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Gr-1 決勝レポート
スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが2連勝、波乱のレースに強さを見せる
スポーツランドSUGOを舞台とするスーパー耐久シリーズ第2戦、そのST-X、ST-1〜3クラスによるグループ1の決勝レースが5月15日(日)に開催された。セーフティカーが三度も、3時間のうち合計1時間10分近く入る波乱の展開となったが、ポールポジションからスタートした#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの内田優大/藤井誠暢/平峰一貴組は、レースの大半をリード。一度は築いたマージンを失いはしたが、逃げ切りを果たして開幕2連勝を飾ることとなった。ST-2クラスでは#6 新菱オートDIXCELエボXの冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄組が久々の優勝を飾り、ST-3クラスでは#38 MUTA Racing TWS IS350の堀田誠/阪口良平組が優勝。なお、一台のみ出場のST-1クラスは、無念のリタイアを喫している。
三度もセーフティカーが入る大波乱の展開に
土曜日に行われたグループ2の決勝レースでは、ST-4クラスは昨年の105周から113周に、ST-5クラスは99周から106周に、同じ3時間レースであっても周回数が飛躍的に増加したこともあり、グループ1ではどのぐらい伸びるのか大いに注目されていた。コンディションにも恵まれたこともあり、かなりの記録更新を予想していたのだが……。しかし、普段のレースより遥かに抜きつ抜かれつの光景が減っていたにもかかわらず、アクシデントが多発。いずれも大事には至らなかったものの、セーフティカーランが三度も、合わせて1時間10分も実施されては更新どころではなく、ST-Xクラスを持ってしても106周と、グループ2を下回ることとなった。
レースはポールポジションからスタートした、#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rのリードから開始。スタート担当の藤井は、1周目から#3 ENDLESS ADVAN GT-Rの山内英輝、#5 Mach MAKERS GTNET GT-Rの藤波清斗を早々と引き離す。そのまま逃げ続けて、ほぼ10秒のマージンを築くも、28周目に最初のSCランが。レインボーコーナーの立ち上がりで#89 Hub Auto Ferrari 458 GT3のモーリス・チャンがクラッシュ。車両回収のためで、後続の多くがピットに飛び込む中、藤井はあえてコースにステイすることに。だが、33周目の再開からわずか5周後に、再びSCランが……。ST-1クラスで孤軍奮闘の#777 D’station Porsche 911が追突されて馬の背コーナーでクラッシュし、横転してしまったためだ。
その間に#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rは、38周目に内田に交代して、ロスを最小限に。4番手に順位を落とすも、先行車両は視界のうちにあり、その後の展開が注目された。そんな中、レースのほぼ折り返しとなる51周目から三度目のSCランが! 今度はSPコーナーアウトから最終コーナーにかけてオイルが撒かれ、コースアウトした車両もあったためだ。もちろん、#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rは58周目に平峰へと交代、その2周後にはレースが再開される。
全車が2回目のドライバー交代を済ませており、あとはチェッカーに向けてひた走る状態の中、トップは#10 Adenau SLS AMG GT3のマイケル・グリーンで、平峰は2番手。ストレートの速いメルセデスをなかなか抜けずにいるうちに、5番手でバトンをYUKE TANIGUCHIから託された峰尾恭輔の#3 ENDLESS ADVAN GT-Rが徐々に順位を上げて、やがてトップ争いは三つ巴に転じていく。平峰はタイヤ無交換であったため、あえて無理をしていなかったのも理由だったが、80周目に前に出ると一気にペースを上げて、後続を引き離しにかかる。次の周の1コーナーでは峰尾も続いて、2番手に浮上する。峰尾もペースを上げて迫ろうとするも、平峰が後ろをしっかり意識して走行しているのは明らか。むしろ最後は引き離すことに成功し、#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rは見事開幕2連勝を飾ることとなった。
2位は#3 ENDLESS ADVAN GT-Rが、そして#10 Adenau SLS AMG GT3のフィリップ・デベサ/マイケル・グリーン/密山祥吾組が3位に入って、初めて表彰台に立つこととなった。また、連続表彰台を狙っていた#5 Mach MAKERS GTNET GT-Rの白井剛/星野一樹/藤波組は、途中のスピンが響いて7位留まり。星野が意地のファステストラップを叩き出すのが、精いっぱいだった。
ST-2クラスは新菱オートDIXCELエボXが4年ぶりの優勝に
今回はST-2クラスとST-3クラスが入り乱れる展開となったのも、特徴のひとつと言えるだろう。まずリーダーとなったのは、ST-3クラスの予選トップだった#15 岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34の長島正明ながら、3周目に同じクラスの#38 MUTA Racing TWS IS350を駆る阪口良平の先行を許すことに。一方、ST-2クラスでは#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学を、#6 新菱オートDIXCELエボXの菊地靖が3周目にパス。長島は4周目に、大澤と菊池の先行を許していたが、ST-3クラス勢は引き離しており、16周目には田中徹にバトンタッチ。だが、本来ならば積極策になるはずが、相次いだSCランのため水の泡に……。
