SUPER TAIKYU

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REPORT

第4戦プレビュー

プラス1時間、未知の領域が戦況に、どう影響を及ぼすか?

 スーパー耐久シリーズ第4戦は、富士スピードウェイを舞台に「SUPER TEC」として、現在の国内レースとしては最長となる、9時間レースとして開催される。

 過去には十勝24時間レースも行われたとはいえ、2008年が最後の開催で、それから8年間でスーパー耐久の戦い方も、スピードも著しく変化した。当時の常識は今や通用しない可能性もあり、その意味ではこの2年間、レースが1時間ずつ伸ばされて、未知の領域への突入を余儀なくされ続けている感もある。

「楽しみながらレースを。でも表彰台以上、できれば優勝を目指して!」

 このシリーズ第4戦における話題のひとつとして、本山哲がST-3クラスにスポット参戦することが挙げられる。#35 SKT team motoyamaこと日産フェアレディZは、そのゼッケンからも分かるとおりTECHNO FIRSTがメンテナンスする、2014年のチャンピオンカーそのもの。トリオを組むのも、現在はスーパーGTを、そしてWTCCにも出場経験を持つ加納政樹、そして安田裕信とあって、まさに強力布陣となっている。

 きっかけは、かつてTECHNO FIRSTで助っ人経験を持つ安田からの誘いだったという。 「十勝24時間があった頃は、けっこう継続して出ていて楽しかったし、こういった耐久レースも好きなんですよ。でも、十勝24時間がなくなって、富士7時間があるのは分かっていたんだけど、最近は出られなくて。それが今年は9時間になるというのを知ったのと、同じぐらいのタイミングだったかな、安田が『こういうチャンスありますけど、どうですか?』って言ってきたんで、クルマは余っているらしいし、『じゃあ、やりたいね』ってこと、あいつが中心になって、俺も手伝うし、加納さんも手伝ってくれて、やることになって」
「もちろん、楽しみながらレースを、っていうのはあるんですけど、あのクルマは2年前のチャンピオンカーでもあるし、久しぶりに動かしてもらったけどいまだに走るし、戦闘力もあったから、表彰台以上、できれば優勝を目指して、ちゃんとレースしたい。もちろん、まわりに迷惑はかけないようにレースはするつもりだけど、ただね、クルマのポテンシャルはあるし、チームもすごく実績のある、いいチームが張り切ってくれているからには、けっこう行けるんじゃないかと思っています」

 本山からは、そう優勝宣言も! これはST-3クラスを戦うレギュラーにとっては聞きづてならぬ発言だ。是非とも発奮していただきたい。余談ながら、車名につくSKTとは、「加納さんを応援しているスポンサーグループ」(本山)で、48由来のアレとは関係ないようだ。

早くもタイトルに王手をかけた!? ST-3クラスのMUTA Racing TWS IS350

 ST-3クラスつながりで、もうひとつの話題を。シリーズは後半戦に突入したばかりだが、早くもチャンピオンが決まる可能性が、#38 MUTA Racing TWS IS350に出てきた。6クラス中、唯一3連勝の堀田誠/阪口良平組がクラスポールを奪い、4連勝を飾った上で、現在ランキング2位につける#15 岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34の長島正明/田中徹/田中哲也/山崎学組が4位以下、3位の#62 DENSO Le Beausset RC350の嵯峨宏紀/中山雄一/山下健太/平木湧也組が3位以下であれば……という条件である。

 ハードルは低そうであり、高そうであり、確率は50%というところか。#15 Z34の安定感は抜群のものがあり、そうそう表彰台を外すとは考え難い。また、#62 RC350にとっては、昨年デビューウィンを飾った、相性最高のサーキットとあって、2年連続優勝を狙っているはずだからだ。何はともあれ、#38 IS350が4連勝を狙っているのは間違いなく、そのための助っ人として関口雄飛を起用している。今、最も乗りに乗っているドライバーと言われ、また先にも述べたとおり、スポット参戦してくる本山は、かつてGTでチームメイトだったドライバー。走行のタイミングが一緒になって、火花散らす光景をファンならずとも見たいところだが、そうなればなったで、ピットの中では悲鳴も上がっていそうだ!

GT-R勢の開幕4連勝なるか、ST-Xクラス

 今年のST-Xクラスは日産GT-Rが強く、#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの内田優大/藤井誠暢/平峰一貴組は、開幕からの連勝を2で止めたが、第3戦は#3 ENDLESS ADVAN GT-RのYUKE TANIGUCHI/峰尾恭輔/山内英輝組が優勝し、クルマとしては土つかずの快進撃が続いている。今回は柳田真孝を加える#3 GT-Rだけに、連勝も決して不可能ではなさそう。もちろん、流れを取り戻すためにも、#24 GT-Rの逆襲にも期待がかかる。一方、同じGT-Rを走らせながら、未勝利の#5 Mach MAKERS GTNET GT-Rの白井剛/星野一樹/藤波清斗組も、開幕戦でポールを奪うなど速さはあっても、なぜかトラブルに見舞われることが昨年から多く……。ストレス発散の一発に期待がかかろうというもの。

