SUPER TAIKYU

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REPORT

第1戦プレビュー

史上初の60台オーバー混走レースに何が起こる?

25周年、最初のレースは史上最多台数がグリッドに並ぶ

 N1耐久ラウンドシリーズとしてスタートを切り、その後、名称こそ改められたが、今シーズンで25周年を迎えることとなった、スーパー耐久シリーズ。まさに四半世紀もの歴史が重ねられたことになる。

 そんな記念すべきシーズンの最大の話題は、やはり年間エントリーが65台にも達したことだろう。ここ数年は年間エントリーの上限を50台とし、これを超える申し込みに対し、書類選考を要していたが、いざ上限を外してみると……。まさか、これほどの台数となるとは思いもよらなかった、というのが偽らざる心境でもある。さて開幕戦のエントリーは、それより3台減ったとはいえ62台に。第1グループと第2グループは分かれてローリングスタートを行うため、全車一斉に1コーナーへ飛び込んでくるわけではないものの、60台を超える車両がコースに連なる様子は、想像に絶するのでは。開幕戦は5時間にも及ぶ長丁場であるから、まずは慎重なスタートが切られることを期待したい。

 ところで、この62台であるが、決勝を走る台数ということでは史上最多だが、一戦のエントリー台数としては、過去において超えたケースがある、と言ったら信じるだろうか。実はある。発足1年目の第3戦・富士で83台、第4戦・筑波では103台も! この頃はコンソレーションも設けられていたが、予選落ちもあって然りと考えられていた。まぁ、バブルの時代と比較するのはいかがなものかとも思われるが、そんなこともあったことを知っておいて欲しい。

ST-Xクラスには海外からのエントリーが3チームも!

 FIA-GT3によって争われるST-Xクラスは、年々着実に台数を増やしている。今シーズンはついに二桁となり、今回は1台が不参加とはいえ、11台が姿を見せることとなった。いちばんの話題は、チャンピオンチームの#3 ENDLESS SPORTSがBMW Z4からニッサンGT-Rにスイッチし、また不動のツートップ、YUKE TANIGUCHIと峰尾恭輔に、ST-4クラスからチーム内移籍の山内英輝を、そしてDドライバーの追加が許される今回は、柳田真孝を加えてきたことだろう。果たして、このラインアップにライバルは隙を見つけることができるのか?

 同じGT-Rユーザーとして、迎え撃つのも協力布陣。王座返り咲きを狙う#5 GTNET MOTOR SPORTSは、「昨年の2台体制を1台に戻して勢力集中」と尾本直史監督。いかにも強力な、白井剛/星野一樹/藤波清斗/青木孝行組で挑めば、王座が喉から手が出るほど欲しい、#24 KONDO RACINGは藤井誠暢の新たなパートナーに、内田優大と平峰一貴を起用した。内田はGT-Rプレステージカップで何度も表彰台に上ったジェントルドライバーで、平峰はST-4クラスで優勝経験を持つ……というより、かつて佐々木大樹の宿敵として、F3-Nクラスでチャンピオンを競い合ったドライバーという紹介の方が的確だろう。

 アジアのチームがスーパー耐久に、目を向け始めたのも歓迎すべき話題だろう。まず#22 Clearwatar Racing Team By Mooncraft Carsは、GTアジアを主戦場とし、またアジアン・ル・マンシリーズで新チャンピオンに輝いた、シンガポールの強豪チーム。その名称が示すとおり、ムーンクラフトがメンテナンスを担当し、マクラーレン650S GT3を走らせる。Aドライバーのモック・ウェン-サンはオーナーも兼ね、加藤寛規と濱口弘とトリオを組む。GTアジアでは日本のサーキットを走っている650Sであるが、国内レースには初参戦。MP4-12Cとは好対照な、空力に優れたコーナリングマシンと聞く。どんな走りを見せてくれるのか注目だ。

 そして、#89 Hub Auto Racingは、台湾のチームが母体。チームの概要はプレスリリースも出されているので、そちらを参照していただきたいが、注目すべきは国内レース初登場のフェラーリ488 GT3。すでにスーパーGTでは公式テストを走っており、そこで伝わってきたのは、見てのとおり空力に優れ、ほんの少しの車高変化で挙動が変わってしまうシビアさはあるものの、スイートスポットさえ探り当てれば、シャシーバランスにも優れるため、燃料搭載量の変化にほとんど影響を及ぼさないという。驚くべくは、フェラーリらしからぬ乗りやすさをドライバーが口々に発していたこと。長丁場に威力を発揮しそうとの声もあったことから、いきなりの大暴れも期待して良さそうだ。

