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決勝レポート
スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが3勝目をマーク、悲願の王座にまた近づく
スーパー耐久シリーズ第4戦「SUPER TEC」の決勝レースが、富士スピードウェイで9月4日(日)に開催され、当初の天気予報とは裏腹に、好天に恵まれる中で激戦が繰り広げられた。総合優勝は#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rを駆る内田優大/藤井誠暢/平峰一貴組が獲得して、今季3勝目をマーク。なお、9時間にも及ぶ長丁場だったにもかかわらず、一度もセーフティカーが出動せず、なんと302周、距離にして1378kmもの走破が達成された。
4周目からトップに浮上、ライバルに相次いだ不運とは対照的に……
土曜日までの天気予報では、日曜日の天気は雨だとされ、実際に早朝まで降り続いていた雨の影響で、スタートを間近に控えて路面はウェットコンディションのままだった。しかし、雨はすでにやんでおり、早々に乾いていくのは明らかだったこともあり、65台すべて結局ドライタイヤを装着することとなった。
ポールポジションからスタートを切った#8 ARN SLS AMG GT3の佐々木孝太が、真っ先に1コーナーに飛び込んでいったが、そのまま逃げるまでには至らず。予選3番手だった#24 ルリーボンド日産自動車大学校GT-Rの平峰一貴がまもなく近づき、4周目には逆転を果たしていた。だが、その平峰にも#5 Mach MAKERS GTNET GT-Rの星野一樹が迫り、同様に逃げを許してくれず。だが、なんとかトップを守り抜いて、44周目には内田優大に交代する。その頃から雨が降るどころか、青空が広がるようになり、天気予報は大外れ。それだけに温度の急上昇に苦しんだチームもあったようだ。
いったんは#5 Mach MAKERS GTNET GT-Rの白井剛にトップを譲った内田ながら、ロングスティントに成功して、白井から藤波清斗への交代の間にトップに返り咲き、86周目には再び平峰にバトンを託すこととなった。この時も3番手に後退はしたが、その後ライバルに不運が相次いだ。まず、#3 ENDLESS ADVAN GT-Rには黄旗追い越しのペナルティでドライビングスルーが課せられ、そして#5 Mach MAKERS GTNET GT-Rはオルタネーターのベルト交換を強いられ、順位を落としたこともあって、労せずして#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rはトップに返り咲いたのだ。それが3時間経過から、間もなくのこと。
ここから先は、もはや一度たりともトップを明け渡さず。134周目からは再び内田が、175周目からはいよいよ藤井誠暢が、#24スリーボンド日産自動車大学校GT-Rのステアリングを握り、222周目から平峰が3回目のドライブへ。そして265周目からは再び藤井が乗り込み、302周もの走破に成功。今季3勝目を、2位に2勝もの大差をつけて飾ることとなった。
2位は#3 ENDLESS ADVAN GT-RのYUKE TANIGUCHI/峰尾恭輔/山内英輝/柳田真孝組が獲得し、ノーペナルティに終わったもう一台の、#25 ケーズフロンティア911 GT3Rを駆るTetsuo Ogino/野尻智紀/飯田太陽/高木真一組が3位となっていた。
ST-2クラスではDAMD MOTUL ED WRX STIが開幕以来の優勝に
ST-1クラスでは終始#777D’station Porsche 991の星野敏/荒聖治/星野辰也/リ・ジョンウ組がトップを譲らず、総合でも7位に入って今季3勝目をマークした。
ST-2クラスでは序盤を予選でもトップだった、#20 RSオガワADVANランサーの下垣和也/松本武士/近藤説秀/伊藤勝一組がリードするも燃料ポンプのトラブルから、大きな遅れを取ってしまう。これにより、トップに躍り出たのは#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学/後藤比東至/檜井保孝組で、まったく危なげない走りで開幕戦以来となる今季2勝目をマーク。一方、3連勝を狙った#6 新菱オートDIXCELエボXの冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄組はタービントラブルに見舞われたのを皮切りに、相次ぐペナルティで完走を果たすに留まっていた。
そしてST-3クラスでは、#38 MUTA Racing TWS IS350の阪口良平が予選こそクラス4番手だったものの、わずか1周でトップに浮上。しかし今回ばかりは容易く逃げ切ることを許されず。早めのドライバー交代とタイヤ無交換で、#34 assetテクノRC350の佐々木雅弘がトップに立ち、これに続いたのは中山雄一からステアリングを託された#62 DENSO Le Beasset RC350の山下健太。82周目には佐々木をかわしてトップに躍り出る。
そこから先は#62 DENSO Le Beausset RC350の独壇場。96周目には嵯峨宏紀が乗り込み、リードを広げると、もはや近づく者は現れず。#38 MUTA Racing TWS IS350は助っ人として起用していた関口雄飛が、接触によって車両に大きなダメージを負ったこともあり、完走を果たすに留まった。再び中山〜山下〜嵯峨のリレーを決めて、#62 DENSO Le Beausset RC350は1年ぶりの優勝を飾ることとなった。
2位は#34 assetテクノRC350の前嶋秀司/佐々木/手塚佑弥組が、3位は#35 SKT team motoyamaの加納政樹/本山哲/安田裕信組が獲得した。
歴史にも残る名勝負! ENDLESS ADVAN 86がラスト6分間の大逆転優勝!
