかりと見せられたと思います」

梅本淳一

「これが勝利の方程式! 途中ちょっと危うかったんですが、みんな同じでしたね。運も味方につけました。幸先いいですね。ただ、ちょっと速さが足りないので、次回までに速くしてきます」

窪田俊浩

「まぁ、まわりに翻弄されずに落ち着いたレースをすれば、最後に逆転して勝てるなぁ、と確信していました。今回の勝ちを鈴鹿のFIT 1.5チャレンジに活かしたいと思います。自信につなげたいですね。チャンピオンを獲りにいきます」

大賀裕介

「決勝を考えてということで、チームに勝たせてもらったという感じです。僕の判断ミスで遅れたところもあったんですが、それをチームが取り返してくれて、本当にJ’S RACING、ここにありという強いレースを見せられました。一員になれて良かったですし、このチームが今年もチャンピオン獲れるように、応援していきたいと思います」

 

(はた☆なおゆき)

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