 さらに#77 J-FLY Racingも、台湾のチームが母体であることが明らかになった。AドライバーでGTアジアを戦うジェフリー・リーがオーナーも兼ね、平中克幸がBドライバーを務める。マシンはアウディR8 LMSウルトラだ。

 さて、こう書くと、GT-R勢VSアジアの新興勢力をイメージするだろうが、開幕戦は5時間の長丁場で、しかも舞台となるツインリンクもてぎはブレーキに厳しいことで知られている。そこでクローズアップされるのが、昨年も優勝を飾っているBMW Z4だ。一発の速さこそないが、一斉を風靡したコーナリングマシンは、むしろ耐久スペシャルの印象もある。そこで、#16 フィールドモータースポーツのHIRO/片岡龍也/阿部翼組が、ダークホースになると予想しよう。

ST-4クラス、小林自動車レーシングプロジェクトに連勝の期待

 ST-1クラスは、久々に2台が登場。しかし、#51 BENDのBMW Z4と#777 D’station Racingのポルシェカップカーは、それほど互いを意識せず、自分たちのペースで5時間レースを走ることとなるだろう。その上で、総合で何位につけるかを目標としているはず。

 ST-2クラスは、4連覇を目論む#59 TOWAINTEC Racingが、体制を一新したのが注目すべきポイント。ドライバーは大澤学のみ残留し、後藤比東至が加入、メンテナンスもターマック・プロレーシングに改められている。大澤は「旧知のメンバーと再び組むこととなり、不安はまったくない」と語っており、実際に公式テストではトップタイムをマークしている。最大の対抗馬となりそうなのが、エボXを投じて2年目の#6 シンリョウレーシングチーム。「1年目は勉強のシーズン」と冨桝朋広は語っており、その意味では勝負に出ることは必至だ。

 また、近年スーパー耐久のマナー向上に尽力していた福山英朗が、久々のフル参戦を#30 RSオガワから果たすことになった。これからはコース外だけでなく、コース内でも目を光らせてくれることだろう。

 ST-3クラスでは、公式テストにおいて、#62 Le Beausset Motorsportsと#34 TECHNO FIRSTのレクサスRC350勢が上位を独占、熟成が急ピッチで進んでいることを証明した。ST-4のチャンピオントリオ、番場琢/平沼貴之/服部尚貴組が走らせる#68 埼玉トヨペットGreen BraveのマークXも同じエンジンを積むだけに、いずれは負けず劣らずのポテンシャルを発揮することだろう。また、#38 TRACY SPORTSのレクサスIS350が、公式テストに参加していなかった分、かえって不気味な存在に映る。もはや旧車になってしまったものの、熟成に熟成を重ねたマシンだけに、進化したRC350とどういう位置関係になったのか気になるところ。

 また、今シーズンも3台の日産フェアレディZを走らせるOKABE JIDOSHA motorsportは、公式テストで三味線を弾いていたという情報も……。真実であるなら、実力伯仲の戦いが引き続き繰り広げられることだろう。

 最多勢力であるST-4クラスは、何と言っても脇阪寿一が松田晃司と脇阪薫一と組んで、昨年のチャンピオンカーである#52 埼玉トヨペットGreen Braveの86を走らせることが、最大の話題と言えよう。スポット参戦ならいざ知らず、フル参戦となったら、寿一は間違いなく勝ちに来る。勝手を熟知していない弱点は、スーパー耐久でチャンピオン経験を持つ松田がフォローしてくれるはずだ。

 しかし大本命は、#58小林自動車レーシングプロジェクトの小林康一/ピストン西沢/塩谷烈州/蘇武善和組だ。過去3年間もてぎでは負け知らず、インテグラのパワーとコースレイアウトがマッチするだけでなく、ブレーキング自慢であることが強さの秘訣ともなっている。

 ST-5クラスが年々、盛況になってきているのも嬉しい限りだ。車種のバラエティにも一層富むようになり、今シーズンもNDロードスターとガソリンエンジン搭載のデミオMB、最近何かと元気なマツダ車が新たに戦列に加わることとなった。このあたりが、クラス最速を誇るホンダフィット3勢に対して、どう抵抗を見せられるか?

 公式テストでトップタイムを記した新チーム、#4 チームブリッドの実力やいかに? 3連覇を目論む#69 BRP★J’S RACINGは開幕戦を、大野尊久/梅本淳一/窪田俊浩/大賀裕介組という陣容で挑む。このクラスに限らないが、スタートダッシュを決めることは、シリーズを戦う上で非常に重要なこと。それぞれのクラスに熱き戦いを期待したい。

 

(はた☆なおゆき)

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