ST-4クラスでレースの大半を支配したのは、#86 TOYOTA Team TOM’S SPIRIT 86の松井孝允/大嶋和也/井口卓人/蒲生尚弥組だった。最後のドライバー交代を前にした段階で、2番手につけていたのは、#13 ENDLESS ADVAN 86の村田信博/小河諒/元嶋佑弥/島谷篤史組。217周目にタイヤ4本を換えて、元嶋に最後を託したのに対し、それより5周後に蒲生をタイヤ無交換でコースに送り出す。これで実に40秒ものリードを得ていたのだが……。
そこからゴールまで、元嶋の猛攻が続く。1秒から2秒速いペースで蒲生を追いかける。間隔が5秒を切るまでに縮まったのは254周目。蒲生も必死に抵抗するも、タイヤ無交換の代償はあまりに大きく261周目、チェッカーまであと6分間というところで元嶋の逆転を許す。実は#13 ENDLESS ADVAN 86のクールスーツは故障しており、朦朧とする意識の中、走り続けていた元嶋は脱水症状からゴール後には倒れ込んでしまうも、一大事には至らず。この勝利でランキングのトップを死守することともなった。3位は#55 SunOasis AUTOFACTORY 86のたしろじゅん/大井貴之/伊藤毅/小野田貴俊組が獲得した。
ST-5クラスでは予選トップだった、#69 BRP★J’S RACINGホンダカーズ浜松北みきゃんFITの大野尊久がスタートから間もなく順位を落とすも、それも作戦の内、やがて順位を上げていくことが予想されたが、梅本淳一への交代直前にミッションにトラブルが発生。交換を強いられて、大きく遅れをとることに。
代わってトップに立ったのは、#19 BRP★J’S RACINGホンダカーズ三重北FITの古宮正信/松田哲也/吉本晶哉/奧村浩一組ながら、ピットタイミングの違いから#2 ホンダカーズ野崎with CUSCO$FUJITSUBOの松田秀士/ススム/山下潤一郎/山西康司組と、シーソーゲームのごとき戦いを繰り広げる。そのバトルは最後まで続いたものの、1秒6という僅差で#19 BRP★J’S RACINGホンダカーズ三重北FITが、久々の優勝を飾ることとなった。
総合優勝(ST-Xクラス優勝) #24スリーボンド日産自動車大学校GT-R
内田優大
「本当に今日は完璧なレースでしたね。1スティント目はけっこう緊張していて、ミスなく走ることを心がけていたんですが、2スティント目は気持ちの中にもう少し遊ぼう、楽しもうという気持ちがあって、それが良かったのかタイムも4秒ぐらいでずっと周回できました。これで自分の中でも、ひとつステップが上がれたと思います。この調子で行きたいですけど、次から30kg積まれるので都合40kgになるから、このままじゃちょっとつらそうですし、岡山は僕、走ったことがないんですが、国内のサーキットはほとんど走ったことないんですよ。でも、頑張って走ります」
藤井誠暢
「予選は毎回僕ら、他のGT-Rに負けないようにやっていて、予選はいつも速く走っているんですけど、決勝で鈴鹿では悔しい思いもしたので、セットアップの方向性も見直して、正直僕は今回ものすごく自信を持っていて。ただ、トラブルで予選前にニュータイヤ履けなかったんで、それだけが心配だったんですが、それでも他のGT-Rには1秒ぐらい引き離せました。決勝にも僕、かなり自信を持っていたので、ミスなく行けば勝てるなって思っていて。実際にドライバーにはミスがなかったし、チームもミスなかったし。このプログラム、ずっとやってきましたけど、その中の優勝でも本当に今回は完璧だったと思っています。今季3勝目、鈴鹿の3位を入れて4連続表彰台ということで、シリーズはかなり美味しくなってきたので、あと2回、気を引き締めて頑張ります」
平峰一貴
「いっぱい走りました。最高です。スタート直後はちょっと出遅れちゃったんですけど、タイヤのウォームアップも良かったので、1〜2周目から前との差も縮められて、ガンガンいけたんで、その点は良かったのかな、と。スタートした瞬間は遅れちゃったんですけど、その後、挽回できて良かったです。2スティント目以降は、みんなとの差も見ながら、うまいことやっていきました。この勝利はむちゃくちゃ大きいです」