ST-2クラスのトップ争いはなおも続き、大澤と菊池のバトルが大いに観客を魅了。25周目に大澤が再び前に出た直後に最初のSCランが。そればかりか、直後の#6 DAMD MOTUL ED WRX STIにSCラン中の追い越しに対して、ドライビングスルーペナルティが命じられ、大きく順位を落とす羽目に。これで#6 新菱オートDIXCELエボXの大橋がトップに立つ。だが、背後には#20 RSオガワADVANランサーの下垣和也が続いて、そのバトルにも緊張感が漂っていた。後に2台ともやはりSCラン中の追い越しにより、ドライビングスルーペナルティが命じられるが、これで一気に逆転を予想された#59 DAMD MOTUL ED WRX STIはブレーキローターの交換を強いられており、順位を上げることは許されず。
逃げ切りを許された#6 新菱オートDIXCELエボXは12年の第1戦、富士以来の勝利を大いに喜んでいた。2位は松本武士/下垣/近藤説秀組の#20 RSオガワADVANランサーが獲得、大澤/後藤比東至組の#59 DAMD MOTUL ED WRX STIは3位で完走を果たすに留まった。
そして、ST-3クラスでトップを快走していた#38 MUTA Racing TWS IS350にも、終盤になってアクシデントが発生。堀田誠もしっかりトップをキープし、あとは阪口がゴールまで走り続けるはずが、残り30分を切って突然ピットに滑り込んできたのだ。タイヤにトラブルが発生していたのが原因だ。これで万事休す……と思われたものの、大量に築かれていたリードはほぼ1周にも及んでおり、阪口がコースに戻った時もトップをキープ。7秒ほどには迫られたが、それだけあれば韋駄天・阪口には十分で、2連勝を達成。
2位は長島/田中徹/田中哲也組の#15 岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34が、そして3位は小松一臣/安宅光徳/杉林健一組の#14 岡部自動車KYOSHIN195Z34が獲得し、トップこそ奪えなかったものの、Zが得意とするSUGOで表彰台の二角を占めることとなった。
総合優勝(ST-Xクラス優勝)#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-R
内田優大
「自分のスティントはSCが多く入ったんですけど、とにかく印象深かったのは、GTにも出ているプロドライバーと僕も戦えたことと、最後にたぶんポルシェの野尻さんだったと思うんですが、オーバーテイクできたというのはちょっと自信になりましたね。連勝できて本当に良かったです。この調子で頑張ります!」
藤井誠暢
「スタートは僕が担当したんですが、ポールからスタートできる利点があって、とにかく序盤に離そうと思って、スタートも抜群に決まって意外と1周目から差を築けました。とにかく後ろを離そうと思ってずっとプッシュし続けたんですけど、最初のSCでは損した感じもあったんですが、その後もSCが続いたので、みんなイーブンになりました。最終スティントでまた僅差になったんですが、その中で平峰がいい走りをしてくれたし、セカンドスティントの内田さんもいい走りをしていたので、本当にチーム力で優勝ができました。もてぎ以上に優勝した、という実感があります。このまま次の鈴鹿もいいレースして、とにかくミスなく、取りこぼしなく、プロジェクト5年目に相応しい結果を、今年は獲りたいと思います」
平峰一貴
「何かしらプレッシャーをかけなきゃいけないと思っていたんですが、変なタイヤの使い方をするのは抑えていました。ある程度、最後に向けてガソリンが軽くなってきた時のために、ちょっとセーブしていたのは確かです。しかも僕の時はタイヤ無交換でしたから、使い過ぎると距離はまぁまぁ走っているタイヤなので、ちゃんと抑えて走らないといけないと思って走っていました。2連勝です、本当に気持ちいいっ!」
ST-2クラス優勝 #6 新菱オートDIXCELエボX
冨桝朋広
「久々に勝てました。忘れましたよ、いつ以来の勝利だったか! だいぶ前でしたよね、その時は敵だった大橋さんと、今度は一緒に勝てて嬉しい。今回はいろいろありましたからね〜。このまま勝ち続けられればいいですね」
菊地靖
「クルマがトラブっていたけれども、決勝には何とか調子良くなって。冨やんがその部分では頑張ってくれて、大橋さんもペース良かったし。決勝のセットが良かったんだろうね、すべてがいいように、こっちに転がってくれてよかった」
大橋正澄
「本当に良かったです。今回は木〜金とトラブっていたのを、冨やんが頑張ってくれて、いろいろやってくれたおかげ。タービンがトラブっていたんですよ。最終的に速く走れるクルマを作ってくれたので、すごく感謝しています。あと、ヤスがひとりで頑張ってくれたおかげです、僕らは何にもしていないから(笑)。何と言っても59号車の前に行ってくれたこと、あれがなかったら絶対に無理だったよね」
ST-3クラス優勝 #38 MUTA Racing TWS IS350
堀田誠
「何とか連勝できました。ドライバー交代のタイミングもセーフティカーをうまく利用して、チームがうまく判断してくれたので、タイヤの薄利もね、あのまま走れないようなタイムだったんですが、あの周ですぐ判断して、タイヤ交換してくれたのは大きいですね。それにこの2連勝はすごく大きいです。自分でも自信につながります」
阪口良平
「タイヤ無交換で行っていたんですよ。ずっと、一回も換えていなくて。換えていなくても、哲也さんとか15号車が前にいたから、まぁ抜いたら周遅れになるぐらいだから、そんなに飛ばさなかったんですが、急に最終コーナーでなんか不安定になって、そこからは右コーナーがすごく不安定で、タイヤがスローパンクチャーかなにか分からないんですが、チームの判断でこの周入ってとなって、入ってみたらやっぱり剥離していました。もう1周行っていたら、前に行かれていたかもしれないから、ギリギリセーフ。すべて結果がいい方に行ったので、本当にチームと相方に感謝です」
(はた☆なおゆき)
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