 そんな#5 GT-Rにとって、千載一遇のチャンスとなるかもしれないのが、急きょ今回からST-Xクラスに限り、設けられることとなったウエイトハンデ制度だ。これは前回の成績に対し、1位には30kg、2位には20kg、3位には10kgのウエイト追加を課するもの。そのため、#3 GT-Rや#24 GT-Rだけでなく、前回雨の中、激走を見せて2位となった#89 HubAuto Ferrari 488 GT3のモーリス・チェン/吉本大樹/坂本祐也/吉田広樹組まで、その対象となってしまったからだ。まぁ、極端な影響を及ぼされなければいいのだが……。ちなみに、このウエイトハンデは累積されるものの、最終戦のオートポリスではリセットされて、全車ノーハンデとなる。

 一方、今回いちばんのダークホースは、#22 Clearwatar Racing by Mooncraft Carsのマクラーレン650S。開幕戦では不発に終わったものの、秘めたるポテンシャルは極めて高いと聞き、トラブルなど抱えなければ、モック・ウェン-サン/加藤寛規/濱口弘/リチャード・ウィー組というラインアップは強力だけに、大暴れは必至と言えそうだ。

さぁ、3連勝なるか、ST-2クラスの新菱オートDIXCELエボX、思い出の地で

 ST-1クラスは久々の一騎打ちに。今回は星野辰也とリ・ジョンウを加えた、#777 D’station Porsche991の星野敏/荒聖治組が優勝を飾り、もう一台の#51 Diamango BMW Z4の細川慎弥/石原正将/池田大祐/余郷敦組がリタイアすれば、残り2戦を待たず王座獲得となるが、できれば楽しみは先に延ばしておきたいので……。

 そして、ST-2クラスで最も注目すべきは、#6 新菱オートDIXCELエボXの冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄組の3連勝なるか。ここ富士は同チームにとって初優勝を2012年に飾ったサーキットで、「2勝目挙げるのに4年かかったのに、3勝目が次のレースって、何のこっちゃ!」とは冨桝の名言。驚きの連発のシーズンであるなら、もっと驚いたまま悲願の王座を書くとしたら、さらなる名言がきっと発せられることだろう。一方、ここ2戦トラブル続きではあるが、しっかりランキングのトップにつける#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学/後藤比東至/檜井保孝組には、そろそろ流れを取り戻して欲しいものである。

さぁ、始まる! ブレーキ強化を許されたS2000勢の大逆襲が

 ST-4クラスにおける今回最大のトピックスは、これまではホンダS2000に禁じられていたブレーキローター、キャリパーの交換が許されたことだろう。各陣営とも、早速ニューウェポンを投入。せっかくストレートパフォーマンスに定評のあるクルマなのに、長丁場ということでブレーキングに我慢を強いられていたが、これからはその心配なし。ストレスなくフルブレーキングをかましてくれることだろう。

 ただ、トヨタ86勢も、次なる一手を投入したとの情報も。そのあたりは本戦のレポートで、明らかにしていくこととしよう。ランキングのトップは、#13 ENDLESS ADVAN 86の村田信博/小河諒/元嶋佑弥/島谷篤史組ながら、前回の優勝で#86 TOYOTA Team TOM’S SPIRIT 86の松井孝允/井口卓人/蒲生尚弥組が7ポイント差にまで接近。今回は大嶋和也も加え、一気に逆転を狙っているはずだ。

 ST-5クラスでは、3連覇を目指す#69 BRP★J’S RACINGホンダカーズ浜松北みきゃんFITの大野尊久/梅本淳一/窪田俊浩組がトップながら、ここまで飾っている優勝は開幕戦だけなのは、大いに不満に感じているはずだ。その#69 FITの優勝を拒み続けているのが、いずれもマツダ車だというのが興味深いところ。第2戦を制した#88 村上モータースMAZDAロードスターNDの村上博幸/筒井克彦/雨宮恵司/大井正伸組がドライコンディションなら、そして第3戦を制した#17 DXLアラゴスタNOPROデミオSKY-Dの谷川達也/井尻薫/野上達也/野上敏彦組がウェットコンディションになれば、今回もまた手強い存在となるだろう。

 なお、今回のピットストップ義務づけは、昨年より1回増えて5回に。また、今回に限り、セーフティカーラン中のピットストップは禁止される。さらにレース中にストップした車両に救済があるのが、今回の特別規則のひとつである。

 最後にひとつ、お詫びを……。今回はプレビューの掲載が大変遅れてしまい、楽しみにしていた方には申し訳なく思います。筆者のスケジュール調整の失敗が最大の理由です。本戦のレポートは、いつものタイミングでお届けしますので、よろしくお願いいいたします。

 

(はた☆なおゆき)

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