ST-1クラス優勝 #777 D’station Porsche 991
星野敏
「今日は完璧なレースでした、今年初めての。トラブルもまったくなく、やっぱりポルシェは最高ですね。今日の走りに点数をつけるなら、95点ぐらいですね。こんなに長い、耐久レースでも勝てて本当に嬉しいです」
荒聖治
「すごくいいペースで走れたと思います。最初に立てたプランどおり、スケジュールどおりのペースでみんな周回して。だから、こんなにいいペースで走れる、充実したレースってないぐらい、いいレースができたと思います。今回、加わってくれたふたりも本当に頑張ってくれました」
星野辰也
「初めてのS耐だったんですけど、荒さんからアドバイスをいただいて、なんとかこなすことができました。良かったです、すごく嬉しいです。まだ未定ですけど、またS耐にも出たい、続けていきたいって気持ちが少し湧きました」
リ・ジョンウ
「レースはすごく楽しかったです。耐久レースというか、こういう大きレース自体が初めてなので、すごく楽しめた1日でした。走り的にはそんなに悪くなかったんですが、いろいろ状況を見なきゃいけなかったし、実際に危ない状況もあったので、レースって速さだけじゃないなと。すごくいい勉強になりました」
ST-2クラス優勝 #59 DAMD MOTUL ED WRX STI
大澤学
「本当に久しぶりの優勝だな、って感じます。今回は予選で20号車が速かったんですが、トラブルで遅れてくれてからは、僕らかなりクルマをいたわりながら走って。それでもピットでミスがあったり、ペナルティを受けたりして大変でしたが、なんとか勝てて良かったです。これで近づかれていたポイントも、また離せましたし、この調子で残りの2戦も頑張りたいと思います」
後藤比東至
「僕のせいで連勝記録が途絶えて、連続ポール記録も途絶えて、本当に針のむしろでしたから、こうやってまた勝てて本当に良かったです。今回の走りは完璧でした! 勝てた時はもう、そう言い切っちゃいます(笑)」
檜井保孝
「僕は第1戦に出ていないから、このチームでの初勝利になります。まぁまぁミスなく走れて、優勝に貢献できて良かった。次の岡山は、どうでしょう、たぶん乗らせてもらえるんじゃないでしょうか。出られたなら得意なコースなので、もっと頑張ります!」
ST-3クラス優勝 #62 DENSO Le Beausset RC350
嵯峨宏紀
「最初のスティントが、ちょっと路面温度と気温が上がってきたことで、けっこうタイヤも厳しかったんですが、その中でチームもドライバーも3人ともみんなミスなく、この9時間を戦い切って。最後、僕に変わった時にはかなりのマージンを持って、自分に代わることができました。本当に嬉しいし、S耐では去年以来勝っていなかったので、これでいい流れができたと思うので、次の岡山、オートポリスに向けても、この流れを切らさないように頑張っていきます」
中山雄一
「最初のスティントは厳しい展開の中、それでもかなりタイヤマネージメントをして走ることができました。今回9時間しっかり戦いきれて良かったです。コーナーが今週はすごくバランスが良くて、戦闘力がものすごく高かったので、そのおかげで本当に気持ち良く走れました」
山下健太
「勝てて良かったです。僕の1回目は全部4輪交換して、ただ僕の前にいた34号車が無交換で出てきて、ちょっと差があったんですが、それを詰めていって抜くことができて、その差を広げられました。F3にもこの流れを、それが重要なので頑張ります」
平木湧也
「今週通じて、チームが僕に走る時間をくれたので、かなりS耐の車両にも慣れましたし、初めてのツーリングカーだったのですが、そういう部分ではかなり経験させてもらいました。決勝は見ているだけでしたけど、見ている中でレースの流れとか組み立て方とか、戦略とかいろいろ勉強させてもらいました」
ST-4クラス優勝 #13 ENDLESS ADVAN 86
村田信博
「今回は僕のミスから始まって、4グリッド降格になってしまったけど、チームの若いふたりが僕のことを持ち上げてくれたからには、本当に勝つために集中切らすなと。今回はいつも以上に、この若いふたりに助けてもらった感じで、走りもそうだし、チームを上手く回すために諒がすごく上手く考えていてくれて、本当にチームワークに助けられて、結果が出たと思うので、このままみんなでチャンピオンを獲りたいと思います。この勝利でランキングのトップも維持できましたが、気を抜かないで今後もやっていきたいと思っています」
小河諒
「今回のレースは元嶋がMVPです。村田さんと僕が予選を行ったんですが、いろいろミスもあって11番手だったんですが、最初のスティントで元嶋が順位を上げてくれて、それを僕と村田さんがバトンをつないでいく形で。元嶋が3スティント行ってくれて、ペースもすごく良くて、最後は86号車が無交換だったんですけど、僕たちのチームは、『それは厳しい』という判断がドライバーの中でできたので、ちょっとピットで差ができちゃいますけど、タイヤ交換をしようということになって、タイヤ交換をして最後の元嶋のプッシュに賭けて。本当に元嶋がよく頑張ってくれたと思います。でも、無交換で9秒台とか出している向こうのほうが本当にすごいんで、それは今後の短い耐久ではもっと大きい差になっちゃうと思うので、僕らが改善できないと油断できないところだと思います」
元嶋佑弥
「疲れました、本当に(笑)。今はもう、大丈夫です、点滴を打ってもらって。いや〜、本当にすごい展開でした。僕がコースに出て行って40秒差っていうのは分かっていたので、とにかく1周1秒でも縮められたら、最後にチャンスがあると思っていました。決して僕らは速くなかったので、とにかく混戦の中をタイム落とさないように集中して走って、本当にそれだけでした。いいクルマをチームが作ってくれたので、それがいちばん大きいですね。いろんなクルマが前に出てきて、そのへんがいちばん集中力のピークで、でもクールスーツが壊れていて、まったく使えなくて最後の方は……。最後の5〜6周は本当に『気力だ、気力だ!』って自分に言い聞かせて。これで2位だったら、本当に何もなかったし……、本当に勝てて良かった。岡山と地元のオートポリスでなんとか、みんなでハッピーで終わりたいと思います」
島谷篤史
「クルマも調子良かったし、ドライバー3人も調子良かったので、安心して見ていられました。さすがに最後だけは、40秒ぐらい差があったし、向こうはタイヤ無交換でしたから、でも元嶋くんを信じて、見守っていましたね。いつかは僕も走って勝ちたいです」
ST-5クラス優勝 #19 BRP★J’S RACINGホンダカーズ三重北FIT
古宮正信
「久しぶりの優勝なので、本当に今、仲間と一緒にいつ以来だろうね、って振り返っていたぐらいです。久しぶりに勝てて良かったです。あとの2戦も頑張って、またいちばん高いところに立ちたいと思います」
松田智也
「まず率直に嬉しいです、僕も今年からまた乗るようになって、2012年以来なんですけど、今週末は自分としてあまり乗れていなかったんですが、ドライバーの先輩方に助けてもらって勝つことができたので、本当に嬉しいですね。スタッフのみなさんが頑張ってくれたおかげです」
吉本晶哉
「このチームでは初めての優勝です。やっぱりチーム体制がしっかりしているので、そのへんは安心して、メカニックの方々がしっかり仕事してくれたので。クルマがやっぱり決まってきて、予選はもうひとつでしたが、速さはあったので、問題なければ勝てると思っていました。これでシリーズポイントが面白くなってきたので、次も頑張ります。岡山は得意なコースなので、頑張ります」
奧村浩一
「本当に勝つのは久しぶり、19号車で勝つのは何年ぶりかって。やっと強い19号車が戻ってきて、復活させることができて……。今年僕は19号車を降りたんですけど、今回助っ人ドライバーとしてDドライバー登録させてもらいましたが、なんとか勝てて良かったです。もう引退させてもらおうと思ったけど、本当に勝てて良かったです。メカニックにいいクルマ作ってもらって、最後まで保ちました」
(はた☆なおゆき)
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